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コロナ禍、次なる危機はエネルギー問題。世界中で高まる戦争リスク【後編】

https://youtu.be/0-hhkjXtda8

幸福実現党党首 釈量子
(2)すぐに対応すべきこと:パリ協定からの離脱

いますぐ対応すべきことの2つ目として、パリ協定からの離脱を提言します。

既に原発の廃炉も進んでいるので、既存の原発を全て再稼働してもエネルギー自給率の根本的な解決にはつながらないと言えます。

短期的な方策として、地政学的リスクを少なくする決断をすべきであり、それが「パリ協定」からの離脱です。

「パリ協定」とは、地球温暖化を抑制するために、世界規模でCO2の削減を進める枠組みですが、いかに不公平であり、今まで努力してこなかった中国に非常に有利な協定であるかを知る必要があります。

コロナ・ショックで、グローバリズムが機能しなくなる中、日本が「パリ協定」に残り続ければ、それだけ日本が不利な状況に立たされ続けるわけです。

◆日本が世界に誇る石炭火力の技術力

特に、現在、最も批判されているものの1つが石炭火力発電ですが、なぜなら石炭が天然ガスと比べると、より多くのCO2を排出するからです。

一方で、石油や天然ガスと比べて、最も南シナ海での有事の影響が少ないのが、石炭です。

石炭の多くは、オーストラリアから南シナ海を通らずに、太平洋を通って日本に輸入されます。また、オーストラリア以外でも、世界各地で豊富に埋蔵しているのも石炭の特徴です。

日本の石炭火力は、高効率で環境に対する負荷が低い世界に誇れる技術ですが、「環境に悪い」というイメージが広がり、石炭火力は危機的状況です。

従って、パリ協定から離脱し、国内のCO2排出規制を撤廃することで、戦略的に石炭火力発電を維持していくべきではないでしょうか。

(3)すぐに対応すべきこと:天然ガスの輸入増加と調達先の多様化

更に3つ目として、ロシアや米国からの天然ガスの輸入量を増やし、調達先を多様化することです。

輸入している液化天然ガス(LNG)の多くが、南シナ海を通過している現状を鑑み、有事の際も、困らないエネルギー体制を築かなければなりません。

その中でも、日米同盟のある米国に加えて、ロシアからの輸入量を増やすことが重要です。

特に、ロシアからの輸入増加は、お互いにWin-Winの関係をもたらし、ロシアの中国接近を防ぐという意味でも有効です。

また、パイプラインも建設することで、エネルギー調達手段を多様化させ、リスクを分散することが出来ます。

一方で、ロシアに日本が接近することには、米国への配慮が必要で、アメリカのシェールガスの購入量を増やすような対策をとるべきです。

◆メタンハイドレートを一刻も早く実用化するには?

以上のように、短期的には日本のエネルギー安全保障を確立するために、①原発再稼働②パリ協定からの離脱③天然ガスの調達先の多様化という3つの政策が有効だと考えます。

一方、長期的には、日本のエネルギー自給率を高める大胆な投資が必要です。

まずメタンハイドレートの本格的な開発です。メタンハイドレートは「燃える氷」と呼ばれ、日本が使う天然ガスの100年分以上が日本の海底に存在していると言われています。

しかし、国内の石油や天然ガスの地質調査や、メタンハイドレートの研究開発などの事業費の今年の予算は、258億円と期待される事業規模の割に投資額は非常に少なく、実用化のペースを早めるためにも、更に投資を行うべきです。

◆本格的なエネルギー国産化を目指す政治を!

また、次世代型の再生可能エネルギーの大胆な開発と主力電源化も必要です。

例えば、マグマから直接エネルギーを取り出す次世代地熱発電、温かい海水と冷たい海水の温度差で発電する海洋温度差発電などに、大胆に投資すべきで、技術立国としての意地を見せる必要があります。

また、原発も次世代型原発を増設していくべきです。

現在、世界では次世代型原発として、SMRと呼ばれる出力30万kW以下の小型原発が盛んに研究されていますが、その中でも、高温ガス炉と呼ばれる原子炉は非常に有望です。

原子炉は通常、水などで、止まった後も、冷やし続ける必要があります。しかし、高温ガス炉は、自然に止まり、自然に冷える構造になっているので、飛躍的に安全性が高まります。

また、1000℃という高熱を利用して、水素も製造でき、水素の大量製造ができるようになれば、水素ガスタービンでの火力発電や、炭素回収技術と組み合わせて石油やガスの人工合成も可能になります。

幸福実現党としては、今回の新型コロナという危機をバネにして、原発再稼働などエネルギー安全保障の強化を迅速に進めるとともに、エネルギーを国産化する次世代型技術への大胆な投資を提言してまいります。

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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