このエントリーをはてなブックマークに追加

地方自治のあるべき姿――沖縄県石垣市「自治基本条例改正案」が可決

http://hrp-newsfile.jp/2021/4097/

金城タツローの沖縄ホンネ情報「地方自治のあるべき姿」より
https://www.youtube.com/watch?v=5TX1zlTXTq4
(6月29日配信)

幸福実現党沖縄統括支部代表 金城竜郎

◆石垣市議会で、「自治基本条例改正案」が可決

6月28日、尖閣諸島を有する沖縄県石垣市議会で、「自治基本条例改正案」が可決されました。

その背景には、石垣市の市民団体「市住民投票を求める会」の「石垣島への陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票」があります。

今回は、同市議会の「自治基本条例改正案」可決から安全保障問題における自治体のあるべき姿を考えて参ります。

まず、今回6月28日に石垣市議会が可決した改正案は次のようなものです。

(1)「市民」の定義の変更

(旧条文)では、第2条第1項で「市民」の定義を「市内に住み、又は市内で働き、学び、若しくは活動する人」としていました。

(改正案)では、「市内に住所を有する人」に改める、としています。

旧条文の「市民」の定義に、「若しくは活動する人」とあり、クルーズ船で入ってきた中国人観光客も一時的に市民になってしまう危険性がありました。

(2)「住民投票」を規定した条文の削除

次に今回の改正案では、「第27条及び第28条を削除」しています。

(旧条文)第27条「市長は、市政の重要事項について市民の意思を確認するため、その案件ごとに定められる条例により住民投票を実施することができる。」

(旧条文)第28条「本市に選挙権を有する者は、その総数の4分の1以上の連署を持って、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。市長は、この請求があったときは、所定の手続きを経て住民投票を実施しなければならない。」

この2つを削除した理由は、そもそも住民投票の請求は「地方自治法」に規定されていますのでその規定に従って手続きすれば良い、ということです。

(3)「最高規範」の文言の削除

さらに、(旧条項)第42条第1項「この条例は市政運営の最高規範であり、他の条例の制定又は改廃にあたっては、この条例の趣旨を尊重し整合性を確保しなければならない。」

(改正案)では、「この条例は、市政運営の最高規範であり、」の部分を削除することが決まりました。

以上が6月28日石垣市議会で可決した改正内容です。

◆沖縄二大紙の「陸自配備の賛否を問う住民投票潰し」という印象操作

翌日の沖縄タイムス一面では、「自治条例改正案を可決 住民投票削除」、琉球新報一面では「住民投票削除を可決 石垣市議会賛成多数 市自治基本条例を改正」の見出しで記事が掲載されました。

沖縄二紙はこの条例改正を「住民投票削除」と報じ、「石垣島への陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票潰し」というような印象操作を行っています。

石垣市の市民団体「市住民投票を求める会」は、「市自治基本条例」を根拠に4分の1以上の市民の署名を集め、市長に住民投票実施を請求したとされますが、市議会が否決しました。

その後、「市住民投票を求める会」は石垣市に対し、住民投票の実施を求めて提訴しています。しかし、一審でも二審でも敗訴しています。

◆石垣市議会は民主主義的な手続きを踏んで住民投票条例案を否決した

石垣市議会が住民投票条例案を否決した法的根拠として「日本国憲法第93条」があります。

日本国憲法第93条第1項「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」です。

市民団体の代表は、「石垣市民が直接選挙で選んだ市長と市議」に対して、住民投票を実施してほしい、と要請しているわけです。

市民団体の根拠は、「地方自治法第74条」です。

地方自治法第74条第1項「その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができる。」

第3項「普通地方公共団体の長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。」

これに則り、市民団体の代表者から住民投票の請求を受けた市長は、市議会に住民投票条例制定の可否を諮りました。その結果、反対多数で否決されたわけです。

結局、住民投票条例は、日本国憲法と地方自治法に則って審議し否決された。これは民主主義的な手続きを踏んでいます。

しかし、市民団体側は、「市の最高規範である自治基本条例」を根拠に「4分の1以上の署名を提出した」のだから、無前提で市は住民投票を実施するべきであるとしていました。

しかも、住民投票条例案を採択しないのは民主主義に則った手続きではない、とマスコミや政治団体などと連携し、圧力でもって住民投票を実現しようとしたのではないでしょうか。

◆地方自治体は、国家への責務を忘れてはならない

石垣市議会は自治基本条例のいびつな部分を手直ししてあるべき地方自治に戻そうとした点は高く評価すべきだと思います。

地方自治は尊重されなければなりませんが、安全保障に関する国家への責務も忘れてはなりません。

つまり、地方自治体の限度を超えて国家の主権を犯してはなりません。それが、陸上自衛隊の配備に関することです。

中国は来年2月の北京冬季オリンピックを成功させ、突如台湾、尖閣を侵攻するであろうと警鐘をならす識者もいます。

抑止力を確保するため、石垣島の自衛隊配備を進めていかなければなりません。

※詳細な主張は、下記よりご覧ください。

金城タツローの沖縄ホンネ情報「地方自治のあるべき姿」
https://www.youtube.com/watch?v=5TX1zlTXTq4
(6月29日配信)

金城 竜郎

執筆者:金城 竜郎

幸福実現党沖縄統括支部代表

page top