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半導体「中国包囲網」強固に。日本企業、脱中国への大転換!【後編】

https://youtu.be/WShEfjLnmz8

幸福実現党党首 釈量子

◆止まらない日本企業の中国依存

ところが、日本企業の中国依存はまだ続いています。

日本が誇る輸出企業のトヨタは中国投資を強化していますが、その背景には中国市場の将来性があります。

今年6月には、中国の自動車メーカー5社とトヨタが出資し、水素燃料電池車(FCV)技術の開発合弁会社を設立し、燃料電池車の新規市場開拓も計画しています。

FCVに関しては、世界で最初の商用車「ミライ」を出したトヨタが大きく先行していますが、中国に技術を奪われる可能性があります。

◆日本の「いいとこ取り」の手法が限界に?

というのも、FCVは、無人攻撃機、電動高速戦車などへ「軍事転用」が可能となるからです。

FCVが持つ静粛性と、走行距離の長さ、燃料電池システムの発熱の少なさなどが、軍事用途として、相手に発見されるリスクを低減するという利点があるとされます。

しかし、中国には鉄鋼や造船、建機、鉄道、家電、自動車まで、中国国内に生産拠点を構えた外資から技術を貪欲に吸収し、自国産業のレベルを上げてきました。

気が付くと、様々な分野でシェアを拡大してきたのですが、トヨタの虎の子のFCVを中国に奪われ、トヨタの技術的優位が脅かされないか非常に心配です。

このように、米中ハイテク戦争が進むなか、日本は米中双方から利益を得ることを目指してきましたが、「いいとこ取り」の手法に限界が来たのではないでしょうか。

◆中国の「軍民融合」が日本企業に及ぼすリスク

習近平国家主席は、国家の安全保障と経済発展にとって極めて重大な戦略として「軍民融合」を提唱し、2015年には「軍民融合政策」を「国家戦略」に昇格させています。

具体的には、資金や技術、情報、また「千人計画」に象徴される人材、つまり頭脳を介し、軍事企業と民間企業の円滑で切れ目のない融合を目指しています。

そのため軍と民の境界線が極めてあいまいとなっていて、日本企業が関係するリスクは極めて高くなっています。

米国では、企業スパイの逮捕や、研究者が「千人計画」に入っていることを隠していたために、FBIに逮捕されるケースなどが続出しています。

◆腰が入らない日本政府の「脱中国」の後押し

日本においても10月13日、大阪に本社がある積水化学の日本人の元研究員がその研究内容を中国企業に漏らしたとして書類送検されたばかりです。

警察によると、一昨年から去年にかけて、企業秘密にあたるスマホのタッチパネル画面に関する研究内容について、中国の通信機器関連会社「潮州三環グループ」にメールで伝えたとして、「不正競争防止法」違反の疑いが持たれています。

こうした状況を見ると、政府が日本企業の「脱中国」を後押ししなくてはならない状況です。

日本政府は企業の国内回帰に向けて、中国の撤退補助金として2,200億円、補正予算として860億円を上乗せしています。

その他にも、東南アジア諸国への供給網分散補助金235億円を用意する予定でいます。

しかし、メディア報道(10月21日現在)によると「日本企業が全面的に撤退して別の国に工場を新設する場合は適用しない公算が大きい」とあり、要するに中国に拠点を残したままで、東南アジアに拠点を新設することを条件としているということです。

これでは、企業の負担が重くなるばかりで、まさに中国政府の顔色をうかがった政策といえます。こうした余計な条件は取り除くべきです。

◆今必要なのは「Go back to Japan!」

政府はコロナ禍で個人消費や企業の設備投資が冷え込むなか、「Go Toキャンペーン」などで景気対策を行っていますが、これは一時しのぎに過ぎません。

コロナ禍でサービス産業中心に失業も急増しており、これが雇用に跳ね返ってくるのはこれからです。

インバウンドが見込めなくなった地方自治体も、雇用を生む方法を考えなくてはなりませんし、日本の経済成長や地方活性化のために「国内回帰」は強力な切り札です。

日本政府も帰ってきやすい環境づくりとして「投資税額控除」などの大胆な減税政策や、規制緩和、脱中国支援の資金拡充などの政策を打ち出し、日本企業の国内回帰を早期に促す必要があると思います。

日本は中国の不正を許さず、国益を守るために行動すべきです。

いま「Go Toキャンペーン」をやっていますが、大事なのは「日本に帰ってきましょう」という「Go back to Japan!」ではないでしょうか。

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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