オスプレイ配備をめぐるテレビ報道の公平性について(2)
文/幸福実現党山口県本部 政務調査部長 石橋昇
前回のHRPニュースファイルでは、2012年の岩国におけるオスプレイ一時駐機の賛成と反対について、NHKは反対集会だけを放送し、賛成集会を放送しなかったことを紹介しました。
さらに一連の放送姿勢を調べていくと、いくつかの問題点や疑問が明らかとなりました。
◆支局の記者が失念するという重大なミス
「9.16 尖閣・沖縄を守れ!オスプレイ駐機配備賛成集会」に取材に来られなかった理由について、既出の岩国市議がNHK支局の記者に問い合わせた結果、「すみません、気がつきませんでした」と、失念していた旨の回答がありました。
幹事会社を通じて加盟各社に伝えるという記者クラブ制度の信頼も揺るがしかねない由々しき大失態です。
◆偏向報道や心象操作の疑義
オスプレイが岩国から沖縄に移動する2012年10月1日の朝10時とお昼のニュースにおいても、反対派市民団体の代表のコメントを取り上げるとともに、市民の反対意見だけを報じていました。試験飛行が行われた9月21日にも、反対派の代表が泣きながら訴える場面が放送されました。
現実には条件付きで駐機の賛成の声も多いと推定されるなかで、反対意見だけを取り上げて、感傷的な映像を流す事に、偏向報道や心象操作が疑われました。反対と賛成にはそれぞれの立場や意見もあり、それを尊重するためにも、公平な報道がなされるべきであったでしょう。
10月1日の「情報維新やまぐち」のコーナーでも20分以上をさいて、「オスプレイ配備までの2ヶ月」という特集が組まれていましたが、残念ながら、何故オスプレイが必要か、その重要性が報じられることは全くありませんでした。
ほかにも、9月30日の反対集会の様子は、当日夕方と夜のNHK山口放送局のニュースで流れ、主催者発表1,200人と報じられました。
主催者発表という言葉は、多くの視聴者には馴染みがなく誤解を与えかねません。「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない。」と述べている放送法第4条やNHK放送倫理基本綱領に則り、裏付けとなる取材をすべきであったと思います。
以上の一連の報道をみた限り、国民からの受信料から成り立ち、予算の執行にあたって国会承認を必要とする公共放送でありながら、反対の声や活動だけを繰り返し放送し、賛成の声や活動の取材を失念する姿勢に対して、「偏向報道」と言われても弁解の余地はなく、国民や視聴者の知る権利に対する冒涜でもあると断じざるを得ませんでした。
◆NHKへの質問と要請
以上について、幸福実現党山口県本部と9月16日の集会の主催者で、NHK山口放送局へ書面での質問状と面会を通じてNHKの見解を質しました。詳細は割愛しますが、その回答は玉虫色な内容であり、決して満足できるものではありませんでした。
昨年2013年にもオスプレイ追加12機の岩国基地陸揚げが行われました。約一年が経ち、当時の私たちからの質問や要請を受け止めてくれたのか、最近のオスプレイ報道の姿勢は多少なりとも公平に近づいたものと感じております。
このたび新会長が就任されました。これを機に放送法の順守を徹底した政治的に公平な放送を推し進めると同時に、日本の国益や国民の生命や財産を守ることを第一とした国民に愛される公共放送に変わっていくことを切望いたします。
◆偏向報道に抗議の声を
NHKに限らず、放送の許認可を受けているすべてのテレビ放送には、放送法第4条に基づく政治的に公平な報道が義務づけられています。
普通選挙を行う民主主義において、国民の知る権利の保証や公正な報道、メディアリテラシーはとても重要なことです。
ゆえに、偏向と感じる報道を見かけたら、面倒ではありますが、私たち視聴者からも直ちに放送局へ意見を寄せることが重要です。