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日本型教育の輸出が中東・アフリカの未来を拓く――カギは「理系教育」と「女性パワーの解放」

文/HS政経塾第1期生 城取良太

◆2014年のスタートは中東・アフリカ外交から始まる

安倍晋三首相は9日から約1週間の日程で中東のオマーン、アフリカ4カ国へと外遊を行っております。

出発前、記者団に対して「アフリカは日本外交にとってフロンティアであり、中東は日本にとって安全保障上も重要だ。今年も地球儀を俯瞰する戦略的な外交を展開していきたい」と抱負を語りました。

実際に、9日に訪れたオマーンでは、カブース国王と会談し、経済分野での協力や石油や天然ガスの安定供給と共に、「積極的平和主義」に基づき、ホルムズ海峡周辺のシーレーンの安全確保など、海上安全保障での協力を強化していくことで一致しています。

また、10日からはアフリカのコートジボワール、モザンビークを訪問し、モザンビークではODA700憶円の供与を表明し、資源関連の人材育成を約束しています。

この後、エチオピアへも訪問することになっておりますが、爆発的な人口増加と経済成長著しいアフリカへの本格的進出を目指し、経済界のトップたちを引き連れ、官民連携によるトップセールスを展開することになっています。

◆中東・アフリカ圏を永続的に発展させる「理系教育」の必要性

もちろん短期的に見れば、天然資源の確保と新たな市場獲得を中東・アフリカ圏で目指すために、日本の経済力、技術力を活かしたインフラや原発の輸出、高い技術力を誇る農業や医療分野での「産業支援」が相互的発展に資すると言えるでしょう。

もっと言うのであれば、中・長期的視点に立った時に、中東・アフリカ圏において最も重要な要素は「教育」であり、この「人材育成」を重視する姿勢こそが、先行する欧米や中国との差別化を最大限に発揮することができると言えます。

アフリカと同じく若年人口が爆発的増加を遂げている中東・イスラム圏では、「産業発展による雇用創出」と「教育改革による人材育成」の両輪が上手く回っていかねば、若年層の受け皿を作ることが出来ず、極端なイスラム教育を無償で行っているような原理主義グループに身を投じてしまうというジレンマを抱えています。

学力的に、中東・アフリカにおける基礎学力を見てみると、世界水準からはまだまだ程遠く、特に中東・イスラム圏においては教科としての「理系教育」が脆弱であるという統計もあります。

国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)によると、48か国が参加した中学2年生の数学に関しては、中東・イスラム諸国が下位グループをほぼ独占している現状で、特に40位以下に経済的には恵まれ、教育レベルの高いはずの湾岸産油国が4か国もありました。

反面、「数学の勉強は楽しいか」という問いについては、逆に中東・イスラム諸国が上位を独占する傾向があり、これは理系への憧れが強く、優秀な子弟には無理をしてでも良質な理系教育を受けさせるというアラブ人の資質を強く表した指標だと言えます。

◆女性パワーの解放は「なでしこモデル」にあり

また、既に訪れているコートジボワールでは、内戦に関わった元兵士の社会復帰や女性の自立、警察能力の強化などに約770万ドルを支援することを公表しましたが、特に女性パワーの解放という点で日本が協力できる点が多いと考えます。

人口の大半がイスラム教徒の中東・イスラム圏はもちろん、今回訪問したアフリカ諸国でも、イスラム教徒の割合は少なくないこともあり(コートジボワール38.6%、モザンビーク17.8%、エチオピア30%)、総じて女性の社会進出や女性の人権が軽視されている傾向は否めません。

特に中東イスラム圏においては、近代以降、西洋文明との接近によって、西洋女性の慎みのなさ、不道徳等を垣間見たムスリムたちが、女性たちが「西洋化」することへの恐怖心を持ち、イスラムの伝統を厳格化させ、女性を更に閉じ込めたとも言われております。

反面で、ムスリム男性たちから日本人女性の姿は好感をもって捉えられることが多いのも事実です。

昨年「おしん」が映画化されましたが、ドラマ版の「おしん」は世界63カ国で放映され、忍耐しながら勤勉に生きる「おしん」を通して、日本女性の健気さとたくましさが大好評を受け、特にイランやエジプト、アフガニスタンなどでは驚異的な視聴率を記録しています。

また筆者自身、一昨年中東に留学していた際、ドバイ政府の女性高官と会食をする機会を得ましたが、「日本人女性は欧米女性と違って、キャリアウーマンでも自己主張が強くなく、優しくて、とても親近感を感じた」という話がとても印象的でした。

◆自信を持って日本型教育の輸出を前進させよ

中東やアフリカ圏でも親日感情は非常に強く、日本が持つ歴史、技術力、ソフト力などが憧れの的となっておりますが、根底にはそれらを生み出す日本人自身への強い尊敬の念があります。

そうした「どのようにしたら日本人のような国民を生み出すことができるのか」という問いに対して、我々は国家をあげて答えを提示するべきだと考えます。

先日サッカーのACミランに入団した本田圭祐選手が入団会見でサムライ精神について聞かれ、「日本の男性はあきらめない。強い精神を持っていて、規律を大事にしている」と答えましたが、規律教育をベースにした初等教育から企業教育までをパッケージとした「日本型教育」を自信を持って輸出していくことです。

その中で柱となるのは、前述した「理系教育」と「女性パワーの解放」だと考えます。

既に、エジプトでは「エジプト日本科学技術大学(E-JUST)」と言われる産官学連携による理系大学が導入され、高い評価を受けております。

そうした日本型理系教育の輸出を本格的に行うことで、日本の技術を受け継ぎ、その地域において永続的に産業発展させていく人材の育成を行うことができます。

また、欧米型キャリアウーマンとは異なる「なでしこモデル」を提示し、中東・アフリカ圏の女性たちに勇気と希望を与えると同時に、今まで活用されていなかった半数の人的資源が国家の発展に寄与する道を創ることができます。

教育の力は絶大です。本格的な日本型教育の輸出によって、永遠に途切れることのない強い絆を中東・アフリカ圏と分かち合うことが出来るのです。

【参考文献】
「ネルソン・マンデラ ラスト・メッセージ」 大川隆法著
「イスラム世界はなぜ没落したか」 バーナード・ルイス著

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

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