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【後編】「集団的自衛権」行使容認が必要な理由

文/茨城県本部副代表 中村幸樹

『抑止が破れた場合の対処とその影響』の観点

◆「集団的自衛権」に関連する4つのシミュレーション

『抑止力』は、完全に100%働くとは言いきれない面があります。

なぜなら、例えば中国がベトナムやフィリピンに侵略する場合、対処する側(ベトナム、フィリピン、アメリカ、日本等)に、撃退する「能力」と「意思」があっても、侵略を意志決定する中国指導者側の、情報不足、分析や判断のミス、自己保身、性格上の欠陥等により、「認知」が正しく行われないことがあるからです。

では、抑止が破れた場合、即ち、中国が、ベトナムやフィリピンと戦争状態になった場合、その後どのような展開になるのか、対処とその影響を含め、「集団的自衛権」との関連で、4通りのシミュレーションを考察してみます。

(1)日本が「集団的自衛権」を行使できる場合で、米軍が介入するシナリオ

米軍が介入した場合、兵器性能の圧倒的な差で、中国軍は撃退され、中国の侵略は頓挫します。日本の自衛隊は、米軍に積極的に協力し、日米関係はより緊密になり、日米同盟は強化されます。

その後の日本や他のアジア諸国への帝国主義的侵略にも、『抑止力』が強く働くようになります。国民の生命、安全、財産が護られ、投資基盤が安定することで、経済的発展にもつながります。

ASEAN諸国はもちろん、中東、アフリカなど、世界中で中国の横暴を嫌悪していた国々の、日本への信頼感は増し、正義の国家、徳あるリーダーとして、良き影響力を発揮できるようになります。

(2)日本が「集団的自衛権」を行使できる場合で、米軍が介入しないシナリオ

日本は、国際正義実現のために、米国に対し介入を説得し続けなければなりません。ベトナムとフィリピンは、戦力的に中国には勝てず、見過ごすままでは、ASEAN諸国は、次々と中国の手に堕ちていくからです。

日本は、米国の核抑止力(核の傘)が有効であると判断できる範囲で、多くの国々との連携も密にすべきです。通常戦力で日本が介入すれば、米国も介入せざるをえなくなります。さすれば、事態は収拾できます。

米国の核抑止力が有効でないと判断される場合は、早急に日本独自で核抑止力を持たねばなりません。(この核抑止力も含めた「自主防衛力」の考え方に関しては、別途、詳しく説明させていただきます。)

日本が愛と正義の立場を貫き、智慧でもって世界をリードしていく中に、世界の未来はあるのです。

(3)日本が「集団的自衛権」を行使できない場合で、米軍が介入するシナリオ

ベトナム、フィリピンは救われ、アメリカは称賛されますが、日本に対するASEANのリーダーとしての信頼感は大きく失われます。

米国の国民が激昂するようなことになった場合は、「日米同盟」を破棄される原因にもなりえます。

かつて日本は「日英同盟」を結んでいましたが、第一次世界大戦での協力が不十分だったことが破棄の原因になり、それ以降、アメリカの排日政策は激化し、日米開戦につながっていったことを教訓にするべきです。

「日米同盟」が解消された場合には、核抑止力を持たない日本は、中国に飲み込まれ、チベットやウイグルのように、日本国は消滅し、日本国民の自由、人権、幸福は失われます。

核兵器の脅しと使用に対しては、米軍なくしては抑止が効かず、降伏するしかないからです。

そうならない場合でも、中国の覇権を嫌う米国が日本を再占領するか、日本を戦場として米中が戦うか、米中ソで日本を分けるか、といったシナリオになります。

(4)日本が「集団的自衛権」を行使できない場合で、米軍が介入しないシナリオ

アメリカの「神の正義、世界正義」の信頼は失われます。

アメリカが途中で回心しない限り、ベトナム、フィリピンはもちろん、アジア諸国から世界全体に至るまで、次々と中国の傘下に入っていき、粛清、強制収容所、侵略主義的覇権主義が世界にはびこることになります。

日本はシーレーンを中国に押さえられ、石油や各種資源の確保は、中国の支配下に置かれ、経済的に搾取される中、アメリカからは、弱って頼りにならない日本は見捨てよう、ということになり、日本国は消滅、中国の圧政下に置かれます。

◆「集団的自衛権」行使容認が、日本と世界の生き筋

結局、日本は、「帝国主義的侵略を目差している無神論・唯物論の国家に対しては、毅然として対処すべし」ということです。

「集団的自衛権」を行使可能とすることが、不当な侵略主義を許さず(勝つべくして勝つ)、様々な攻撃や謀略への適切な対処を可能とし(不敗の地に立つ)、日本が「平和と正義の守護神」として「世界の恒久平和のために尽くす」リーダー国家になる(勢いに乗じる)道を開きます。

この「積極的平和」の道が、日本の生き筋であり、世界の生き筋だということです。

中村こうき

執筆者:中村こうき

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