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中国が核大国へ、台湾侵攻で日本が戦場になる!核抑止論をタブー視するな【前編】

https://youtu.be/hvEW2dB8sQw

幸福実現党党首 釈量子

◆2035年までに中国核弾頭1500発に増大

アメリカ国防総省は11月29日、中国の軍事・安全保障戦略に関する年次報告書を発表しました。

それによると、「中国は2035年までに現在の4倍にあたる約1500発の核弾頭を保有する可能性が高い」と結論付けています。

日本にとって恐ろしいのは、このまま中国が核弾頭を大幅に増やしていけば、「台湾有事でアメリカの介入を阻止することもあり得る」と分析していることです。

「ストックホルム研究所」によれば、2021年の中国の核保有数は、ロシア、アメリカに次ぐ3番目ですが、アメリカに並ぼうとしています。

11月4日のCNNの報道では、「アメリカ戦略軍」のリチャード司令官が、アメリカの中国の核に対する抑止力について、「船はゆっくりと沈んでいる」と表現しています。

「アメリカ戦略軍」は、アメリカの核戦略を統括する、いわば元締めのようなところで、その組織トップが、東アジアにおける米軍の存在感が低くなっていることに危機感を抱いているわけです。

昨年7月に、「中国は、日本が台湾有事に一兵卒でも、一軍用機でも送って参戦した場合、ただちに日本に核攻撃を行う」という民間の「軍事評論集団」の動画が注目されました。

中国は、朝鮮戦争の時に、アメリカ政府から核の脅しを何度も受け、毛沢東は「二度と侮られない国になる」という執念で、アメリカに届く核を開発してきた経緯があります。

中国は、アメリカとの全面対決を避けて、直接介入をさせないために、アメリカを抑止できるだけの核弾頭を急いで増やしているわけです。

こういう状況の中、中国が台湾に侵攻する時に「日本が台湾支援に回ったら、東京に核を落とす」と恫喝したら、日本はどうするのか。米軍はしっかり守ってくれるのか。

これこそが日本にとって最大の政治的課題なのではないのでしょうか。

◆北朝鮮のミサイル連射と核実験

さらに、中国に加えて北朝鮮の脅威も増しています。

ロシアのウクライナ侵攻後、韓国では自前の核開発を求める声が強くなっています。

今年3月に行われた「韓国の核開発に関する世論調査」では、「独自の核開発をすべきだ」という声が67%、「必要なし」の24%をはるかに上回っています。

すでに、ミサイルはアメリカ本土に届くミサイルを開発しており、韓国世論は、「北朝鮮に核保有を断念させるために取り組んできました。

しかし、その見込みはもうないという現実をみて「韓国を守るために自前の核が必要」と考える人が増えています。

さらに、「どの国が韓国にとって最大の脅威か」という世論調査では、現時点では北朝鮮が最多の46%ですが、今から10年後の最大の脅威は中国という結果になっています。

◆アメリカが代理戦争を行い、日本が戦場になる?

では日本はどうすべきでしょうか。

11月18日には北朝鮮の大陸間弾道ミサイルICBMが北海道の渡島大島(おしまおおしま)の近くに落下しました。

岸田首相は「最も強い言葉で非難」しましたが、「遺憾砲」を発し続けても根本的な解決にはなりません。

ウクライナ戦争の教訓として、アメリカは核攻撃を行う覚悟がある国に対しては直接対決を避け、資金と兵器を供給して、「代理戦争」を行うということです。

実際、ウクライナは、開戦当初からアメリカ・NATOに対してロシアの攻撃からウクライナを守るために「飛行禁止区域」を設けてほしいと要望していました。

しかし、NATOとロシアの戦闘機と撃ち合いになれば、米露の全面戦争に発展する可能性があるので即座に拒否しました。

ウクライナと同じように、中国が台湾に侵攻した場合、アメリカは台湾や日本に武器を供給するが、米軍の関与は最小限に抑える可能性が濃厚です。

つまり「日本が戦場になる可能性が高い」ということです。韓国も同じような不安を抱く人が増えて、核保有の世論が高まっているわけです。

こういうと、「日本は日米同盟があるからウクライナと違う。アメリカの核の傘が日本を守ってくれる」と主張する人もいるのですが、「アメリカの核の傘が本当に機能するのかどうか」は定かではありません。

日米安全保障条約の第5条には「アメリカが日本を守る義務」を明記していますが、どういう事態が起きたら守るのか、どの程度リスクを冒して守るのかまでは明記されていません。

(後編につづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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