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政治家の『Think Big』が宇宙開発の未来を拓く

http://hrp-newsfile.jp/2019/3497/

幸福実現党 山形県本部統括支部長 城取良太

◆際立つ日本の技術力と低予算

探査機「はやぶさ2」による快挙からはや1か月。

小惑星「りゅうぐう」への着地に成功し、回収された岩石には水分が含まれることが解析の結果、判明しました。

来年末、はやぶさ2が帰還すれば、水分を含んだ宇宙物質が持ち込まれることは世界初で、そのサンプルがもたらす貢献度は極めて高いものとなりましょう。

重力の関係上、着地が難しいとされる小惑星から物質を回収したこと自体、世界で際立つ技術力の証明ですが、対照的なのがその低予算ぶりです。

はやぶさ2関連の11年間分の総事業費は289億円、年平均で考えても25億円前後にしかなりません。

民主党政権下では、事業仕分けで一時3000万円にまで削減され、そのままならば、こうした快挙はまず起こらなかったでしょう。

宇宙開発全体の予算を見ても、JAXA・防衛省が約3000億円(2018年)に対し、米国は約4兆5000億円、米国と同等と言われる中国と比較しても、15倍の開きがあるのが現状なのです。

◆「天空」支配を目論む中国の宇宙戦略

いま特に、宇宙で目覚ましい発展を遂げているのが中国です。

その旗印が≪中国製造2025≫と称される中国の国家戦略で、「2025年までに半導体等のハイテク部品の7割を自国で製造出来る体制を作り、宇宙開発などでアメリカを抜き、世界一を目指す」というものです。

もし中国の宇宙技術の進歩が、人類への貢献を目的とするものであれば称賛に値しますが、一党独裁の中国がその技術を「軍事に使う」となった場合、話は全く別物です。

現に、習近平主席は事実上の「宇宙軍」創設を明言し、毛沢東の遺志を継ぐ形で、宇宙技術の軍用化を主眼としていることは間違いありません。

中でも象徴的なのが、解読不能と言われる世界最高レベルの「量子暗号」と、それを搭載した「量子通信衛星」を2016年8月、世界で初めて打ち上げに成功させた驚愕の事実です。

「暗号を制する者が世界を制する」の通り、軍事的にも最も重要な要素の一つとも言える「情報」において、世界で優位にあるのは実は中国なのです。

他にも、昨年末には月の裏面探査にも着手、2022年には独自の宇宙ステーション稼働を計画するなど、分野によっては米国の先を行っている感は否めません。

これらは「一帯一路」とも連動しており、予算の少ない途上国に対して、人工衛星機能の活用を約束するなど、中国の宇宙技術が「懐柔」の大きな武器になっているのです。

◆かつての宇宙大国を蘇らせた起業家たちの夢

一方、ソ連との宇宙開発競争で凌ぎを削り、圧倒的な地位を占めてきた米国ですが、NASAの官僚化に象徴されるように、宇宙開発は低迷の一途を辿ってきました。

そんな停滞感に風穴を開け、再び活気を取り戻したのが、スペースXのイーロン・マスク(テスラモーターズ)やブルーオリジンのジェフ・ベゾス(アマゾン)といった、異業種のベンチャー起業家たちでした。

彼らは巨額の私財を投じ、ロッキード・マーティンやボーイングの寡占状態にあった宇宙分野で、試行錯誤を重ねながら、僅か十数年で不可能とされた地表への垂直着陸を実現、民間初の有人宇宙船打ち上げも成功させています。

既に、地位や莫大な富も手にしていた彼らをそこまで突き動かしたのは、子供の時から強く持ち続けた「宇宙への壮大な夢」であったはずです。

そんな中、「月を拠点として、最初に人類を火星に運ぶ」と壮大なビジョンを掲げるトランプ大統領の誕生で、米国の宇宙開発は再び本格化しようとしております。

以前と違うのは、完全なる国家主導ではなく、民間の宇宙ベンチャーのノウハウと技術を最大限活かすもので、実業界出身の大統領ならではの官民協力体制に期待感が高まります。

また先月には、米国も「宇宙軍」創設を明言、トランプ政権は宇宙領域においても中国と真っ向から対峙する姿勢を見せています。

◆米中と比肩する宇宙産業を創るために

このように、日本と米中の宇宙構想や規模を比較しても、経済力の差を遥かに超えた大きな「差」があるのが現実です。

ようやく、日本でも民間宇宙ベンチャーの胎動や、トヨタ自動車が宇宙服なしで乗車できる月面車への開発の発表など、日の丸宇宙産業の立ち上がりの気配を徐々に感じさせます。

そんな中、米中と比較し最も不足しているのが、宇宙政策に関する国家の大きなビジョンと十分な予算ではないでしょうか。

日本は重力の小さい天体での強みを活かしつつも、堂々たる大国として「月を拠点に、火星に行く」という米国に負けない壮大な理想も描きたいところです。

また、消費増税という失策への補填で2兆円を使う位なら、米中に比肩するような宇宙産業の創造に投資するなど、国家予算の有効活用を是非ご検討頂きたいと思います。

将来、日の丸宇宙産業を背負って立つような人財を数多く創るため、子供たちが心の底からワクワクするような夢やビジョンを堂々と語り示すことも、これからの政治家に求められる責務ではないでしょうか。

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

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