このエントリーをはてなブックマークに追加

日本の岐路を左右する2つのねじれ

過日の参院選は、衆参のねじれ解消が最大のポイントでした。

幸福実現党は、参院選中において「本当に議論しなければいけないのは衆参のねじれではなく、自公のねじれ」だと主張してきました。

つまり、自民党と公明党は連立相手ではありますが、憲法改正問題や歴史認識問題で決定的な違いを有しているからです。これを便宜上、「第一のねじれ」と呼ぶことにしましょう。

自民党自体は、党是に憲法改正を明記している「改憲政党」ですが、公明党は「護憲政党」であり、特に憲法9条の改正反対、集団的自衛権の行使に対しては断固反対と主張しています。

普通に考えたら連立を組むべきではありませんが、なぜか両党は今回の選挙でも蜜月関係に入り、筆者の地元である静岡県でトップ当選した自民党現職議員は「安定は希望である」と当選後にコメントしています。

この標語は自民党ではなく公明党のものなので、筆者は一瞬耳を疑ったほどです。

◆靖国参拝問題が第一関門か

これから8月にかけて公明党の存在が影響力を増していくことは間違いありません。

8月15日は終戦記念日ですが、必ず問題視されるのが首相や閣僚による靖国神社参拝です。公明党が自粛を呼びかけるのは火を見るよりも明らかであり、安倍総理らが同党を配慮して参拝を自粛する可能性は高いでしょう。

また、現政権が、中国や韓国からの反発や左派系のマスコミからの批判を恐れることも容易に想像されます。そうなれば、公明党の山口代表は笑いが止まらないでしょう。

その結果、中国や韓国からの歴史認識問題の言いがかりが加速。国内の民主党や社民党、共産党などの左派勢力の活性化によって安倍総理は憲法改正を口にすることもできず、日本の誇りを取り戻すことは一層困難になります。

自民党が圧勝したから日本が保守化すると思ったら大間違いで、公明党と組んでいる以上は、かえって左傾化が加速する可能性があることも想定しなければなりません。

安倍総理が政局を気にされるのは仕方ありません。ただ、日本が置かれている東アジアでは、尖閣危機や台湾海峡沖での日米中の衝突、あるいは朝鮮半島での戦争か紛争の可能性があります。

幸福実現党が、立党以来「自衛隊の軍隊化と集団的自衛権の行使」などを明記した憲法9条改正や緊急対応としての憲法前文の解釈変更を主張しているのは、こうした国際情勢を鑑みての現実的な政策提言です。

要するに、現在の自公のねじれは、日本を国防の危機に陥れる危機を孕んでいるため、決して無視できない問題なのです。

◆日銀内のねじれ

「第二のねじれ」は、日銀総裁と副総裁の間に存在する増税に関する認識ギャップです。

この論点はまだマスコミでは使用されていません。筆者のみが便宜上使っていることをご了承下さい。

7月29日、黒田総裁は都内での講演において消費税の引き上げが「日本経済の成長は大きく損なわれない」と発言しています(7月29日 Bloomberg 配信記事)。

また、同総裁は日銀政策委員会メンバーも同じように考えているとも言っています。黒田総裁の狙いは、「異次元緩和」を通じてデフレ脱却をなし、2年で2%の物価上昇率を実現していれば名目成長率も高まるので、増税の効果を打ち消すということでしょう。

果たして本当にそうなのでしょうか?少なくとも、岩田規久男副総裁は、現時点での消費税引き上げについて否定的です。岩田氏が副総裁に就任する前に出版されている『リフレは正しい』などでは、成長による税収増を強く主張しています。

つまり、消費税増税は税収を減らし、デフレ脱却を不可能にするということ。今やるべきは、増税ではなく経済成長だという論点であり、幸福実現党の経済政策と同じ主張です。

2015年までに二段階に分けて行われる増税は、どう考えても成長を阻害します。そして、せっかくの金融緩和の効果も打ち消してしまいます。

筆者には、黒田総裁の意見が日銀政策委員会全員の総意とは思えません。黒田総裁が財務省出身で、前職で培われた文化が強く影響しているのでしょうが、あまり軽率な発言をしては困ります。

◆増税法案は予定通り実行されるのか

今回の自公圧勝により、消費税増税法案は計画通り実行される可能性が高まりました。

秋口に安倍総理が景気の動向を鑑みて判断を下すわけですが、日銀総裁の増税容認発言が強く影響しなければ良いことを願うばかりです。僅かな希望としては、内閣官房参与の浜田宏一イェール大学名誉教授は、岩田副総裁と同じ見解を出していることです。

以上、二つのねじれについて語ってきましたが、政権運営を間違うと、日本が国防と不況を招くシナリオが訪れます。従って、衆参ねじれ解消に浮かれている暇はありません。

日本の豊かさと誇りを取り戻す戦いは、参院選が終われども続いているのです。そこに、幸福実現党が戦い続ける意義もあるのです。(文責:党静岡県本部幹事長 中野雄太)

中野 雄太

執筆者:中野 雄太

幸福実現党 静岡県本部幹事長

page top