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「コロナ自粛の強要」に「営業の自由」を!【前編】

https://youtu.be/QV72OmshdrI

幸福実現党党首 釈量子
◆検討され始めた経済活動再開の重要性

政府が「緊急事態宣言」を5月31日までに延長し13の特定警戒都道府県は措置を継続し、それ以外の34の都道府県では緩和を容認する方針が示されました。

自治体によっては全面解除に踏み出したところもありますが、安倍首相も5月14日に前倒ししての解除を検討するなど(5月8日時点)、手探りで「感染拡大阻止」と「経済活動」との両立を検討し始めています。

幸福実現党は5月8日、内閣府に「緊急事態宣言解除を求める要望書」を安倍晋三総理大臣宛てに提出し、以下の二点の要望を致しました。

(1)緊急事態宣言を早期に解除し、感染症の対策と両立しつつ、経済活動の再開を進めること
(2)コロナウイルスに感染しなくても、鬱・借金などで自殺者が増える可能性が高いため、その対策を早急に進めること

◆感染症学者に一国のかじ取りが理解できるのか?

「首相や知事が、専門家に検討してもらう」として責任を振り替えるのは、もう限界ではないかということです。

安倍首相が会見のたびにいつも「専門家会議」の尾身副座長を帯同しておられますが、少し違和感を覚えます。

感染学者はもちろん経済の専門家ではありませんし、哲学的見解があるわけでも、教育の専門家でもないからです。

「緊急事態宣言の延長」も、経緯はそうした感染症の学者を中心とした専門家会議の見解を受けてのことですが、今回のように「営業の自由」「働く自由」を制限されるとなると、民間企業で働く人たちにとっては、文字通り、生きていくための術を奪われるわけです。

まるで感染症学者が「主権者」のようになってしまうわけです。

◆忍びよる「大不況」の危機

「緊急事態宣言」の1か月で何が起きたのでしょうか。

「大不況」「大量失業」の危機が現実味を帯びてきました。

第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストによると、実質GDP(国内総生産)は緊急事態宣言によって、5月6日までの1カ月で21・9兆円押し下げられ、5月末まで延びると、更に23・1兆円、累計45兆円が押し下げられるとしています。

また、ゴールドマン・サックス証券のリポート(5月7日付)によると、日本の4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率マイナス25%と試算しており、別の民間予測ではマイナス42%というものまであります。

4月下旬~5月中旬にかけて、各社、第1四半期の決算の速報を発表し始めていますが、いまだかつてない減益や赤字で、各社悲鳴が上がっています。

特に、今後の見通しが全く立たず、業績予測の欄には「合理的な策定が困難なので非開示にする」「分かり次第、開示する」というところもあります。

◆「大量失業」時代が訪れる

政治の動きとしては4月30日に第一次補正予算が成立して、10万円の現金給付や企業の資金繰り支援などを決めて、一時的には延命はできるとしても、問題はこれからです。

「中小企業の6割が、6月までに経営危機に陥る」との調査もあります。

東京商工リサーチによると、5月1日時点でコロナ関連倒産は114件ですが、負債額が1千万円以上をカウントしているので、「廃業」も含め、店じまいは相当出ていますが、倒産しても、政府は責任を取ってはくれませんし、再建を手伝ってはくれる訳ではありません。

そして、「大量失業」が迫っています。

大和総研によると、感染拡大が6月までに収束した場合であっても、 2020年の雇用者数は前年から99万人減少し、失業率は3.8%に上昇するとしております。

また、感染が年末まで続く場合、雇用は301万人減少し、失業率は6.7%に達するとしています。

既に、患者が激減した都心の店舗では固定費を削るためにスタッフを一度解雇して、失業手当でしのいでもらっているとか、テレワークを機に人員を整理せざるをえない企業など、雇用調整に踏み切る企業も出ています。

◆自己責任、サバイバルで生き抜こうとする民間企業の智慧と工夫

「民間企業はどうすべきか」といえば、自己責任でサバイバルです。

家族を守り、職業を守り、会社を守るために、「緊急事態宣言」が出されようとも、自己責任で道を開くしかありません。

中小企業だけでなく、莫大な固定費がかかる大手企業も絶体絶命ですが、閉館したままの映画館や百貨店がつぶれても、誰も同情はしてくれないので、「営業を再開し、潰れる前に一生懸命働く」ことです。

そんな中、智慧と工夫で動き出す企業が現れているのは、明るいニュースです。

大手ゼネコンの清水建設は、マスクの着用や検温、消毒態勢の整備などの対策徹底を条件に、13都道府県で止めていた工事を順次、再開するそうです。

先月工事を中断した時点では、協力企業や下請けを含め約2万人が働いていたので、万の単位で雇用確保に動き出しています。

経済活動を続けるために、あの手この手で工夫するところも出てきました。

タクシーの需要が減ったので、宅配サービスを始める会社も現れています。

法律上、タクシーは人以外運べませんでしたが、国交省は道路運送法に基づく特例措置によって規制を緩和、これを受けて工夫したわけです。

また、ヨットの帆を作っていた会社が、医療用ガウンを制作したり、ニーズに応えようとしています。

政治は、規制緩和など自由の領域を広げて、こうした民間の動きを支援することではないでしょうか。

(つづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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