「開国」から「経済建設」へ舵を切った北朝鮮――日本は勇気と気概を持った外交を!【後編】
「開国」から「経済建設」へ舵を切った北朝鮮――日本は勇気と気概を持った外交を!【後編】 幸福実現党 宮城県本部統括支部長 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし) 【前編】に続いて本日は、【後編】をお送りいたします。 ◆北朝鮮の未来を描く「ビデオ映像」 米朝首脳会談の記者会見の冒頭、「男2人、指導者2人、一つの運命。」と題した4分間にわたるビデオ映像が流れました。 これは「結末は二つしかない。」として、前進するか、後退するかを迫るイメージ映像となっています。 前進は「経済建設」を選ぶ道で、株式市場や、荷物を運ぶドローン、自動車工場が映し出され、逆に後退の道は、空爆で破壊されたとみられる建物や発射台から上昇するミサイル、商品のない商店、戦闘機も映し出されています。 この映像は金正恩氏も見て、「気に入ってもらえたようだ。」とトランプ大統領は自賛。その上で、「これを現実の未来にすることができる」と述べ、非核化を選択することで北朝鮮に大規模な経済支援・投資を行うことを示唆しました。 さらに、不動産王のトランプ氏らしく、北朝鮮には素晴らしいビーチがあるので、それを活かしたマンションや世界最高のホテルを建設できると提案しています。 北朝鮮の未来の姿を示すこのビデオで、前進させるか、後退させるか、判断し行動することを促しました。 ◆積極報道されたシンガポール訪問 北朝鮮の公式メディアは、今回の米朝会談における金正恩氏のシンガポール訪問を北朝鮮は大々的に取り上げました。 「歴史的な米朝首脳会談のため」と積極報道し、北朝鮮がトランプ大統領と渡り合う国際的な地位を確保したことを宣伝。朝鮮中央放送など国営メディアはシンガポール外遊最中の最高指導者の動静を大々的に報じています。 今年3月以降、金正恩氏が2回の中朝首脳会談のため北京と大連を訪れた際には、平壌に戻るまで訪中自体を報じなかったことに比べれば、異例の報道を展開しています。 シンガポール市内の名所を観覧し、「多くの分野でシンガポールの立派な知識と経験に学ぼうと思う」と述べたと報じ、夜景を見下ろして、「シンガポールは聞いていた通り、清潔で美しく、すべての建物に特色がある」と称賛したことも伝えました。 ◆北朝鮮の「開国」で経済改革を加速 シンガポールの知識と経験に学び、それを北朝鮮に導入することは、北朝鮮の「開国」を意味します。北朝鮮が経済的に開国することで外資を誘致し、経済改革を加速させる意向を示していると考えられます。 実際、北朝鮮は今年4月の党中央委員会総会で「経済建設と核武力建設並進」の路線からの転換を宣言しています。 核開発を推進させて国際的な地位を高めることに勝利したという前提で、今後は、「経済建設のための有利な国際的環境を整える」と強調し、経済建設に集中することを宣言しました。 開国と言えば、日本では幕藩体制の解体を促進させ、明治維新と近代化の決定的条件となった出来事です。資本主義的世界市場に組み込まれ、政治、社会、経済、文化のあらゆる面で急激な変化をもたらしました。 北朝鮮が開国に向けて準備を進めているとなると、「歴史的な大転換」を迎えようとしているのです。 米朝会談で緩やかな「米朝同盟」ができました。北朝鮮が開国し、経済建設へと舵を切り、新しい時代の構築へと歩みだした事を認識すべきです。 もちろん、非核化に向けた査察の徹底など、合意の履行には十分な注視が必要ですが、日本として、この世界史的な大転換をしっかりと捉えて、未来志向で、勇気と気概を持った判断で外交を展開していくべきです。 【参考】 米朝首脳会議 共同声明の全文 ホワイトハウス公式会見録 米朝会談「歴史の新章」 トランプ大統領の会見全文 小学館 日本大百科全書 時事通信 「「前進か後退か」北朝鮮に迫る=米作製の映像、正恩氏お気に入り?」 2018年6月14日 時事通信 「ポンペオ米長官、「2年半以内」非核化を=軍事演習中止は交渉継続前提」 2018年6月14日 毎日新聞 「「国際的な地位確保」北朝鮮が大々的に報道」 2018年6月12日 毎日新聞 「ボルトン氏「協力あれば1年以内に廃棄」」 2018年7月2日 産経新聞 「ポンペオ米国務長官が訪朝 完全非核化の具体的措置で協議へ」 2018年7月6日 東京新聞 「北朝鮮、経済路線を国内で協調 「核保有」が前提」 2018年4月23日 朝日新聞 「「冷戦から新時代に」米ソ首脳会談で確認」 1989年12月4日 読売新聞 「米ソ会談 評価は歴史の中で」 1989年12月5日 高野孟 「高野孟のTHE JOURNAL」 2018年6月25日
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