「天安門事件の真相究明」で日米は連携を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆中国は「天安門事件」の風化を目論む 共産党が民主化を求める学生らを武力鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件が起きてから、6月4日で30年となります。 しかし、中国では言論統制が強化され、この事件への言及はいまだにタブーとされています。 この種の「禁止ワード」を削除するために、中国のネット上には「グレート・ファイアウォール」(万里の長城)が築かれ、ついにウィキペディアまでもが遮断されました。 中国共産党は、若い世代が「天安門事件」を知る機会を奪い、この虐殺の記憶を風化させようともくろんでいます。 こうした独裁体制に対して、5月末に米国の国務省から注目すべきメッセージが出されたので、その抜粋を紹介してみます。 ◆米国務省報道官が「天安門事件」をめぐり、中国を批判 5月30日、米国務省のオータガス報道官は記者会見で、天安門事件30周年をめぐる言論統制を厳しく批判しました。 「平和的な抗議者への徹底的な虐殺が行われたことを、我々は忘れてはならない」 「我々は、悲劇的に失われた無実の命を思い起こし、今までと同じく本年も、その遺族のために哀悼の意を表明する」 「米国は、他の国々や国際社会とともに、(中国に)殺された者、拘禁された者、行方不明者を完全に明らかにすることを求めている」 「我々は、天安門広場の記憶を(社会に)存続させようとしたことで投獄された人々の釈放を要求する。そして(天安門の)デモ参加者と家族への継続的な嫌がらせや威嚇を終わらせることをも求めている」 「それは、中国共産党による、組織的で恐るべき虐待であり、我々がこんにち世界で目撃したものの中で、非常に悲しむべき事件の一つだ」 ◆日本政府は「天安門事件30周年」に沈黙を守るのか しかし、日本政府は、天安門事件について、中国に真相究明や運動家の釈放などを求めていません。 それは、18年11月の訪中以来、「日中友好」が強調されているためですが、もっと遡ってみても、政権発足以来、天安門の真相究明を求めたことはありませんでした。 要するに、この問題については、はじめから腰が引けているのです。 安倍首相は、2014年の「雨傘革命」の時も「対話が実現し、それを通じて事態が平和裏に収束することを望んでいる」(2014/10/8、参院予算委)としか言えていません。 今の自民党には、中国の人権問題を批判する勇気を持った政治家はいなくなったようです。 ◆日米で連携し、国際社会と共に「天安門事件の真相究明」を求めるべき 「天安門の真相究明」については、今から四年前(2015年)に、スペインの記者が中国の報道官を詰問したことがありました 「中国は日本に歴史を正視しろと求めています。それでは、中国はいつになったら天安門事件の歴史を正視するのですか」(スペインEFE通信社のパロマ・アルモゲラ記者)。 これは、極めて理にかなった質問です。 こうした中国の人権弾圧に関しては、日本や米国だけでなく、世界各国に憤る人々がいます。 そうした自由民主主義者の声を代弁すべく、日本は声をあげるべきなのです。 ◆主要国が沈黙すれば、独裁国は人権侵害をやりたい放題 国際政治においては、結局、パワーを持つ「大国」以外は無力なので、日本や米国などの主要国が沈黙すれば、独裁国の人権弾圧を止められるものは何もありません。 そのため、世界の先進国には、独裁国の人権侵害に対抗する責務があります。 14年に香港で雨傘革命が起きた頃、最後の香港総督を務めたクリス・パッテン氏は「世界の国々は民主主義と人権で中国に対抗することを恐れてはいけない」と述べていました。 近代化された軍隊を持つ独裁政権を市民が倒したり、人権侵害をやめさせたりするには、大国の支援が必要だからです。 こうした観点から、幸福実現党は、中国の人権侵害に抗議し、国際社会に自由の危機を訴えるべきだと主張してきました。 【参照】 ・USDepartment State”Department Press Briefing May 30, 2019″(MORGAN ORTAGUS, DEPARTMENT SPOKESPERSON) ・NEWSポストセブン「天安門事件を正視しろ」習近平を叱責したスペイン美人記者(2015.6.23) ・産経ニュース「香港デモの平和裏な収束望む」 参院予算委で安倍首相(2014.10.8) ・産経ニュース「人権で中国に対抗を」 最後の英香港総督がメッセージ(2014.11.21)
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