開かれない憲法審査会 政治家の責任放棄だ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆衆院憲法審 ただいま機能停止中 北朝鮮が新型兵器の実験を行い、朝鮮半島の情勢が変わり始めていますが、日本では、いまだに平和ボケが続いています。 (※この「新型戦術兵器」は短距離ミサイルの可能性ありと憶測されている) 今の自民党の改憲案は、9条の条文を残し、自衛隊の存在を合憲化するだけの「加憲案」にすぎないので、成立しても、日本の安全保障はたいして変わりません。 そして、野党は、そうした改憲案でさえも議論を拒否しています。 昨今の国会では、まず、4月10日に予定された与野党の幹事懇談会に野党が出席を拒否しました。 日程は18日に再調整されたものの、自民党の萩生田幹事長代行が「ワイルドな憲法審査を」と発言したことに立憲民主党は反発。 ふたたび開催は見送りとなったのです。 戦後70年以上、現行憲法のままで国が安全であったことが災いして、国会議員から国民にまで、今の憲法の上にできた防衛体制に重大な欠陥があることは、広く知られていません。 そのため、憲法改正の世論は盛り上がらず、国会議員も、それを率先する熱意が足りないのです。 ◆現行の九条ではダメな理由:「軍隊」でなければ「戦争」には対応不能 日本は、憲法9条で「戦力」を持たないと定めながらも、「自衛力」という用語を使って、自衛隊の存在を正当化してきました。 「『自衛隊』は『軍隊』ではない。『自衛のための必要最小限度』の実力は持てる」と言って、憲法9条と自衛隊が要る現実との落差を埋めようとしてきたのです。 しかし、実際に戦争が起きた場合には、その差を埋めきれません。 戦争が起きれば、「想定外」の事態が続きますが、日本の行政のルールのもとでは、そうした状況に自衛隊が対処できないからです。 法的には、自衛隊は、消防隊や徴税職員などと同じ「執行機関」にあたるので、根拠となる法令がない場合には、非常時でも動けません。 (裏を返せば、「法令で想定した範囲でしか自衛隊は動けない」ということ) 安保法制などで、自衛隊も動きやすくはなったのですが、まだ、不十分な点は残っています。 例えば、自衛隊が米軍を後方支援できるのは、「戦闘行為を行っている現場」以外の地域なので、現地で戦闘が始まったら、自衛隊は退去しなければならないのです。 北朝鮮のミサイルが飛んできたり、日本国内に隠れていた特殊部隊がテロ攻撃をしかけた場合、予想外の地域が戦場に変わる危険性がありますが、そこまで考えきれていません。 そうした抜け穴は、「法令で決められたことしかできない」という枠がある限り、次々と出てきます。 こうした問題が起きるのは、自衛隊が軍隊ではなく、「行政法」の枠の中に置かれているからです。 諸外国と同じく「国際法」に則って、機動的に有事に対処できる軍隊に変えなければ、国は守れないのです。 ◆実は、安保法制でも「戦える国」にはなっていない 自民党の保守層は、今の体制の問題点を知っているので、集団的自衛権の解釈を変えただけでなく、「武器等防護」の名目で米軍艦艇を守れるようにしました。 これ自体は、日本の防衛体制を一歩前進させるものでした。 しかし、もともと、法令で全ての事態を網羅しつくすのは無理です。 仮に全てを網羅できても、有事にいちいち法令集を見ながら戦うことはできません。 自衛隊の元幹部は、今の体制だと、法令集を片手にもって戦わなければいけなくなると嘆いていました。 これは、あまりにも非現実的な防衛体制です。 こうした問題を解決するには、自衛隊を軍隊に変えなければなりません。 ◆自民党の改憲案だと、自衛隊は「軍隊ではない」まま ところが、自民党は国民を説得する自信が持てず、公明党の支持も見込めないので、現行憲法の条文を残したまま、自衛隊の根拠条文を「加憲」しよう、と言い出しました。 確かに、これができれば自衛隊は違憲ではなくなります。 しかし、9条1項と2項が残るので、この体制でも、自衛隊は軍隊ではない状態が続きます。 「有事でも根拠法令がないことは対処不能」という状態が続くので、本当は、何も変わらないのです。 ◆幸福実現党がなければ、憲法9条の根本改正は進まない 第一次安倍政権の頃、自民党は改憲の最前線にいました。 しかし、今は有名無実の加憲を掲げるだけの政党になってしまいました。 これは、政治の責任放棄です。 安倍首相は、一度、志に破れた体験のためか、憲法改正には、かなり後ろ向きになっています。 ポスト安倍と目される岸田氏はもっと後ろ向きで、人気のある小泉進次郎氏も、いまだに安保政策で目指しているものかが見えません。 自民党に、もう、憲法改正は期待できないのです。 今の日本では、幸福実現党のみが、憲法9条の1項、2項を含めた全面改正を選挙で訴え続けています。 自衛隊を軍隊にする、幸福実現党の改憲案こそが、日本を守るのです。 ※参考:九条の条文 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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