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今こそ自主防衛に舵を切れ!―北朝鮮の狙いと米国の軟化方針

北朝鮮の狙いとは?

現在、北朝鮮がミサイルを撃つか撃たないかのギリギリの線で国際的な駆け引きがなされています。

日本のマスコミは「北朝鮮のミサイルが本当に発射されるのか」「いつ発射されるのか」等について、様々な憶測を流しています。

しかし、問題の本質は「ミサイル発射」という事態そのものよりも、北朝鮮がミサイルを撃つ目的と、第二次朝鮮戦争も含め、ミサイル発射がどのような事態を引き起こすのかということにあります。

北朝鮮の狙いは、米国との直接交渉によって金正恩体制維持の保障を得ることにあります。

そのために、ミサイル発射で日米韓に揺さぶりをかけ、アメリカの譲歩を引き出そうとしているのです。

米国の軟化方針

実際、こうした揺さぶりを受けて、米国は軟化方針を見せ始めています。

米国の対北対処方針は当初、北朝鮮に対して圧力を強める戦略に基づき、ステルス爆撃機や戦闘機、特殊部隊潜入用の潜水艦などの最新兵器を次々に投入して来ました。

しかし、米軍がこうした強硬策を取った結果、北朝鮮はより強硬姿勢を強め、南北が対峙する最前線での偶発的な軍事衝突の懸念が増大しました。

このためオバマ米政権は一時的な圧力緩和を示唆。状況を安定的にする方向に軌道修正しています。(4/12 産経「北を『甘やかさず、刺激せず』着地点探る米韓」)

アメリカのジレンマ

こうした軟化方針の背景には、アメリカが中東問題と北朝鮮問題を天秤にかけ、まずは中東問題の解決を優先するという方針があるものと思われます。

なぜなら、中東問題にはイスラエルが関わっているため、事態を上手くコントロールしなければイスラエルが戦争を仕掛ける確率が高いからです。

これはイスラエルが過去に戦った戦争や軍事作戦からも容易に伺えます。

ペルシャ湾に原子力空母を2隻配置していたのは、イランの暴発を抑えこみ、湾岸諸国を安心させる目的もありますが、もう一つはイスラエルに早まった行為をさせないという目的もあります。

その証拠に、現在、ケリー国務長官が中東歴訪中ですが、外交で時間稼ぎをしている内にペルシャ湾の原子力空母を引き抜き、アジアへと派遣しています。

アメリカは北朝鮮の問題に専念できない

また、シリアの内戦に対する支援をいかにするかもアメリカの大きな懸案事項の一つです。

仮に軍事介入を選択した場合、リビアにおけるNATO主導の作戦と似たような作戦を展開する可能性があります。

そのためには、イギリス、フランス、イタリア、スペインの空母が必要になりますが、イギリスとフランスはマリに軍事介入を行っているために余力がなく、イタリアとスペインは財政が悪化しているために空母を派遣できるかどうか疑問です。

このように、米国が北朝鮮問題にかかりきりになれない状況が生じています。

第二次朝鮮戦争勃発の恐れ

そうなると慌てるのが韓国です。

韓国はこのような緊張状態の継続をよしとはせず、事態解決の糸口を探っていますが、北朝鮮の狙いは韓国ではなく、アメリカの譲歩にあるため、事態はそう簡単に改善しないはずです。

最悪のケースでは、朝鮮半島において緊張状態が昂じ、偶発的に戦争が始まる危険性があります。

その場合、日本は現在、戦争に巻き込まれることを想定していないため、様々な形での影響が想定されます。

北朝鮮は12日、「日本が一瞬でも動きを見せれば、戦争の火花はまず日本で散ることになる」と威嚇しています。(4/12 NHK「北朝鮮 動きあれば戦争の火花は日本で」)

同時に、日本の治安はかなり深刻化します。日本にある米軍基地に対する工作のために、北朝鮮の特殊部隊が侵入するからです。

日本は今こそ自主防衛に舵を切るべき

このような不確実な情勢に対応するためには、日本自身の軍事力をどのようなものにデザインするのかを考える必要があります。

現在、日本政府には「自分の国は自分で守る」という発想はありません。あくまでもアメリカに「おんぶにだっこ」の安全保障になっています。

しかし、米国が東アジア問題に専念できない状況が生じており、朝鮮半島有事が日本にまで飛び火する危険も高まっています。

幸福実現党は「自分の国は自分で守る」ことを安全保障政策の中心に据え、憲法9条改正をはじめ、国防強化による領土領海の保全などの自主防衛政策を提言し続けています。

幸福実現党は「自主防衛」を掲げる唯一の政党であり、日本を守ることができる政党は幸福実現党以外にはありません。
(文責・黒川白雲)

黒川 白雲

執筆者:黒川 白雲

前・政務調査会長

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