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TPP参加で、農業後継者を地方に呼び込むチャンスとしよう!

全国農業協同組合中央会(JA全中)などの農林漁業、消費者関連の8団体(4千人規模を動員)は12日、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加に反対する緊急集会を東京都内で開きました。

JA全中は、2月のTPPに関する日米共同声明で「全ての物品が交渉の対象とされる」「最終的な結果は交渉の中で決まる」などとされたことを問題視。

政府が早期に交渉参加を表明することになれば「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対」とした自民党の政権公約に反すると怒りを露わにしました。(3/12 産經)

昨年12月の総選挙で当選した自民党議員295人(復党議員含む)のうち、205人が選挙公約でTPP参加に「反対」を表明していました。これは、全体の約70%を占めています。(3/4 赤旗)

「これでは公約違反だ」「自民党は政権公約を守れ」の怒りの声が全国各地であがっています。

「国益を考えたらTPPには参加すべきだが、総選挙で農家、医療関係の票はほしいので、例外品目を勝ち取るべくTPPに参加します」というのが自民党の本音(公約)でした。

それを「例外なき関税撤廃が前提ならば、TPP反対」という選挙公約を掲げたことにより、今、そのツケがまわってきたといえましょう。

選挙で論点をぼやかし、先送りすることが、「人気の秘訣」なのか、「不誠実の象徴」なのかは、議論の分かれるところでしょう。

幸福実現党は、TPPに参加すべきとはっきり主張しています。(3/8 サンケイビジネスアイ 矢内筆勝党首コラム「TPP参加で日本を強く、豊かに 」)

農業従事者の平均年齢は66歳です。放っておけば10年後には後継者難から自然崩壊するのは火を見るより明らかであり、TPPを日本農業変革の好機とすべきであることは衆目の一致するところと思います。

規制緩和により、農地の集約化、大規模化、あるいは工場生産化によって国際競争力をつけ、日本の優秀な農業技術によって付加価値の高い農産物を輸出し、農業を輸出産業に育てることも可能であると訴えています。

しかし、一方で高低差の激しい日本の地形から大規模化にそぐわない農地が多いのも日本の現状です。美しい日本の風景として後世に残したい棚田などはその典型でしょう。

農地法第3条は、北海道では2ヘクタール、都府県では50アール以上でないと農地を購入することが出来ないとされています。(実際は、市町村ごとに別途条件を定めている)

私の知人(会社員)の配偶者は、約10アールの耕作放棄地でブルーベリーの生産を行い、収益を上げています。

しかし、50アール未満なので農地を購入することが出来ず、農家と認定されません。借地で小作農としての立場に甘んじ続けなければならないのです。

この事例は兼業農家の形になりますが、耕作放棄地が有効に活用されています。

兼業農家の存在が、保護農政の悪しき果実と批判される向きもありますが、大規模化にそぐわない高低差のある山間部においては、農地法3条の規制などを緩和し、逆に兼業農家を呼び込むことで耕作放棄地の増大、山間地の荒廃を防ぐことが可能です。

さらに、補助金農政の代りに農家の所得税を減税・フラット化し、大きな収益をあげても累進課税されないことで、後継者育成の大きなインセンティブとなります。

要するに、規制緩和により、大規模集約化も推し進め、大規模化のそぐわない山間地は兼業農家を後継者として呼び込む施策を考え、荒廃を防ぐことも十分可能であるのです。

前述の知人は「狭い農地でも収益をあげる自信はある。それが規制で足かせをはめられている。余計なお世話だ」と規制に不満を漏らしています。

TPP参加を機に、規制緩和を推し進め、国際競争力をつけると同時に、山間地域の環境保全も実現するWIN-WINの道が存在するのです。
(文責・加納有輝彦)

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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