【家計調査の実態】国民は「アベノミクスの恩恵」など実感していない
【家計調査の実態】国民は「アベノミクスの恩恵」など実感していない HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「家計消費」から一世帯の収支を見たら・・・ 自民党は、経済政策の成果として、可処分所得が増えたことをあげています。 (公約パンフレット等:約293兆円〔2012年〕⇒302兆円〔2017年〕) アベノミクスで暮らしが良くなったと訴えているわけですが、この累計の値をみても、家計の実態は今ひとつ、よくわかりません。 その主張の真贋は、一世帯あたりの所得や消費の推移を見なければ、わからないからです。 そのため、本記事では、総務省が実施する「家計調査」を用いて、その実態に迫ってみます。 ◆安倍政権で、一世帯あたりの可処分所得はどうなった? 家計調査には、項目別に収入や支出、消費の増減がわかるというメリットがあります。 「可処分所得」は、給与やボーナスなどの個人所得から税金や社会保険料などを引いた「手取り収入」なので、当然、この調査にも含まれています。 2012年から18年までの一世帯あたりの実収入と税+保険料、可処分所得は以下のように変化しています。 この数値は、どれも、一ヶ月あたりの年間平均です。 ▽二人以上の世帯のうち勤労者世帯 (以下、2012年⇒2018年 100円以下の単位は四捨五入) ―――――― ①実収入:51万8500円⇒55万8700円(約4万円増) ②税+社会保険料:9万3500円⇒10万3600円(約1万円増) ③可処分所得:42万5000円⇒455100円(約3万円増) ―――――― 一世帯あたりの可処分所得は3万円増(7%増)でした。 ただ、この数字は名目値なので、同時期に増えた物価を計算に入れなければいけません。 2015年を「100」とした消費者物価指数(※)でみると、2012年は「96.7」。 2018年は「101」なので「4.3」ポイント上がっています。 「%」に換算すると「4.4%増」なので、実質的には、8年間で2.6%しか増えていないことになります。 額面の値に比べるとわずかな伸び率です。 さらに付け加えれば、調査対象の世帯の平均年齢は、2012年が47.8歳、2018年が49.6歳なので、若い世帯には、実感のない数字だとも言えます。 (※この指数は「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の値) ◆1家計あたり平均でみても、消費はさえない さらに、消費の推移をみると、意外な数字が出てきます。 可処分所得が増えているわりには、消費支出が伸びていないのです。 (以下、2012年⇒2018年 100円以下の単位は四捨五入) (1)消費支出:31万3900円⇒31万5300円(1600円増) そして、貯蓄は4万6000円増えています。 (2)預貯金純増:5万6500円⇒10万2600円(46100円増) 家計は将来の不安に備えて、暮らしを切り詰めているわけです。 もうすぐ50歳を迎える世帯が、老後のために貯蓄に励んでいる姿が見えてきます。 寂しいことに「こずかい」という項目は、約4000円ほど減っていました。 (3)こずかい:15800円⇒11900円(3900円減) 「こずかい」と「消費支出」の減り具合は近い数字となり、奇妙な符合を見せています。 ◆国民が「アベノミクス」の恩恵を実感しているとは思えない 家計調査はあくまでも平均値なので、「中の上」以上の世帯の数字が加算されます。 そのため、大部分の人が集まる収入階層よりも高めの生活レベルになります。 (※本当のミドル層は「中央値」の近辺の数字になる) だいたい、正社員で勤続年数25年以上の世帯の数字だと見るべきでしょう。 しかし、それでも、この統計から、国民がアベノミクスの恩恵を実感している姿を思い描くことは困難です。 むしろ、金融庁の「2000万円報告書」に出てくる「老後に月5万円足りなくなる」世帯のように見えてきます。 (「2000万円報告書」の世帯も「平均値」での試算なので、今の家計調査の世帯がそのまま老後を迎えた姿に近い) だからこそ、貯蓄の増え幅が大きくなっているのではないでしょうか。 結局、金融庁の報告書を作成した方々のほうが、アベノミクスの成果をPRする政治家よりも、国民の生活の実態をよくわかっていました。 消費が盛り上がらない中で、消費税を増税するのは愚策です。 幸福実現党は、消費税を5%に戻し、国民が豊かさを実感できる経済の復活を目指してまいります。 【参照】 ・総務省「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」 ・総務省「2015年基準消費者物価指数 長期時系列データ 中分類指数(1970年~最新年)」
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