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日本の自動車産業を潰す、炭素税導入【後編】

https://youtu.be/JXqnJ-1vZ_A
(12月23日収録)

◆日本の自動車メーカー存亡の危機

前編で述べた炭素税や早急なガソリン車の廃止の流れは、日本の自動車産業にとっては非常に大きな危機です。

もともと、トヨタやホンダが得意とする「HV(ハイブリッド)」車は、最も現実的な環境にやさしい車でした。

しかし、他のメーカーが追随できず、そのため、欧州での規制では、HVを「ガソリン車の一種」と位置づけ、締め出されることが決まっています。

トヨタは、このEV化の流れについて、EVのみに拘らず、HV(ハイブリッド)、PEHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)などにも投資を行っていく「全方位戦略」をとっています。

「王者の戦略」ではありますが、その分、開発コストがかかり、日系メーカーにとって、EV化は強みを失うことになります。

もっとも3万点と言われるエンジン等の部品の多くを、数多くの下請け企業との緊密な連携によって生産する技術システムが日本の強みでした。ところがEVは、構造が簡単で、部品の数がエンジン車の3分の2で済みます。

日本の自動車関連産業の就業人口は546万人、全就業人口6,664万人のうちの、8.2%を占めます。自動車産業を失うことは、日本の雇用の面で大きな衝撃となることは間違いありません。

◆中国やEUの政策は、「日本潰し」

中国やEUはメーカーにとって巨大なマーケットですが、異常な補助金と規制で市場を著しく歪めています。

主要メーカーのEVの開発が追い付いていないにもかかわらず、大きな規制を設定することは、市場を歪め、企業に大きな負担を掛けることになります。

中国やEUの政策は、明らかに「日本潰し」であり、この方向に追随することは、中国車が日本中を走りまわるような状況になります。

政治がなすべきは、拙速なEV化ではなく、少なくとも、HV(ハイブリッド)車を世界標準にするための外交努力をすることでした。

単に「世界の潮流だから」というだけで判断し、ましてや小池都知事のように、単に「政府より先を走る」というPRのために、「東京都では2030年にガソリン車廃止」などと言い出すのは、きわめてナンセンスです。

さらに日本は、欧州並みにEVの普及を進めるために、補助金を現在の40万円の2倍である80万円とする案が浮上していると報道されています。

無理にEV化を進めるために、さらに財政赤字が増え、それが炭素税となって庶民に戻ってくるだけで、本当に不毛です。

◆EVの動力のリチウムイオン電池の弱点

更に、EV化には多くの懸念があります。

昨年の12月16日以降、日本列島を大雪が襲い、関越自動車道で2日以上にもわたって多数の車が閉じ込められました。

EVの動力であるリチウムイオン電池は、極端な寒さや暑さに弱く、雪の中で充電がなくなった場合には充電器がない限りどうしようもありません。内燃エンジンが命を守ったと言えるかもしれません。

さらに、電気代です。日本の経済の足を引っ張っている問題の一つは、高すぎる電気料金です。EV化が進んだとしても電気料金が高いままなら、家計の負担が大きくなります。

安く、大量の電力を供給することがまず大事であり、そのためには、原子力発電所の再稼働や、燃料を繰り返し使える高速増殖炉の実用化が必要です。

最後に、地球温暖化は、人為的な温室効果ガスによるものではないとする気象学者がたくさんいます。

「地球温暖化対策」の名のもとに、科学的に確定していない「CO2犯人説」をもとに経済を縛れば、日本の産業の競争力を失わせ、多くの人を路頭に迷わせることになります。

このままでは、「炭素全体主義」によって、日本経済崩壊の引き金を引くことになってしまうのではないでしょうか。
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釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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