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アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(後編)

http://hrp-newsfile.jp/2019/3465/

幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃

◆エネルギー資源調達の多様化――日ロ協調の道

日本は国内で消費する石油の約7割をサウジアラビアとUAEから輸入していますが、こうしたアラブ諸国内での対立の激化は、日本のエネルギー安全保障においても対岸の火事ではありません。

中東からの石油の供給がストップすれば日本でオイルショックが起こる恐れもあるからです。

また、中東からの石油が通る海上交通路(シーレーン)の確保も重要です。

日本の全貿易船の5割、原油の9割が南シナ海を含むシーレーンを通過していますが、中国の軍事行動によってシーレーンが封鎖されてしまえば、日本に石油が入らなくなります。

エネルギー資源調達の多様化に向けて選択肢の一つとして考えられるのがロシアです。

ロシアの産油量は米国とサウジアラビアに次ぐ世界3位で中東産原油の代替として大きな潜在能力を有しています。

エネルギー資源外交を積極的に展開し、全体の3割程度までの原油・天然ガス・石炭をロシアから輸入したいところです。

また、ロシアとの協商関係の構築を図ることによって、ロシア極東地域を中心としたエネルギー・農業・交通インフラなどへの投資を活発化させて、北海道へのシベリア鉄道延伸を推進し、日露経済交流を促進させたいところです。

その意味で、今進んでいる日本とロシアとの平和条約締結は一日も早く締結するべきです。

◆くすぶる火種――日本は国際的正義と秩序を示し調停役を

2月14日、米国のペンス副大統領はポーランドで開催された国際会合に出席し中東政策について演説しました。

その中で、イランを名指しして弾道ミサイル開発や周辺国の武装勢力支援を停止するよう要求、ヨーロッパ諸国に対しても経済制裁の強化に向けた共闘を呼びかけました。

会議に出席した欧州の外交官らはペンス氏の演説に反発しており、「われわれはイランを良い結果に導きたいのであって、イランを核コミットメントの外側に押し出したいとは思っていない」と語っています。

同日には、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、イランのロウハーニー大統領が、ロシア南部ソチで会談をしています。

3か国の対米姿勢は温度差があるものの、シリア過激派掃討で連携したい思惑があるのでしょう。

イラン国内においては、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な位置を占めるとして対中接近の強化を主張する意見もあります。

米中新冷戦も始まる中、台湾併合や南シナ海への覇権を強める中国としては、米国の戦力・兵力の分散をさせる必要があるため、イランと米国もしくはイスラエルとの紛争・戦争が起こる状況をつくり出すことを考えているかもしれません。

また、イランそして米国を後ろ盾とするサウジアラビアとの間にくすぶる火種に引火すれば、次なる戦争の引き金ともなりかねません。

昨年に行われた米朝首脳会談によって朝鮮半島の非核化も動き始めていますが、トランプ大統領から北朝鮮に投げられた石は、同時にイランに対するメッセージでもあるでしょう。

世界的宗教を幾つも生み出した歴史ある国であるイランは親日国でもあります。

寛容で多様な文化や宗教観が息づく日本としても、関与出来る余地があるはずです。

幸福実現党では、イスラム教圏そしてキリスト教圏との橋渡しを外交的に進めながら、宗教対立の融和を目指しています。

世界平和と真の国際的正義の実現に向けて引き続き働きかけて参ります。

(参考)
ローマ法王、UAEで異例のミサ イスラム指導者面会も(朝日新聞)

https://www.asahi.com/articles/ASM260SH2M25UHBI02X.html

ローマ法王がUAE訪問(日経新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40847860U9A200C1EAF000/

◆オマーンを異例の訪問 イスラエル首相(産経新聞)

https://www.sankei.com/world/news/181027/wor1810270002-n1.html

◆サウジとイラン 対立の構図 スンニ派とシーア派の盟主(日経新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXZZO95859040X00C16A1000000/

◆米副大統領「イスラム国」壊滅まで協力 同盟国に訴え 対イラン共闘も呼びかけ(日経新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41266050U9A210C1FF2000/

◆米ペンス副大統領 欧州諸国にイラン核合意の離脱迫る(NHK NEWS)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190215/k10011815611000.html

◆米副大統領が欧州主要国を非難、中東会議でイラン制裁巡り

https://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-summit-idJPL3N20A260

◆石油統計速報(経済産業省)

http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sekiyuso/result.html

◆イラン識者「対中接近強化を」 政府腐敗が経済低迷の原因(産経新聞)

https://www.sankei.com/world/news/190213/wor1902130021-n1.html

◆日本とロシア、天然ガス・パイプライン構想…日本に多大な恩恵、史上最悪の石油危機を克服(Business Journal)

https://biz-journal.jp/2019/02/post_26556.html

◆イラン制裁発動でも弱気相場入りした原油市場 価格下落を防ぐ手だてはあるのか?(独立行政法人経済産業研究所)

https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/93.html

◆「世界最悪の人道危機」イエメン内戦、停戦合意の“脆弱性”(WEDGE)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14972

◆風雲急!米主導の反イラン連合にロシアが対抗(Newsweek)

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11699.php

◆ロシア・イラン・トルコ首脳会談 シリア過激派掃討で連携(日経新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41273960U9A210C1FF2000/

西野晃

執筆者:西野晃

幸福実現党 広報本部チーフ

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