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世界同時株安は新型コロナ拡大が原因か?【前篇】

https://www.youtube.com/watch?v=Y5Cw1Ax_ivg

幸福実現党外務局長 及川幸久

※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。

◆世界同時株安は新型コロナウイルスが原因か?

今回は「ウイルス感染は深刻だが、世界同時株安は?」というテーマです。

週明けの2月23日から、欧州で全面安、米国株も1日1000ポイントも下落し、連休明けの日本でも株価は大幅に下がり、まさに世界的な同時株安の様相を呈しています。

その原因として、中国国内で広がっていたコロナウイルスの世界的な広がりと言われ、特にイタリアやイラン、韓国といった国々で感染者、死亡者が多数出ていることが大きな衝撃を与え、経済にも大きな影響を与えるとマスコミでは報じられています。

しかし、コロナウイルスが原因だったとしたら、もっと前の段階から株価が下がっていてもおかしくはなく、実際、2月16日の週には米国の株価はナスダック、SP等は軒並み史上最高値を更新していました。

◆株安と米国債価格上昇、低金利の関係

一言で言えば、世界の資金が米国の株式から米国の債券に流れており、これによって、米国債の価格が上昇し、金利は史上最低になっているのが今起こっている現実です。

実際に、米国債の中心となる10年物金利の推移を見ても、数年前まで3%を超えていたのが、今は1.3%にまで下がっていて紛れもなく史上最低レベルです。

逆の言い方をすれば、それだけ大量の債券が買われているということで、ある種の「債券バブル」が起きていると言っても過言ではありません。

そして、大量の債券が買われる前のお金は、ちょっと前まで米国の株式市場にあり、それによって米国株は史上最高値を更新していたというのが事実です。

◆投資家の視点から株式売却の最適時期を振り返る

投資家の視点から考えると、株価の指数が上がったからといって儲かるわけではなく、相場が上がった時に自分が持っている株を売って初めて利益が確定します。

売却しない限り、指数がどれだけ上がっても、含み益にはなっても、実際の利益にはなっておらず、投資家の心理というのは「いつ売るのか」という難しい判断を常に考え抜いています。

そして、米国内の全ての株式市場が上がっているとしたら、「どのタイミングで売るのか」をみんな考えていたはずです。

売却して利益を確定したら、次はその資金をどの市場に持っていくかも考えていなければいけません。

そして今回、多くの投資家はおそらく、コロナウイルスの話を一つのきっかけとして、史上最高値となった米国株を売って、10年物の米国債に乗り換えたのだろうと思っています。

◆株式市場から債券市場への資金移動の二つの見方

10年物の米国債については、急に上がったわけではなく、1月半ばから価格は上がり始めており、金利は下がり始め、現在は史上最低の金利になっています。

逆に、3ヵ月物、6ヵ月物等の短期債券の方が金利が高くなっており、つまり「逆イールド」になっており、米国経済は後退するとみる向きもあります。

また「株が売られて、債券が買われる」ということは、高リスクの株式から、低リスクの債券に資金が動いており、リセッションに入るだろうという見方が一般的です。

確かにそうした点もありますが、もう一つ別の見方もあります。

米国債は今史上最低の金利ですが、日本や欧州などの先進国、中国等と比較しても、唯一米国経済だけが圧倒的に好調で、米国の消費者の満足指数も依然として非常に強くなっています。

世界の資金は、あくまでも米国内において株式市場から国債市場、為替市場に流れている意味を考えれば、マーケットが米国経済の底堅さを判断していると考えられるでしょう。

◆中国の圧倒的な人手不足に苦慮する米国企業

では、コロナウイルスの経済への影響は全くないのかといえばそうではなく、中国の国内における圧倒的な人手不足を引き起こしています。

中国共産党政府は多くの人を隔離する政策と同時に、「会社に行くな」と行動規制を付けたことで、中国の多くの会社や工場は操業できない状況になりました。

確かに、ウイルスをこれ以上広めないためにはそうせざるを得なかったかもしれませんが、これによって中国経済はほぼストップしました。

そして、いざ「再稼働させろ」と指令を出していますが、深刻な人手不足となっており、その問題は全く解決していません。

上海にある米国商工会議所の調査によると、中国国内にある自動車部品や携帯、鉄鋼、薬品等の米国企業の5社中、4社が人手不足で実際に操業できない状態に陥っていると言われています。

そして、この事が米国の産業界に一つの引き金を引いてしまったかもしれず、安い人件費に釣られて、今まで中国に依存し過ぎていたのを止めて、中国から離れるきっかけになりそうだと言えます。

トランプ大統領が提唱する「アメリカファースト」の通り、米国への回帰はもちろん、そこまでいかなくても、他のアジアの国々に多様化させ、分散させることがいま産業界では考えられています。

いま米国の産業界が考えていることは、そのまま日本の産業界にも当てはまり、中国依存のリスクが極めて高いことは、今回のコロナウイルス問題ではっきりしました。このことが脱中国の引き金になっていると思います。

米国がこの方向にいくとしたら、日本企業も検討すべきだと思います。

(つづく)

及川幸久

執筆者:及川幸久

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