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コロナ関連法改正、コロナ時代の「自由論」とは?

https://youtu.be/hUn3HD5Cgv0
(2月3日収録)

幸福実現党政務調査会長 里村英一

◆基本的人権に反するコロナ関連法改正

2月3日、国会でコロナ関連法改正が成立いたしました。

改正の最大のポイントは、営業時間短縮に応じない事業者に対して「30万円以下の過料を科すこと」や「入院拒否をしたコロナ感染者に対して50万円以下の過料を科す」などの罰則規定が設けられたところです。

当初、刑事罰を科すなどの話もありましたが、さすがに刑事罰は行き過ぎだということで見送られました。

行政罰で罰金ならしょうがないという雰囲気はありますが、幸福実現党は今回の罰則規定を設けたことに関して基本的人権に反するもので、何よりもかけがえのない「自由を蝕むもの」であると考えています。

◆幸福実現党が考える「自由」とは何か

幸福実現党は、「自由」は人間の幸福にとってかけがえのないものの1つであると考えています。

党大川隆法総裁の著書『自由・民主・信仰の世界』にも明らかなように、わが党は自由・民主・信仰という原則が貫かれる世界を理想としています。

歴史的に観ても、自由・民主・信仰という原則が「信教の自由」や「言論の自由」をはじめとする人権につながっていきました。

あるいは、法哲学の面から観ても、人権のカタログの第1ページにこそ、「信教の自由」が置かれるべきであると言われます。

人生哲学、人間の人生をどのように見るかは、政党がどんな政策をつくる場合に非常に関連している問題です。

人間とは、たまたま偶然この世に投げ出され、そして運命に翻弄され死んだら焼かれて灰になって終わる存在なのか。

そうではなく、人間は、各人が自分の理想やミッション、あるいは自分の課題を持ってこの世に生まれてきた存在です。

自分のミッションや人生の課題に取り組み、何かしら一歩でも前進して幸福を得、それが来世の幸福にもつながっていきます。

従って、自らがミッションや課題に取り組む以上、自由に取り組める保障がなければ人生は無意味なものになってしまいます。

このように自由というものは本当に大切なものです。

◆「危害原理」とは何か

自由に関する政治哲学の最高峰の一つともいわれる、ジョン・スチュアート・ミルは『自由論』において、「人に危害を及ぼさない限り自由は束縛されない」という「危害原理」を言っています。

例えば、赤信号を自由に車で走り抜けたらどうか。飲酒運転でも構わず車に乗ったらどうなるか。当然、人に危害を加える可能性は高くなります。

こういう観点から、行為と結果の「相当因果関係」、つまり危害を加えることの相当性が高ければ高いほど、やはりその自由は抑えねばならないという考えです。

逆に言えば、それぐらい「自由を抑えることに関しては慎重にも慎重さが求められる」ということをジョン・スチュアート・ミルは言っているわけです。

今回のコロナも、果たして相当因果関係が高いのでしょうか。営業時間を短縮すれば感染はとまるのか。あるいは入院さえさせれば必ず感染がとまるのか、これはまだ何とも言えません。

インフルエンザにおいては、毎年1000万人が感染して1万人が亡くなっています。それでもインフルエンザに関しては罰則規定など存在しておらず、自由は侵害されていません。

心配しているのは、ワクチンが思ったほど効かない。あるいは変異株が増えたなどの理由によって、第4波が来た時に、さらに法律を改正して罰則規定を重くし、また刑事罰を導入して国民の自由を縛ろうという方向に行くのではないかという恐れです。

それは考えすぎだと言われるかもしれません。しかし自由というのは一箇所が破られるとたちまち全体にその穴が広がっていくことを歴史が証明しています。

もちろん私は感染拡大を止めたいと思います。あるいは入院はいけないというつもりはありません。

しかし、そうした命や健康を大義名分に掲げて、国家権力や政府が国民の自由を阻もうとするときはよほど気を付けなければなりません。

◆政府が健康管理をする危険性

歴史的に言えば、20世紀において「ある政府」が健康体を大義に掲げて、ガン検診を国民に義務付けました。

検診を怠ると罰則がつき、さらに政府は無農薬栽培を進め、タバコやアルコールを禁止し、妊娠している女性の検診を強化するなどして国民の健康管理に努めました。

いい政府だと思われるかもわかりませんが、この政府はナチス・ドイツのことです。

ナチスの場合はアーリア民族の健全性、健康性をユダヤ人が蝕むと言って最終的にはユダヤ人虐殺までいきました。

つまり、国家の権力が健康体を大義にして自由を蝕み始めると、最終的には「強制収容所」、あるいは「ガス室」にまで行ってしまうということを歴史は教えてくれています。

◆自由を守るために

私たちは、そのような歴史は絶対に繰り返してはならないと思います。

もちろん、今回法律改正を決めた政治家たちも健康を守りたいという善意からの判断であるということは信じたいと思います。

しかし、そこにはとんでもない反作用が含まれているということも言いたいわけです。

したがって、幸福実現党としては今後この改正された法律がどのように運用されるのか、あるいは適用されるのかをしっかりと見つつ、自由の大切をこれからも訴えて参りたいと思います。
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里村英一

執筆者:里村英一

幸福実現党 政務調査会長

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