TPPは日本の生命線。安倍政権は交渉参加を急げ!
貿易立国・日本が生き残る道
2月13日、米国と欧州連合(EU)は、自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉を開始すると発表をしました。
地球儀をイメージして頂ければ判りますが、アメリカとEUは、大西洋を囲むように存在しています。
中国のような新興国に比べれば成長力は劣りますが、大西洋の両雄が関税の相互撤廃を目指して交渉を始めたのです。
交渉は難航するでしょう。されど、もし地球上のGDPの約5割を占める世界最大の経済圏が誕生すれば、日本が貿易面で大打撃を受けるのは必定です。
さらに、地球の貿易・投資のルール作りにおいても、今以上の脇役に追いやられることでしょう。
貿易立国・日本が生き残る道は明らかです。
太平洋を囲むアメリカをはじめとする諸国間で構想が持ち上がっている、聖域なき関税撤廃を前提とするTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に、速やかに参加することです。
まずは交渉に参加し、有利な条件を引き出せ!
安倍政権は当然ながら、水面下で交渉参加を模索していますが、ここにきて、与党・自民党内でTPP参加反対の動きが強まっています。
夏の参議選を前に、農協(JA)や医師会系の組織票を失いたくないという議員心理からでしょう。
そうした中、安倍首相は今月22日のオバマ米大統領との首脳会談で、農業等に「聖域」を認めさせようと必死のようです。
要は「TPPには参加するが、コメや乳製品などの特定品目は例外として、引き続き高い関税率を残すことを認めて欲しい」ということです。
されど、ドライなオバマ大統領が日本だけを特別扱いする保証はありません。
また、「世界一の技術と品質を持つ日本農業を、いつまでも高関税(例、コメ778%、乳製品360%)で保護すべきなのか」という議論もありましょうが、今回は深入りしません。
今回、私が指摘したいのは、TPP交渉参加を表明している各国とも、多かれ少なかれ、日本と同様、自国産業保護のための譲れない領域を抱えているという事実です。
各国とも複雑な内部事情を抱えながらも、将来の国益を踏まえて、交渉の場に出てきているのです。
ならば日本も、まずは交渉に参加すべきです。その上で、少しでも自国に有利な条件を引き出すように努める。それが外交であり、政治ではないでしょうか。
TPP参加こそ、経済成長戦略の要
いずれにせよ、TPPへの参加は、貿易立国・日本が生き残るための生命線であり、アメリカとの同盟関係を深める安全保障上の新たな柱であり、そして、新たな経済成長戦略の要でもあります。
安倍政権は現在、大胆な財政出動と金融緩和に取り組んでおり、一定の効果も出ています。されど、この二本の矢だけでは、早晩、経済は失速するでしょう。
今、求められているのは第三の矢、新しい雇用と企業の発展を促す、経済成長戦略であります。
反対派の主張にもありますが、確かにTPP参加によって、日本の産業構造や地域社会に様々な影響が出るでしょう。
されど、より自由な貿易環境のもとで諸外国と連携を深めながら、新たな経済成長の道を模索する中に、我が国が生き残る道もあると思います。
改めて訴えます。我が国は一刻も早く、TPPへの交渉参加を表明して、交渉のテーブルにつくべきです。
その上で、少しでも有利な条件を引き出すように努めるのが、政府の使命であります。
与党・自民党の国会議員には「選良」として、国益を踏まえた言動を求めます。
そして幸福実現党ですが、これからも大局的な見地に立って、TPP参加の必要性を訴えて参ります。
(文責・幸福実現党総務会長 加藤 文康)