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北朝鮮が仕掛ける「6カ国協議」再開の罠

北朝鮮の方針転換が意味するもの

開城(ケソン)工業団地とは、韓国が「南北経済協力事業」として始めた、南北軍事境界線に近い北朝鮮の開城の工業団地のことです。

4月、北朝鮮は韓国マスコミの報道や韓米軍事訓練などを理由に、開城工業団地への労働者の立ち入りを禁止し、操業を停止しました。(4/10 産経)

ところが、6月9日、北朝鮮側の提案により、開城工業団地再開をめぐる韓国と北朝鮮の実務者協議が板門店で行われ、12日にソウルで閣僚級会談を行うことで合意しました。(6/9 FNN「韓国と北朝鮮、開城工業団地再開などめぐる実務者協議を開始」)

これまで韓国側からの開城工業団地再開に向けた交渉に応じなかった北朝鮮が、一転して韓国に再開協議を提案した背景には何があるのでしょうか?

一転して「対話姿勢」を見せ始めた北朝鮮

再開交渉のタイミングとしては、6月7~8日にかけて行われた米中首脳会談に合わせて、北朝鮮の「対話姿勢」を見せ、米国を交渉のテーブルへと引き込む狙いがあるものと推測されます。(6/7 毎日)

遡ること5月中旬には、北朝鮮は飯島氏の訪問を受け入れ、5月下旬には金正恩第一書記の特使として崔竜海総政治局長を中国に派遣し、中国の習近平主席に6カ国協議に応じる考えを表明しています。(5/24 産経)

中国は、北朝鮮が6カ国協議に応じる条件として、中国側が小麦粉など食料1億ドル、原油1億ドル(計200億円)の支援を提示したことを明らかにしています。(6/7 産経)

また韓国日報は、5月末に米国のキング北朝鮮人権問題担当特使と北朝鮮の6カ国協議首脳代表の李容浩外務次官がドイツのベルリンで接触。昨年4月の長距離ミサイル発射で協議が中断していた北朝鮮への「食糧支援」等が話し合われた可能性があると報道しています。(6/7 毎日)

北朝鮮の核放棄は絶対にない!

しかし、過去に2度に渡って行われた6カ国協議では、エネルギー支援と食料支援を引き換えに、北朝鮮に対して核開発の放棄を要求してきましたが、2回とも北朝鮮は約束を破り、昨年12月には3回目の核実験を実施しています。

もし三度目の6カ国協議が行われ、核開発の放棄と引き換えに北に食糧援を行っても、結局、北朝鮮は核を放棄をするどころか、核実験やミサイル発射実験を繰り返すことは間違いありません。

その第一の理由は、北朝鮮「金王朝」の初代・金日成の建国理念が「強盛大国の実現」にあるからです。「核の放棄」は、北朝鮮からすれば、「建国理念」そのものを否定することに他なりません。

第二の理由は、北朝鮮の核開発は、中国の核開発をモデルにしている点にあります。

かつて、米ソは中国の核開発を封じ込める圧力を加えましたが、中国は「核を持つ米ソに核開発を禁止する資格はない」として、核開発を止めませんでした。

その後、パキスタンやインドも核開発の際には世界から圧力が加わった経過がありますが、現在、中国、パキスタン、インドに対し、核廃絶を求める国は無くなりました。

北朝鮮も「核保有国」として世界に認められれば、世界は北朝鮮の核を封じる手立てはなくなることを知っています。ですから、北朝鮮はアメリカに対して、必死に「核保有」を認めさせようとしているのです。

北朝鮮の「経済建設と核武力建設」の並進路線

日本でもほとんどの政党が「北朝鮮との対話」路線を訴えていますが、北朝鮮に対して、いかなる支援を行ったとしても、北は核を放棄することはないでしょう。

それどころか、金王朝の延命に力を貸すだけで、北朝鮮は小型化した核を搭載した長距離ミサイル発射実験を今後とも繰り返し行い、日米韓に対する威嚇を止めることはないでしょう。

実際、「朝鮮戦争再開か」と思わせるような北朝鮮が挑発的発言を続けていた時期、3月31日の朝鮮労働党中央委員会総会で「経済建設と核武力建設」を同時に進めるという「新たな並進路線」が示されました。

それを裏付けるように、朝鮮の原子力総局報道官は4月2日、2007年10月の6カ国協議の合意で稼働を中止した寧辺の黒鉛減速炉を改めて整備し、再稼働させる方針を表明しています。(4/2 産経)

「経済建設と核武力建設」の並進路線の背景には、北朝鮮は「核武力建設」を最優先としながらも、その開発費用を捻出するために、兵を養う食料と外資を呼び込む戦略です。

今回、北朝鮮側から開城工業団地再開に向けた提案がなされたのも、外資を呼び込み、「核武力建設」の費用を捻出するためではないかと推測されます。

日本は北朝鮮にどう向き合うべきか?

6カ国協議の再開は、約束を守らない北朝鮮の核実験、ミサイル発射を勢いづける結果に終わるでしょう。

そうならないためには、北朝鮮の巧みな外交交渉に踊らされることなく、国際社会が引き続き経済的圧力を与え、核開発の資金を作らせないことが肝要です。

そのためには、日本としては第一に、米軍と協力した上で武器輸出を目的にする北朝鮮船を徹底的に取り締まるべきです。

第二に、中国の北朝鮮支援を封じるべきです。そのためには、日本は国連に働きかけ、北朝鮮の国境に接する中国遼寧省丹東に国連軍を駐留させ、中国からの北朝鮮への軍事支援物資の流通を取り締まるべきです。

また、中国陸路を通って中東への輸出される北朝鮮の武器輸出を取り締まり、北朝鮮が外貨を獲得する道を封じるべきです。

第三に、それでも北朝鮮への食料支援を行うとするならば、第三国のマスコミなどを入れることを条件に、軍隊ではなく北朝鮮人民に広く食料が行き渡るように配慮することを求めるべきです。

(幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩)

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党広報スタッフ 課長代理

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