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トランプ氏が米大統領であることの価値を改めて考える

http://hrp-newsfile.jp/2019/3467/

幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太

先月末から今後の極東情勢を占う3つの象徴的な課題が立ち並びました。

◆その1 米朝首脳会談

まず、2月27~28日ベトナムで行われた「米朝首脳会談」です。

初日、トランプ大統領は金正恩委員長と共に和やかなムードを演出していましたが、翌日は一変、昼食会と署名式は急遽キャンセル、事実上の物別れとなりました。

その理由は、米国側が求める「非核化」と、北朝鮮側が求める「経済制裁の解除」の中身に埋まらない隔たりがあったことです。

具体的には「完全なる非核化」へのロードマップ提示に応じて、人道支援等の見返りを準備していた米国側に対し、北朝鮮は約150か所の核施設のうち、寧辺(ヨンビョン)のみの廃棄と引き換えに、「経済制裁の全面解除」を強引に求めた点にあります。

会談結果に関し、北朝鮮に安易な妥協をしなかった点を評価する一方、「トランプ政権の準備不足だ」という論調もあります。

しかし、イランの核合意破棄で象徴されるように、国際世論を敵に回してでも実効性の低い協定には断固「NO」を突き付けるトランプ大統領と、交渉する準備が欠如していたのは、逆に金正恩委員長側だったのではないでしょうか。

有事間際だった1年前から見れば、考えられない進展であるのは確かですが、今回の決裂によって、「完全な非核化」に向けた米国側のプランの中に再び「軍事的オプション」が加わるといっても過言ではありません。

◆その2 韓国の3.1独立運動

2つ目が、韓国で行われた「3.1独立運動」です。

今年は日本からの独立運動100周年を迎える記念日となり、反日一色となる事が懸念されていましたが、文大統領は例年以上に直接的な批判を控え、意外にも「(未来志向の)日本との協力強化」をも訴える内容でした。

レーダー照射問題を皮切りに、徴用工裁判、慰安婦問題を巡る天皇謝罪発言など、韓国の一方的なスタンスで冷え切っている日韓関係ですが、10月に行われる海上自衛隊の観艦式に、米国やインド、中国を招待する中、「謝罪しない限り(韓国の)招待はありえない」とし、日本も筋を通す姿勢を求めています。

また、ボルトン米大統領補佐官が訪韓を急遽中止した直後、中国軍機が防空識別圏に進入するなど、韓国メディアも「日米韓の安保体制が確固なら、こうした事態は起こらない」と深まる韓国の孤立を懸念する声を上げています。

更に、トランプ大統領の一貫した姿勢による米朝首脳会談の決裂が、文政権には大きな衝撃を与えました。

なぜなら、文大統領が目指す開城や金剛山等での南北協力事業は、事実上見通しが立たず、南北融和という看板も、有名無実化してしまうからです。

こうした背景から、一時的に反日の冷却化を意図とする演説内容だったかもしれませんが、文大統領が日韓合意どころか、日韓基本条約以前に戻ろうとする「過去志向」を持つ限り、基本的な国家間の関係自体、成り立たないはずです。

◆その3 米中貿易戦争

そして最後に、昨年から激化する「米中貿易戦争」です。

当初、米国は3月2日から年間約22兆円の中国製品への関税率を10%から25%に引き上げる予定でしたが、協議の進展に伴い、交渉期限を延期、3月中に習近平国家主席との首脳会談を開き、最終決着を目指す意向を表明しています。

焦点は国有企業への補助金、外国企業への技術移転の強要など、6分野における構造改革を要求する米国に対し、中国がどこまで飲めるかという点ですが、共産党独裁政の中国が本格的な経済的開国に舵を切れるのか、甚だ疑問は残ります。

一方、長引く貿易摩擦によって、中国経済の失速は著しく、輸出入共に前年を下回り、1年で最も需要が高まる春節においても、内需は振るわず、一刻も早くトランプ関税から逃れたいのが本音でしょう。

難しい選択を迫られる中国は、ギリギリを狙って交渉するはずですが、「時には、交渉の場から立ち去ることが必要」「急ぐよりも、正しくやりたい」と米朝首脳会談後に述べたトランプ大統領の言葉は、これから交渉を控える中国・習近平主席に向けられた明確な警告とも取れます。

◆トランプが大統領の今は日本にとっての「黄金期」

「トランプ大統領は、中国の共産主義を真正面から敵と捉え、壊滅させようとしている初めての米大統領」と米国研究の大家、日高義樹氏は述べています。

極東情勢が目まぐるしく変化する中、トランプ大統領の在任期間というのは、日本とアジアの平和を脅かす中国の野望を封じ込めながら、極東情勢を好転させる「黄金期間」であることを改めて再認識させられます。

まただからこそ、国内で足を引っ張られながら、世界規模で立ち回るトランプ大統領を補完する真の同盟国としての役割を果たす義務が日本にはあります。

例えば、「拉致被害者問題の解決」といったお願いを繰り返すだけでなく、その分、沖縄基地問題の早期解決等でしっかりと成果を上げ、対中貿易で米国と100%歩調を合わせつつ、国際世論に呼びかける役割も担うべきです。

そして、何よりも中国が虎視眈々と狙う台湾併合の危機です。

トランプ大統領在任期間に日米と台湾が緊密に連携し、極東地域に「自由・民主・信仰」の価値観を広げ、台湾を危機から救っていく使命が、かつての同胞・日本にはあるはずです。

しろとり 良太

執筆者:しろとり 良太

幸福実現党広報本部

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