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外国人の土地取得問題について【3】

http://hrp-newsfile.jp/2021/4111/

幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会

◆外国資本による土地取得で起こる懸念や問題

6月に可決・成立した「国家安全保障上重要な土地等に係る取引等の規制等に関する法律案」は、外国資本による土地買収が問題とされたことから始まっています。

外国資本の土地買収は、例えば北海道の森林が買われているということや、対馬の自衛隊基地の隣接地が買われたことなどが指摘されてきました。

例えば、産経新聞編集委員の宮本雅史氏は著書の中で「これまでに買収されたゴルフ場や農地などに共通しているのは、森林や山に囲まれているため外からは見えず、入口が1か所なので閉鎖すればだれからも干渉されないことです」「農地の場合は整備されている上、大きな川が流れているから、自己完結して住めます。

自治区とも言えるアンタッチャブルな集落ができる可能性があります」といった専門家や北海道の地元住民の声を紹介しています(※1)。

例えば中国人が集団で住む「自治区」のような集落ができた場合、日本の法律よりも中国の法律が優先される恐れがあり、日本の法秩序がそこで崩れることになります。それは日本の主権が侵害されることを意味します。日大法学部教授によると「中華人民共和国国防動員法(2010年)の制定により現実的な恐れとして存在する」といわれています(※1)。

また前述の宮本氏は長崎県の対馬市美津島町竹敷地区は「元々は軍港だった。旧海軍の施設が残る“要衝”で、戦前までは民間の土地ではなく立入禁止区域だった。その地域が韓国資本に買収され、韓国人専用の施設が並ぶ」とし、現地の方によると、「浅茅湾の民宿はすべて韓国人が経営しているという。

しかも、いずれも自衛隊の施設を監視するかのように建てられている」と警告しています。防衛上の観点からも不安が指摘されているところです。(※1)

また他にも、外国資本による買収がなされたと分かっているところでも、その後行政から連絡が取れないこともあります。

外国資本による土地買収から始まる所有者不明の土地問題も発生しています。固定資産税の徴収もできないケースもあります(※2)。固定資産税は地方税の約4割を占める重要なものです。

このように、日本の国益を害する問題、さらに安全保障にとっての重大な懸念が発生しています。

◆広域的な監視及び規制が必要

前にも述べたように、戦後の日本では、これまで外国資本による土地取得になんらの規制も設けられてきませんでした。しかし、このように防衛拠点の隣接地や、大規模な森林の買収が何らの規制も受けずになされており、これを放置することはできません。

先日、可決・成立した「重要土地規制法案」では、例えば重要施設の周辺で設定される注視区域といわれるものは、「施設の敷地の周囲おおむね1,000mの範囲内で指定」と、対象とされる範囲があまりにも限られています(※3)。

「米国の対米外国投資委員会(CFIUS)は、軍・政府施設の場合、周囲最大100マイル(160キロメートル)をとっていて、日本の新法より二桁多い」との指摘もあります(※4)。対象とするエリアはもっと広域であるべきでしょう。

また、事前届出が必要なのは、「司令部機能、警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地・基地 等」の特定重要施設の周辺などの特別注視区域に限られており、範囲はとても限られたものになってしまいます。

国家の安全保障に問題を及ぼす土地の所有や利用は、そもそも日本全国いずれの場所であっても規制されるべきではないでしょうか。

アメリカでも「外国人が空港や港湾また米軍施設に近接する土地等の取得などを行う場合は、条件によっては制限の対象になり得る」(※5)とされています。

日本も土地等の買収を、「事前」に制限することができる枠組みを整備すべきではないでしょうか。

少なくとも外国資本による土地等の買収は、所有者の明確化の観点から例外規定を設けず、いかなる場合においても届出を義務化する必要があるのではないかと考えます。

同様の観点で、国内の取引も含めて、登記を義務化することなども、今後一つの検討課題となってくるかもしれません。

また、土地は「所有」だけが問題ではなく、「利用」も問題になります。日本人が所有する土地を借り上げて、利用する場合も考えられます。

つまり、所有・利用の両方において、安全保障上の問題がある場合には規制をかけられるようにしなければならないでしょう。

ただし、当然のことながらそのような私権の制限を伴う規制が、政府によって恣意的に、また拡大解釈されて不当な自由の制限になってはならないのは当然のことです。

※1 『領土消失 規制なき外国人の土地買収』 宮本雅史、平野秀樹 角川新書
ISBN978-4-04-082262-4

※2 北海道開発協会『開発こうほう』 「外資による土地買収問題」 佐藤郁夫 
https://www.hkk.or.jp/kouhou/file/no574_shiten.pdf

※3 『重要土地等調査法案の概要』内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/houan/210326/siryou1.pdf

※4 「やっと始まる外資の土地取引規制、阻むのは何者?」平野秀樹
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64338?page=2

※5 「外資に関する規制」JETRO
https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/invest_02.html

そが 周作

執筆者:そが 周作

幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長

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