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トランプ大統領の中東和平案で世界はどうなる?

https://www.youtube.com/watch?v=dREVIaOlXMQ
(1月31日収録)

幸福実現党党首 釈党首

※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。

◆トランプ大統領の「新たな中東和平案」

今回は、1月末、トランプ大統領が出した新しい「中東和平案」に注目してみたいと思います。

中東というとまず「石油」「テロ」など思い浮かべますが、国際社会で「中東問題」といえば、「イスラエルとパレスチナの紛争」が根幹です。

この「イスラエルとパレスチナの問題」に、巨大な波紋を広げつつあるのが、トランプ大統領が1月30日に世界に公表した「新たな中東和平案」です。

この和平案、建て前ではイスラエル、パレスチナの「二国家共存」をうたっています。しかし、極めてイスラエルに偏った内容となりました。

「ヨルダン川西岸地域」は、パレスチナ政府とイスラエル軍とが支配する場所が複雑に入り組んでいます。

パレスチナ自治区ではあるものの、すでに120か所にのぼる入植地ができていて、これまでの和平案では、入植活動は凍結されていました。

しかし今回、ユダヤ人の入植地を、「正式にイスラエルの領土」とし、パレスチナ領からは削られることになりました。

そして何といってもより重大な案件が、「聖都エルサレム」の扱いです。歴代のアメリカの政権はエルサレムの帰属は、双方の交渉に任せられていました。

しかし昨年、トランプ大統領は、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移転させて、アラブ世界を震撼させました。そして今回の和平案で、「エルサレムはイスラエルの不可分の首都である」と公式に認定しました。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三宗教の聖都を、イスラエルが勝ち取ったかのようなものです。

今回の和平案では、パレスチナに対しては、国家の樹立を認めましょう。首都は東エルサレムの郊外につくったらどうかと。その代わり巨額の経済援助を行いますと、事実上の「立ち退き」を申し出たわけです。

アッバス議長はその場に呼ばれることもなく、また事前の協議もありませんでしたが、この和平案が発表されると「世紀の侮辱だ」と切って捨て、拒否を表明しました。

つまり、今回の和平案は「イスラエル」と「パレスチナ」の仲介はではありません。

◆「和平案」に込められたトランプ大統領の思惑

では、トランプ大統領は誰と誰を仲介したのか?

一人は、イスラエルのネタニヤフ首相です。そしてもう一人、和平の場に呼んだのが、ネタニヤフのライバル、政敵である政党連合「青と白」の共同代表、ベニー・ガンツ氏でした。

昨年4月からイスラエルの右派ネタニヤフ首相の「リクード党」を中心とした与党と、「青と白」を中心とした野党連合が、政治的にぶつかり合い、ネタニヤフ首相自身の汚職疑惑等も足を引っ張り、組閣が1年近く進まないという異例の事態が発生していました。

つまり「イスラエルとパレスチナ」の仲介ではなく、「イスラエル右派」と「イスラエルの左派・リベラル」、いうなればイスラエルの与党と野党の仲介が目的だったといえるでしょう。

同時に、トランプ大統領にも見返りはあります。ずばり今年11月の大統領選挙、ここでアメリカの4分の1を占めると言われる「キリスト教福音派」(エバンジェリカル)の支持を固めることです。

◆今後の展開はどうなるのか

周辺のアラブ諸国から大反発が巻き起こるかと思えば、当のパレスチナを除いて、意外にも冷静な反応でした。

例えば、パレスチナと同じイスラム教スンニ派国家のエジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の3か国は、いずれもトランプ氏の新たな和平案に賛成しています。時代が変わり、アメリカとの関係がよくなったからです。

一方で、心配なのが、中東地域では完全に崩壊したと思われた「イスラム国」が亡霊の如く、蘇りつつあることです。

ISはバクダディが殺害されましたが、その次の指導者と見られるアミル・サルビという人物が、今回の和平案が出される直前に、IS全戦闘員にイスラエル攻撃予告を呼びかけています。

皮肉なのは、IS掃討の先頭にたってきたのが、イラン革命防衛隊であり、先日米軍に暗殺されたソレイマニ司令官だったということです。

トランプ大統領は、「テロリスト」として殺害しましたが、人格高潔な人物だったことが知られています。

トランプ大統領のイスラエル重視の中東政策は、「安定」をもたらすかどうかは分かりません。

◆日本は、中東問題を避けては通れない

日本にとって石油資源などエネルギー安全保障上、必要不可欠な地域です。日本は、この中東問題を避けては通れないと思います。

あるアラブ系メディアの世論調査によると、アラブ18か国の56%以上が中東和平の仲介役として日本が相応しいという回答が出ています。

キリスト教国でもイスラム教国でもない、宗教的に寛容な日本に仲介役を期待する声は大きいわけです。

日本は、戦争が起きるのを止め、世界平和の実現のために、宗教的理解を求め、世界に意見を発信していくべきではないかと思います。

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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