中国に垂れ流される私たちの血税――遺棄化学兵器廃棄事業

中国に垂れ流される私たちの血税――遺棄化学兵器廃棄事業 HS政経塾 第7期卒塾生 高橋 侑希(たかはし ゆき) ◆「遺棄化学兵器廃棄事業」とは 遺棄化学兵器廃棄事業をご存じでしょうか。 この事業は、今のままいくと、日本の税金を無限に中国に垂れ流すルートになってしまうのです。 廃棄事業は新聞やTVニュースで取り上げられず、国民の認知度は低いです。国民の知らないところで、毎年右肩上がりで予算をつけられ、数兆円にも及ぶといわれています。 この「遺棄化学兵器廃棄事業」の問題点について指摘します。 ◆日本が払わなくてもいいものまで払っている これまでに廃棄したものを含め約5万発を廃棄済ですが、実はこの中には日本が廃棄する義務のない通常兵器が数多く含まれています。 2014年度の回収砲弾数では、なんと、3万1743発中3万発が通常兵器でした。 通常兵器だとしても発掘する際は費用がかかります。通常兵器発掘分の費用が後から日本に返ることはありません。 ◆中国の明確な対日戦略 この事業の開始まで、中国は日本から金を引き出そうと着々と実行に移してきました。 1992年、スイスのジュネーヴで開かれた軍縮会議の席で、中国の代表が次のような演説をはじめました。 「ある外国が中国に遺した化学兵器200万発以上が中国にある」中国が指す、「ある外国」が日本であることは明らかでした。 化学禁止条約の成立に向けて、中国はこのころから国際世論形成に乗り出していきます。中国が条項に盛り込むよう強く主張したのが「廃棄の義務」でした。 これは、他の国に同意なく化学兵器を遺棄した場合、遺棄した国が化学兵器を廃棄するというものです。 ◆当時、ソ連軍、中国国民党軍も化学兵器を使っていた 当時(昭和20年)の化学兵器に関する国際条約をみると、ハーグ宣言条文「使用ヲ各自に禁止ス」と陸戦法規条文「毒又は毒を施したる兵器を使用すること」とあります。 これらの国際条約は「使用」を禁じたのであり、各国軍隊の「保有」を認めていました。 化学兵器は「開発、製造、保有」が認められ、化学兵器による先制攻撃に対して、化学兵器での報復攻撃が認められていた状態で日本軍だけが隠す必要などなかったのです。 外務省もそのように認識しています。 「ソ連軍・中国軍においても化学兵器が配備されていた。日本軍が中国軍から化学兵器を使用した攻撃を受けたとする軍関係資料が存在している。(小原雅博 外務省大臣官房参事官)平成19年12月7日 外務委員会会議録より」 双方突き合わせて持っていた状況をみると、日本軍だけが化学兵器を隠す必要があったと考えるのは不自然です。 ◆永遠に中国に税金が流れ続けるルート この事業に関する昨年の有識者会議の議事録を見ていると次のような発言がありました。 「ハルバ嶺に化学兵器が30~40万発あるが、それらは日本軍がそこに集めて捨てたわけではない。置いていかれた化学兵器を中国側がハルバに集めて捨てた」という主旨です。 この発言をしたのは日本の担当室長です。 置いて行かれた化学兵器というのは、武装解除で所有権が日本から中国に移ったものです。これらの化学兵器の持ち主は中国です。 中国のものを、なぜ日本がお金を出して処理をし続けなければいけないのでしょうか。「ここにある」「あそこに捨てた」と中国側がいつまでも言い続ける可能性があり、半永久的に事業が継続する可能性があります。 ◆日本の『誇り』を取り戻せ この事業の問題は、私たち日本人の大事な税金が、払う義務のない事業に使われているということだけではありません。根源的な問題がこの事業にはあるのです。 それは、2017年8月、中国外交部の定例記者会見で中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官の発言からうかがえます。 「日本が軍国主義の侵略の歴史を深く反省し、中国に遺棄された化学兵器を1日も早く廃棄し、清潔な土地を中国人に返還するように促す」と世界に向けて発信したのです。 この事業を半永久的に継続させることで、「日本は侵略者」といういわれなき自虐史観を押し付けられ続けることを意味します。 幸福実現党は「日本の『誇り』を取り戻す」ことを目標に活動しています。この事業の中止は、そのための一歩です。 (参考資料) 内閣府「遺棄化学兵器処理担当室」 http://wwwa.cao.go.jp/acw/index.html 平成29年7月6日(木)第17回遺棄化学兵器処理事業に関する有識者会議「2017(平成29年)年度遺棄化学兵器廃棄処理事業に係る予算について」内閣府「遺棄化学兵器処理事業に関する有識者会議」第14回有識者会議 平成27年3月4日 議事録 http://wwwa.cao.go.jp/acw/pdf/kaigi_14gaiyo.pdf 「正論」平成18年6月号、平成18年8月号、平成18年9月号、平成18年10月号 渡部昇一(2006)「歴史の真実 日本の教訓」