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マイナス金利が日本経済にもたらした3つのこと。17年ぶりの「金利ある世界」に戻るために必要な心構えとは?

幸福実現党政務調査会 西邑拓真

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◆日銀はマイナス金利政策の解除を決定

3/18-19日、日銀の金融政策決定会合が行われ、焦点となっていたマイナス金利政策の解除が決定されました。

先週にも、株式市場で「日銀がマイナス金利を解除する可能性が高い」と見られ、一時株安が進みましたが、その後は反発するなど、株価、円相場は大きく変動しています。

先般、日経平均株価は最高値を更新しましたが、生活実感に乏しいというのが現状です。株高をもたらした影響としては、直近では、中国経済のバブル崩壊の懸念から、中国に流れていたマネーが日本株に流れるといった影響も挙げられます。また、この10年スパンで見ると、家計(売り越し25兆円)、日銀(買い越し36兆円)、企業(買い越し16兆円)、海外勢(買い越し5.7兆円)と、日銀が日本株を買い支えていたことが明らかであり(*1,2)、この点からも、この株価は「官製株高」と言えるでしょう。

いずれにせよ、金融政策というのは、株式市場に大きく影響を与えるわけですが、今回は、マイナス金利が日本経済に何をもたらしてきたのかについて、見てまいります。

◆マイナス金利政策とは

2013年4月以降、黒田前総裁は、世の中に大量にお金を流す「量的・質的緩和」を行い、家計や企業がお金を借りやすくして景気を良くし、デフレから脱却することを目指してきました。しかし、2014年に行われた8%への消費増税が大きく影響し、デフレ脱却には至りませんでした。

そこで、日銀は、金融緩和策の深掘りを行います。それが2016年1月に導入が決まった、マイナス金利政策です。

マイナス金利政策とは、民間の金融機関が、日銀に預ける預金の一部にマイナス金利を適用するというものです。マイナス金利政策が経済にもたらしてきた影響を3つ取り上げます。

①資本主義の精神を傷つける

1つ目は、そもそも、マイナス金利政策は、資本主義の精神を傷つける、というものです。

資本主義は、いわば「勤勉と節制で富を蓄積し、その富で新しいものを作る。そして更なる富を獲得して、さらに付加価値あるものを作っていく」という好循環を生み、国家に繁栄をもたらすものですが、マイナス金利は、考え方の根底において、資本主義の精神とは逆行するものと言えます。

小峰隆夫教授(大正大学)も、マイナス金利について、「お金を預けると減っていき、お金を借りると増えていくという世界になる。そんな世界はありえないと思う」と述べています(*3)。

②景気回復にほとんど効果がなかった

二つ目は、景気回復にほとんど効果がなかったことです。

マイナス金利政策では、一般の金融機関は日銀にお金を預けておけばマイナスの金利、すなわちペナルティーが課せられます。日銀の狙いは、日銀に預けられたお金を企業や家計への貸し出しに回させようとするものでした。

しかし、そもそも極めて低い水準の金利が多少低くなったからと言って、企業や家計が借入を増やすことはなく、日銀の意図の通りにはいきませんでした。

③銀行の経営を圧迫

三つ目は、銀行の経営を圧迫したという点です。

一般的に、信用が同じ程度の債券の場合、長くお金を貸す方が返済されないリスクも高まるため、短期よりも長期の金利の方が高くなります。

銀行は、基本的に、預金など短期のお金を低い金利で借り入れて、長期のスパンで企業や個人に貸し出しますが、高い金利で貸し出した部分と、低い金利で借り入れた部分の差が、銀行にとっての利益になります。

では、日銀がマイナス金利政策を実施した時、何が起きたかといえば、短期金利はすでにゼロ付近にあったことから、金利が低下する余地はほとんどなく、相対的に長期金利の方が低くなっていきました。

すると、銀行にとっては、利益が少なくなることになり、経営が大きく圧迫されることになりました。

経営難に陥った地銀など金融機関はリスクを避けるようになり、日銀の意図とは裏腹に、むしろ貸出を躊躇するという動きも見られました。

幸福実現党・大川隆法総裁は『富の創造法』の中で、マイナス金利政策によりもたらされる銀行の経営難が、日本経済に与える影響の可能性について、次のように述べています。

「銀行が危なくなると、銀行から大口の融資を受けているところもみな危なくなるので、経済政策が失敗すれば、大きなドミノ倒し型というか、将棋倒し型で経済の「負の連鎖」が起き、ある意味での経済恐慌が起きる可能性もなくはありません。(中略)マイナス金利を、一時的な“カンフル剤”として使っているだけならば、そこまでは行かないでしょうが、もし、これが恒常的なものになってきた場合、産業の構造自体が壊れる可能性が高いのです。」

銀行は、実体経済に血液としてのお金を送り込む、心臓のような存在とも言えます。心臓である銀行が機能不全に陥れば、日本経済は立ち行かなくなってしまいかねないのです。

◆金融緩和の出口戦略に本来必要となる、政府の「覚悟」

以上、三点を踏まえても、今回のマイナス金利の解除は妥当と言えると考えます。

今回、日銀はマイナス金利政策を解除するとともに、長期金利を低く抑え込む長短金利操作(イールドカーブコントロール)の枠組みを終了することを決めています。

ただ、日銀は長期金利の急な上昇を避けるため、同枠組みの撤廃後も「これまでとおおむね同程度の金額で長期国債の買い入れを継続する」としています。

重要な点としては、今後、国債の金利が上がる場合、それは政府財政における利払費が増加することも意味します。

政府は今、1000兆円を超える国債を既に発行していると同時に、放漫財政を続けていることにより、毎年多額の新規国債を発行しています。政府が利払費の増加で財政が破綻に向かうことを防ぐためには、政府は、バラマキはやめ、歳出のあり方を根本的に見直す必要があります。日銀の出口戦略の本格化に向けては、政府歳出の抜本的な「減量」が必要なのではないでしょうか。

(【Truth Z】「株価史上最高値更新もこのままだと日銀倒産?「金利ある世界」に求められる覚悟とは?」(https://www.youtube.com/watch?v=qIofw00WPrc&t=2s)もご覧ください。)

(*1)テレビ東京「ワールドビジネスサテライト(2024年2月26日)」、日銀「資金循環統計」より

(*2)今回の日銀の金融政策決定会合において、日銀はリスク資産の買い入れ縮小策として、金融市場に大量の資金を供給する目的で行ってきたETF(上場投資信託)と不動産投資信託(REIT)の新規での購入を終了すると決定した。

(*3) 小峰隆夫『平成の経済』(日本経済新聞出版, 2019年)より

西邑拓真

執筆者:西邑拓真

政調会成長戦略部会

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