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経済対策108兆円解説――実は10.6兆円?【前編】

https://youtu.be/NMD0_MVlH-s
(4月8日収録)

幸福実現党外務局長 及川幸久
◆安倍総理が打ち出した「緊急経済対策108兆円」

安倍総理が、今回のコロナウイルスの大変な被害の中で経済対策を打ち出しました。それが「緊急経済対策108兆円」です。

「108兆円」と大きく出してきたので結構びっくりしたのですが、中身を見て考え方が変わりました。

結論から言うと、今回の「緊急経済対策108兆円」は嘘とは言いませんが、実態はそうではありません。私の個人的な見方で言うと「緊急経済対策」は108兆円の10分の1です。

なお、108兆円の経済対策の中にある「30万円の現金給付」については、前の動画の中で解説しています。ぜひ、こちらもチェックしてみてください。

30万給付解説――本当に大切なのは雇用を守ること
https://youtu.be/aRPJLGxldFY
(4月7日収録 ※4月10日に政府は給付金の新たな基準を発表していますが、考え方は同じです)

今回は、「緊急経済対策108兆円」の全体像について、以下の順で解説いたします。

(1)「緊急経済対策108兆円」のカラクリ

(2)今回の緊急経済対策の良い点

(3)緊急経済対策のあるべき姿

◆緊急経済対策108兆円のカラクリ

安倍総理は、今回の緊急経済対策「事業規模108兆円」は日本のGDP の20%にあたり世界的に最大級の予算だと誇らしげに言われていました。

アメリカやヨーロッパの緊急経済対策は、だいたいGDPの10%で、これは大きいと話題になっています。ですから日本がGDP の20%だとしたら本当にすごいことですが。

安倍総理が言う「GDP の20%」を嘘だとは言いませんが、ただ「事業規模が108兆円」の「事業規模」という言葉をしっかり見てみたいと思います。

まず、世界の国にはない日本独自の言い方で「真水」という言葉があります。

「事業規模108兆円」はわかりました。「では、真水はいくらですか」と必ずなるわけです。

「真水」には、いろんな定義がありますが、大きな意味で言うと、「国の財政出動、財政投融資」と「地方自治体の資金」がいわゆる「真水」と言われます。

しかし、安倍総理が「事業規模108兆円」と言っているのは、「国」や「自治体」が出すお金だけでなく、「民間企業の資金」や「金融機関の融資」含めて「事業規模」と言っています。

ちなみに、アメリカの「緊急救済法220兆円」は、大きく「補助金・給付金」と「融資」の2つに分かれていますが、これを日本の「真水」にあてはめるとざっくり言って「真水」は100%です。

では、日本の「事業規模108兆円」の「真水」はどのくらいでしょうか。

(1)一般会計という国家予算を補充する「補正予算」は、16.8兆円です。

(2)そこに「財政投融資」などの財政支出の部分を含めると、39兆円になります。

(3)さらに民間企業や民間の金融機関のお金までを含めて事業規模が108兆円になります。

「真水」は厳密にどこに当たるかというと(1)「補正予算」と(2)「財政支出」のところです。

財政支出の39兆円までを「真水」と定義する人もいます。

菅官房長官は記者会見で、記者からの「真水はいくらですか」と質問されて、財政支出の39兆円分」と言っていました。しかし、厳密に言えばそれは融資です。

本当の意味で政府としてお金を出しているのは、補正予算であり、「真水」は16.8兆円と言えます。

なぜ「真水」とか「事業規模」とか紛らわしい言葉を使い分けているのでしょうか。それは日本の独特のもので、「国民に経済政策を大きく見せる手法」だからです。

「補正予算」だけだったらわずか16.8兆円ですが、「事業規模」と言ったら108兆円に膨れ上がりPR効果があります。

これを国民は知っておいた方がいいと思います。

ここまでが「108兆円のカラクリ」です。

(つづく)

及川幸久

執筆者:及川幸久

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