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これ以上の中国の虚言と人権弾圧は許さない!

文/HS政経塾2期生 小松 由佳

◆習近平のドイツでの発言

ドイツ歴訪中の習近平中国国家主席は、3月28日、ベルリン市内で講演し、「日本の侵略戦争で中国人3500万人が死傷した」、「日本軍は南京に侵略し、30万人以上もの中国人を殺す残虐な行為を行った」などと日本を批判しました。中国の国家主席が公の場で日本を批判するのは極めて異例です。

一方、習氏は、中国の軍事費増大についての質問には、「中国は列強に植民地にされた歴史の悲劇を繰り返すわけにはいかない。自衛のための国防力は必要だ」と、軍事拡大を正当化しました。

また、「中国人は自分にされたくないことを他人にしてはならないとの信念を持っている」とも述べましたが、現在進行形で、国内での人権弾圧や自治区での虐殺を行っていながら、よくも言えたものです。

◆中国の虚言と世界の反応

このような中国の虚言は、既に国際社会に通じなくなっています。

ドイツ政府は習氏のホロコースト記念碑訪問を拒否し、メルケル首相は習氏との会談で、「言論の自由は社会に創造性をもたらす極めて重要な要素だ」として中国の人権状況の改善を求め、ガウク大統領も、「自由な意志表明が訴追対象になる」中国の状況に懸念を表明しました。

習氏が言及した「3500万人」「30万人」といった数字は、日本の歴史研究者はもちろん、中国の改革派の歴史学者の間でも疑問視されていますが、江沢民元国家主席が日本を批判する際に、よく言及した数字でした。

その江沢民氏はといえば、在任中のチベット族へのジェノサイド(民族・集団の計画的抹殺)の疑いで、昨年11月にスペイン裁判所から逮捕状が出され、今年2月には、同裁判所から国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配が要請されました。

これらは、スペインが国内法で、国外の人道犯罪を国内裁判所でも裁けるとする「普遍的管轄権」を定めていることから、可能となったものでした。

◆他国の罪をでっち上げ、自国の罪は揉み消す中国

しかし、スペイン下院は2月27日、この国内法を制限する改正案を、与党国民党の賛成多数で可決してしまいました。国民党は、上院でも過半数の議席を確保しているため、改正案の成立は確実と見られ、これまでの捜査が事実上、無効となる可能性があります。

これについて、ネット番組THE FACT第9回(https://www.youtube.com/user/theFACTtvChannel)では、告訴の当事者にインタビューし、中国からスペイン政府に対する圧力があったことを報じています。

また、3月28日には、第25回国連人権委員会にて、日本とEUが共同提出した、北朝鮮の人権侵害についての非難決議が、賛成多数で採択されましたが、中国は、パキスタンやベネズエラなど5カ国と共に反対しました。

他国の罪をでっちあげながら、自国の罪は揉み消し続ける、そうした中国の暴挙は、これ以上許せません。日本は、過去に行ってもいない罪を否定すると共に、現在中国が行っている罪を止めなくてはなりません。

◆国際社会の「保護する責任」と「責任ある主権」

近年、国際社会では、「保護する責任」という概念が提示されています。

これは、「国家は、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する罪から、当該国家の人々を保護すると共に、これらの事態を予防する責任を負う」というもので、「介入と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)の2001年報告書で初めて提示され、05年の世界サミットで採択された成果文書にも明記されました。

同文書には、国際社会が、国家が上記の4つの罪から「自国民を保護することに明らかに失敗している場合には、時宜にかなった断固とした方法で、安全保障理事会を通じ、第7章を含む国連憲章に従って、個別の状況に応じ、適切であれば関係する地域的機構とも協力しつつ、集団的行動をとる用意がある」とも明記されています。

しかし、中国政府は、「国家主権」と「不干渉原則」を強調し、保護する責任に基づく人道的介入に、否定的な態度を示してきました。2011年、リビアのカダフィ政権による人民弾圧に対し、安保理が追加制裁決議を採択し、保護する責任に基づく初の武力行使が容認された際も、中国は棄権しました。その後、シリアでの民衆弾圧に対しても、中国の反対もあって十分な介入ができていません。

「国家主権」は極めて重要ですが、その濫用は許されません。国家主権の絶対性のみを強調することは、今日の国際社会の相互依存的関係において必ずしも妥当ではなく、「責任ある主権」という概念も示されています。

つまり、主権は責任を伴うものであり、主権が正当性を認められるためには、最低限、その管轄下にある住民に対してベーシック・ヒューマン・ニーズを提供する責任を果たす必要があり、国内避難民が大量に発生しているような状態の国家については、主権の正当性に疑問が生じており、国際社会からの人道支援や人道的介入を拒む理由として主権を援用することはできない、というものです。

こうした比較的新しい概念について、中国以外からも賛否両論はあり、具体的な実現方法も確立していませんし、安保理に中国が入っている以上、今後も国連によっては十分に実現し得ないことは明らかです。

◆日本は国際社会でイニシアティブを示す時

しかし、こうした理念自体は普遍的で、一定のコンセンサスがあるので、これらを大義名分として活かしつつ、有志の国々で具体的行動を想定し、準備を進めることが大切だと考えます。

北朝鮮、中国、シリア、こうした国々で続いている人権弾圧に対し、国際社会は具体的行動をとる必要があります。米国が行動できないならば、日本が普遍的正義に基づいて、イニシアティブをとれるようになるべきです。

日本軍が先の大戦において、中国大陸に入っていったのも、一つの人道的介入だったと言えます。今、大陸で再び民衆が苦しんでいるならば、今度こそ、共産主義と侵略主義の払拭を成し遂げるため、勇気ある介入を行う必要があります。

そのためには集団的自衛権の行使容認も必要です。他国と協力し、一刻も早く、過去の罪の亡霊と共に、現在只今犯され続けている罪を、断固粉砕するべきです。

【参考文献】
3月30日付産経・読売新聞
日本国際連合学会編『新たな地球規範と国連』2010年国際書院発行
日本国際連合学会編『日本と国連』2012年国際書院発行

小松 由佳

執筆者:小松 由佳

HS政経塾第2期卒塾生 幸福実現党徳島県本部副代表

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