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エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(1)総論

http://hrp-newsfile.jp/2019/3534/

幸福実現党 政務調査会エネルギー部会

◆新しい「主要政策」におけるエネルギー政策

幸福実現党は、「夢は尽きない123の政策―2019年5月主要政策」を発表しました。

これは、昨今の社会・国際情勢の変化を踏まえて2017年10月版の主要政策を見直したもので、政務調査会が2019年2月に発表した「政策提言集2019」がもとになっています。

特にエネルギー政策については大幅な変更を行ったため、その内容について政務調査会エネルギー部会が解説します。

新しいエネルギー政策では、我が党が従来から訴えてきた原子力発電の推進やエネルギー資源調達の多様化など、日本の安全保障と経済成長に寄与する強靭なエネルギー供給体制を目指す基本方針は変わりません。

しかし、エネルギーを取り巻く情勢は大きく変化しており、難しい問題が山積する一方、新しいチャンスも生まれています。

このため、我が党は概ね2050年までの変化を見据えてエネルギー政策を再構築し、今後約30年間で実行すべき施策を提案することにしました。

◆エネルギー自給率を高めて安全保障を強化

日本の一次エネルギー自給率は9.5%(2017年)で、OECDの35か国のうち34位と、きわめて低い水準にあります(※1)。

2010年の自給率は20.2%でしたが、2011年の福島第一原発事故後に全国の原発の再稼働が進まず、液化天然ガス(LNG)や石油等の化石燃料に大きく依存した結果、自給率が低下しました。

化石燃料は、南シナ海を含むシーレーンを通って日本に届きますが、海洋進出を進める中国が台湾や南シナ海で軍事行動を起こせば、供給が止まる可能性があります。

日本が将来にわたって国家の独立を守るうえで、自給率の低さは致命的です。

これを解決するため、我が党は自給率をフランス並みの50%以上に高めることを目指して、原発の再稼働・新増設だけでなく、再生可能エネルギーの主力電源化、国産メタンハイドレートの開発等を推進します。

従来の日本の再エネ開発は太陽光や陸上風力が中心でしたが、これに加えて、より大量のエネルギーを得るため海洋温度差、潮力、洋上風力、次世代地熱(EGS)等の開発を進めます。

再エネは開発に多額の初期投資を必要としますが、燃料が不要なためランニングコストが非常に安く、ほぼ「限界費用ゼロ」(※2)で無尽蔵のエネルギーを供給できる可能性を秘めています。

◆送配電ネットワークを再構築

ところが、再エネのほとんどは分散型電源であり、大規模発電所のために建設された既存の送配電ネットワークでは、再エネを十分に受け入れることができません。

また、再エネは需要の変化に合わせて供給をコントロールできず、出力変動も大きいため、十分な調整力がなければ有効活用できません。

このため我が党は、再エネに適した高圧直流(HVDC)送電線(※3)を全国の海岸線に沿って新設するなど、公共インフラとして日本の送配電ネットワークを抜本的に再構築します。

また、電気自動車(EV)の普及を支援し、電力系統に接続されたEVを需給調整に活用するとともに、走行中にEVに充電できる道路インフラ(※4)を整備します。

これにより、EVが電力システムの一部となり、道路交通の石油依存度が低下し、エネルギーとモビリティ(交通)が融合して大きく変化します。

◆国家の独立と繁栄は「強い電力システム」から

日本の電力化率(※5)は25.7%(2016年度)(※6)ですが、この値は経済成長と強い相関があり、日本では1960年代から現在まで、ほぼ直線的に増加してきました。

今後も再エネの大量導入、EVの普及、省エネの要請等により、エネルギーの電力化が一段と進むことは間違いありません。

我が党はエネルギー政策の中でも特に電力を重視し、原子力利用の堅持と電力システムの抜本的な強化で、国際情勢の変化に対応したエネルギー自給体制を確立し、日本の独立と繁栄を守ります。

参考

※1 日本のエネルギー2018 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2018.pdf
※2 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。
※3 例えば、「三菱電機、再エネと連係容易な『直流送電』参入へ」 日本経済新聞 2018年11月16日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37833300W8A111C1000000/
※4 例えば、「The UK is testing out roads that charge electric cars as they go」  Mashable Aug.18, 2015 https://mashable.com/2015/08/17/electric-car-charging-uk/
※5 電力化率: ここでは、最終エネルギー消費に占める電力需要の割合。
※6 エネルギー白書2018 資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2018html/2-1-1.html

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執筆者:webstaff

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