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安倍政権、「核の不使用」に署名へ――日本の国防は如何にあるべきか

◆政府が「核の不使用」署名へ

安倍政権は、国連総会第1委員会で今週発表される予定の「核兵器の廃絶を求める共同声明」(「核の不使用」)に署名する方針を先週11日に固めました。(10/11朝日)

同声明には、スイスやニュージーランドなど16カ国が参加する予定ですが、「核兵器使用が人道上、破壊的な結果を招く」として、廃絶を訴える内容になっています。

4月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会で発表された声明では、スイスなど70カ国以上が署名しましたが、日本は「米国の核抑止力に頼る政策と合わない」と判断し、署名を見送っていました。

◆「核の不使用」署名の背景

政府が一転して「核の不使用」署名する方向に転換した理由は、核廃絶を求める広島や長崎の反核団体から4月の署名を見送ったことに対する激しい抗議があったからです。

反核団体は、来年4月に広島で軍縮・核不拡散をテーマに開催される外相会議や、2015年の原爆投下70年にあたり開催される国際会議で、日本から「核廃絶」の声を挙げる絶好のチャンスと睨んでいるのでしょう。

安倍政権としては、日本から提案して「核の抑止力を否定しない」内容に声明が修正できれば、安倍首相が掲げる「積極的平和主義」とも沿うと判断しているわけです。(毎日10/12)

10月3日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、拡大抑止(核の傘)を巡る米国の日本防衛の関与を確認しており、「核の不使用」に署名しても防衛政策の基本に変わらず日本を縛る法的拘束力もありません。

つまり「核の抑止力を否定しない」声明に変更させて「条件つきの署名」にしようとしています。ある意味では、核抑止力の可能性を残して、広島をはじめ反核団体の反発をかわす「アリバイ的署名」と見えなくもありません。

◆世界に拡散する「核」

しかし、今回の「核の不使用」署名の大きな問題は、アメリカ・中国・ロシアなどの「核保有国」や核保有をほのめかす北朝鮮が加わっていないことです。

核を持っていない国がたくさん集まって「核廃絶」を訴えても「核保有国」が核を放棄することはありません。核軍縮交渉は、核保有国同志が話し合って始めて成立します。ただし過去の「米ソ軍縮交渉」などみても、核保有国同志の交渉すらうまくいかないのが現実です。

かつて中国は、数千万の餓死者を出しても、お金を核兵器の開発につぎ込み核保有国の地位を確立しました。米国は中国の核兵器輸出を阻止しようとしましたが、中国は米国を騙してパキスタンに核を拡散したのです。

中国から学んだ北朝鮮も、餓死者を出しても罪意識すらなく、米国を騙して核開発を行っていました。既に北朝鮮内には、原子力発電所や原子炉、ウラン濃縮施設など15の核施設が確認されています。(10/14 TBSニュース「北朝鮮に15の核施設確認、韓国議員が明らかに」)

したがって核保有を国家の最大の命題としている北朝鮮が「核廃絶」などの声明に参加する可能性はゼロです。

◆日本を守る道

日本を核で脅すような「平和を愛しない諸国」が近隣に存在する中で、日本の安全を守るためには、いまのところ米国の「核の傘」に頼る以外にはありません。

日米同盟を維持し、「集団的自衛権」を行使すれば、北朝鮮や中国は、簡単に日本を攻撃することは出来なくなります。

つまり日本を攻撃した国は、軍事力で圧倒的に上回る米軍から「ドラマ・半沢直樹」のように「倍返し」の攻撃を受けることになります。

これが「集団的自衛権」であり「抑止力」というものです。日本の戦後の平和は、「平和憲法」のおかげだったのではなく、米軍の「核の傘」のおかげだったのです。

◆まだ核を持っていない日本が「核の不使用」?

まだ「核」も持っていない日本が「核の不使用」署名をすることもおかしな話ですが、安倍政権に署名を迫った反核団体の最大の目的は、米軍に「核兵器」を使用させないことです。

日本を守っている米軍の「核の傘を無力化」して喜ぶ国はどこでしょうか…

日本を取り巻く国際情勢は、オバマ発言にみられるように、米国が世界の警察を放棄しかねない時代に突入したことです。「平和を愛さない諸国」から日本を守るためには、日米同盟を維持しつつも、自主防衛を整備すべき時は既に来ているのです。(文責・政務調査会 佐々木勝浩)

 

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党 広報本部スタッフ

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