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韓国・新大統領誕生――日本はしたたかな外交を

2012年は、世界各国で政治指導者の交代や重要な選挙がありました。

1月、台湾で、馬英九総統の再選。

3月、ロシアでプーチン大統領の誕生。

4月、フランスで、オランド大統領の誕生。

11月、アメリカでオバマ大統領の再選、中国で習近平体制の発足。

12月、日本では自民党の大勝、韓国で朴槿恵大統領の誕生。

日本で行われた衆議院総選挙が終わったのも束の間、12月19日には、お隣の韓国で大統領選挙が行われ、保守系与党・セヌリ党の朴槿恵(パククネ)氏が勝利しました。

朴槿恵新大統領は韓国では初めての女性大統領です。また、父親の朴正煕(パクチョンヒ)氏も大統領で親子2代の大統領となりました。

朴槿恵新大統領は対外的には保守として知られ、軍事的拡張を進める中国や、長距離ミサイルの発射を強行した北朝鮮に対して、日米韓の協調を深めるには良い環境になったと言えます。

なぜなら、大統領選挙で敗れた左派系・野党、民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)氏は、北朝鮮に対して融和的な政策(盧武鉉(ノムヒョン)前政権の太陽政策)をとる考えだったからです。

アメリカでも、韓国の大統領選挙の結果に対して好意的に見ており、オバマ米政権は保守系の朴氏の当選に、ひとまず安堵していると見られています。(12/20 毎日)

さらに、特筆すべきは、日本では保守回帰が鮮明になりましたが、韓国でも保守回帰へと論調が大きく変わってきていることです。

4月11日の韓国の総選挙では、朴槿恵氏が党非常対策委員長に就任し、劣勢の中、セヌリ党が過半数を獲得(152議席)しましたが、北朝鮮がミサイルの発射を予告していたにも関わらず(4月13日に発射)、選挙の争点は「経済政策」と「格差是正」でした。

しかし、今回の大統領選挙では、韓国各紙は50代以上の中高年を中心にした『隠れた保守層』が危機感を持って結集した結果だとの分析を伝えており、選挙戦最中に起きた北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射などで「安全保障をめぐる危機意識が保守層を総結集させた」と分析しています。(12/20産経「初めて尽くしの韓国次期大統領…高齢者の『反乱』が勝因と各紙」)

日本と同様、韓国でも保守回帰への動きが見られましたが、この変化には「韓国を守りたいなら、日本と友好的な関係構築に努めるべき」と、幸福実現党は一貫して主張し続けてきたことも見逃せません。

朴槿恵(パククネ)新大統領は、対日関係では、「過去より未来」を強調しつつも、竹島に対しては、厳しい姿勢で臨むとしています。

今月4日に行われた、テレビ討論会でも、朴槿恵氏は「日本に正しい歴史認識を求める」という主旨の発言をしていますが、そっくりそのまま、「韓国に正しい歴史認識を求める」と返したいところです。

ただし、韓国では「『親日派』は今でも韓国でも売国奴という最大級の政治的ののしりになっている。対日外交の展開しだいでは、すぐその非難の矢が飛んでくる」(12/20産経)という状況も分かった上で、日本としては、したたかな外交を取るべきです。

「防衛面の協力」「ウォン高圧力」などの外交カードを使いながら、「日韓基本条約に則って、竹島は日本の領土と認めることが、韓国の安全を守るためにも必要なのだ」と韓国国内で理解を得やすい政治環境の演出を考えるべきです。

北朝鮮と中国への対応を取るために、日米韓の協調を取る流れの中で「北朝鮮と中国から、韓国を守るという名目で、竹島に日本の防衛施設を置く」など、韓国に譲歩を迫るしたたかさも同時に必要であります。

さあ安倍外交。どうなるでしょうか。
(HS政経塾1期生吉井としみつ)

吉井 利光

執筆者:吉井 利光

HS政経塾部長(兼)党事務局部長

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