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中国警察の海外派出所が東京にも存在した。世界50か所以上、国境を越えて広がる脅迫と拉致の実態。【前編】

https://youtu.be/kOpet1hvziI

幸福実現党党首 釈量子

◆習近平氏「歯向かう者は容赦しない」

中国の習近平国家主席が異例の3期目に入りました。習近平氏は、対立している李克強前首相や胡春華氏を排除し、独裁体制を強化しています。

これまで習氏は「腐敗撲滅キャンペーン」を展開して、「歯向かう者は容赦しない」と国内の異論・反論を封じ込めてきましたが、この動きが海外まで及んでいることがわかってきました。

当然ですが、国には主権があり、警察権はその主権に含まれるものなので、中国が他国の中に派出所を勝手に設置して、その国に逃げた中国人を弾圧することは、主権侵害となります。

ところが、中国は非公式に、中国警察の海外派出所を設置し、反体制派の弾圧をしています。

いわゆる「キツネ狩り作戦:Operation Fox Hunt」で、これが強化されているわけです。

◆東京など世界54箇所に中国警察の海外派出所

9月に、スペインの「セイフガード・ディフェンダーズ(safeguard DEFENDERS)」という人権団体が、ある報告書を発表してから、この問題が一気に表面化しました。

報告書のタイトルは「海外110中国の国境を越えた警察活動が異常なレベルに」です。

日本と同じく中国で警察に電話する時に110番をかけるので、海外派出所のことを「海外110」と呼んでいます。

元々は、福建省福州市と浙江省青田県の公安局が、オンライン詐欺を取り締まるという名目で「海外派出所」を開設しました。

報告書では、世界12カ国、54か所に「海外110」が展開されていて、米国やカナダ、英国、ドイツなどの欧米諸国に数多く設置されています。

また、南米やアフリカにも展開していて、中国の人権弾圧が世界に及んでいることがわかります。

今回の報告書を受けて、欧米諸国は素早く対応しています。

オランダ、スペイン、ポルトガルが調査に乗り出し、アイルランド政府は首都ダブリンの「海外110」に対して事務所の閉鎖を命じました。

カナダの首都トロントにも「海外110」が3か所あり、カナダ政府が調査に乗り出しました。

日本も他人事ではありません。「大紀元」の報道によると中國警察の派出所は、「東京都千代田区の十邑会館内に設けられている」とのことです。

欧米諸国と同じく日本政府もすでに動いているとは思いますが、早急に実態を調査し、国民に報告してほしいと思います。

◆口封じのために強制的に帰国させる3つの方法

こうした問題について、中国政府は「これらの施設で運転免許証の更新をやっているだけだ」と言って、違法性を真っ向から否定していますが、実態は異なります。

中国警察は「海外110」を拠点にして外国で警察活動を行い、民主活動家から一般人まで逃亡者の口封じを行うために帰国させています。

報告書の冒頭で、「中国政府は、2021年4月から2022年7月の期間で約23万人が帰国の説得に応じたと公式発表しているが、帰国後に刑罰の対象になっている」と書かれています。

逃亡者が「帰国の説得」に応じたという体裁を取り繕い、中国で法の裁きをうけるよう仕向けているわけです。

私たちの知らない間に、中国の人権弾圧が世界に及んでいたということです。

「セーフガード・ディフェンダーズ」は今年1月に、今回の件に関連する報告書「不本意な帰国:INVOLUNTARY RETURN」を発表し、中国政府が外国に住む中国人を強制的に帰国させる方法をとして3つのタイプを挙げています

(後編につづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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