劣化するアベノミクス 消費税を下げないと後がない HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「10%の消費税増税」をうたう自民党は「お上の政治」 自民党が宣伝するアベノミクスは、近年、その中身が劣化しています。 当初は、日銀が大量の国債やETF等を買って資金を市場に流し、政府は公共投資を行うことで、経済成長を目指していました。 しかし、2014年に消費税が8%に上がり、消費は失速。 増税前の2013年には月あたり31.9万円あった家計の平均消費(※二人以上の勤労者世帯)が31.5万円(2018年)に戻るのに4年かかりました。 一度、落ち込んだ消費が回復するまでには時間がかかるのに、安倍首相はまた消費税を10%に上げようとしています。 経済成長という当初の目的から離れ、経済の成長分を取り立てることに血道をあげているわけです。 このことから、自民党は「お上」の政治でしかないことが再確認されました。 ◆増税反対のブレーンが二人も辞職 アベノミクスは、ブレーンの諫言を無視するたびに劣化しています。 2013年に浜田宏一氏(イェール大名誉教授)に景気失速のリスクを指摘されても、増税を決めた安倍首相は、その後も、同じ過ちを繰り返しています。 19年に入り、増税反対の代表的な二人の識者が内閣を去りました。 まず、京大大学院教授の藤井聡氏が昨年末に「内閣官房参与」をやめました。 この方は、本年初から「自由な立場」で消費増税に反対しています。 そして、4月には、アベノミクスを支えたブレーンの代表格だった本田悦朗氏が内閣官房参与を辞職。 増税路線に変わった後、2016年にスイス大使に任命され、経済政策から遠ざけられていましたが、増税10%が決まる2ヶ月前に内閣を去ったのです。 ◆安倍首相は本田悦朗氏の諫言を聞かなかった 本田氏は、首相に諫言するために大使の職をなげうって帰国しましたが、効果はありませんでした。 (米中貿易戦争による世界の景気悪化などの)「リスクが山積みする中、日本にリーマン級のショックをもたらしかねない消費増税は凍結すべきだ」(毎日5/22) 本田氏は、5月には、その持論をマスコミにも訴えています。 しかし、6月に発表された自民公約は「消費税10%」を明記。 日本経済を救うために集まった経済学者の期待は裏切られ、安倍政権は財務官僚が喜ぶ増税路線をまっしぐらに進んでいます。 18年3月に日銀副総裁を退任した岩田規久男氏が、現在、水を得た魚のように消費増税の延期を訴えている姿は、安倍政権の体質をわかりやすく教えてくれます。 ◆安倍政権は「右手で街にお金を流し、左手で減らしている」 岩田氏は、ロイターのインタビュー(2/19)で、今の日本経済を「デフレ脱却の過程にある。しかし、いつ崩れるか分からないくらい弱々しい」と評しました。 そして、消費税増税に対しては「とんでもない」と強く反対しています。 なぜかと言えば、消費の伸びはまだ足りず、十分な経済成長が定着していないからです。 しかし、安倍政権は「お上」体質なので、景気が回復したら、すぐに税金を取ろうとします。 こうした矛盾について、米公共銀行制度研究所会長のエレン・ブラウン氏は「安倍政権は右手で街に出回るお金の量を増やし、左手で減らしているようです」と批判していました。 結局、ブレーンの諫言を無視した結果、アベノミクスは「アベコベな政策」に劣化したのです。 ◆「正論を言うとクビ」なのは年金報告書も同じ。 こうした正論を拒む体質は、年金「2000万円報告書」の時にも露呈しました。 7月1日には、モデル世代で「月5万円、3年間で2000万円」の収入が不足すると書いた報告書の責任者である三井秀範氏(金融庁企画市場局長)は退任に追い込まれています。 同じ試算は厚生労働省でも用いられているのに、この人だけが退任を迫られるのは理不尽です。 ◆幸福実現党の減税で「民間が主役」の自由主義経済が復活 安倍首相は、経済政策の元をつくったブレーンの諫言に耳を傾けなくなりました。 しかし、幸福実現党は、消費税を5%に減税し、財政政策と金融政策を同じ景気回復の方向に向けることで、経済を本来の成長軌道に戻したいと考えています。 それは、今まで無視され続けてきた増税反対派の方々の意見を政治に具体化する行為です。 また、日本経済を財務省から国民の手に取り返すことでもあります。 経済の主役は「政府」ではなく、「民間」です。 増税路線の安倍政権は政府が主役になりたがっています。 しかし、幸福実現党は、減税を進めることで「民間が主役」となる健全な自由主義経済を復活させてまいります。 【参照】 ・総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」 ・毎日新聞 2019年5月22日付(朝刊5面) ・ロイター「インタビュー:脱デフレへ財政・金融協調を、増税撤回は不可欠=岩田前日銀副総裁」(2019/2/18) ・週刊ダイヤモンド「独占インタビュー エレン・ブラウン米公共銀行制度研究所会長」(2019年7月号)
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