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朝鮮半島の非核化――対話だけでは解決できない(前編)

http://hrp-newsfile.jp/2018/3339/

幸福実現党 広報本部スタッフ 佐々木 勝浩

◆北朝鮮問題――対話だけでは核はなくならない

3月26日に金正恩委員長が中国を訪問、習近平総書記と会談し、「朝鮮半島の非核化の実現、平和・安定の維持、対話・協議による問題解決を堅持している」と述べました。(産経新聞3月29日朝刊)

4月末には南北首脳会談や5月までには米朝首脳会談も行われる見込みです。北朝鮮が融和ムードを演出し、「非核化に尽力する」と表明したことで、対話による解決に期待が高まっています。

しかし、北朝鮮は過去にも「非核化」を口にしながら、その約束を破り核やミサイル開発を続けてきたことを忘れてはなりません。

◆何度も裏切られてきた北の「非核化」

1986年、金日成国家主席は、平壌の国際会議で「核兵器の実験・製造・備蓄・導入をしない」と宣言しました。

ところが1993年、衛星写真によって北朝鮮の核開発疑惑が浮上し、国際原子力機関(IAEA)が北朝鮮施設を査察すべきだという声が上がります。

それに対して1993年3月、金日成は核拡散防止条約からの脱退を発表しました。

1994年、米朝の緊張が高まると北朝鮮は米国と核開発を凍結する代わりに軽水炉の提供を受ける「核枠組み」に合意。それに従い、北朝鮮は重油や食糧の提供を受けます。

しかし北朝鮮は、秘密裏にプルトニウム抽出やウラン濃縮などを行い、結局、枠組み合意は破棄されました。

2005年には、日米韓と中国、ロシア、北朝鮮が参加した6カ国協議で、北朝鮮が核放棄を約束する共同声明を採択。この時も北朝鮮は重油や食糧の提供を受けます。

北朝鮮は寧辺の核施設の一部を破壊したものの、後に合意の破棄を一方的に主張し、核施設の無能力化は実現しませんでした。

この時、金正日総書記は、訪朝した韓国の鄭東泳統一相に「朝鮮半島の非核化は先代の遺訓であり、依然有効だ」と述べていました。

そして2006年、北朝鮮は初の核実験を強行、2009年には、2回目の核実験を行いました。

2012年には、北朝鮮は米国と長距離弾道ミサイルの発射や核実験の凍結、ウラン濃縮を停止しIAEAの監視団を受け入れることなどで合意。

しかし、この時も北朝鮮はミサイル発射を強行し、国連からの非難声明を受けて北朝鮮は米朝合意を破棄したのです。(注1・注2)

◆北朝鮮が今後も核を放棄しない理由

2011年12月、金正恩が同年の12月に北朝鮮の政権を引き継ぎましたが、同年10月に北朝鮮と「反米」の同志関係にあったリビアのカダフィ政権が崩壊しました。

金正恩は、カダフィ政権崩壊の教訓として、西側に譲歩し核開発計画の放棄など武装解除すれば命取りになると判断し、金正日の「先軍路線」を継承して、核開発に拍車を掛けるようになったのです。

北朝鮮が核やミサイルの開発をやめない理由はここにあります。

私たちは「対話だけでは北朝鮮の核はなくならない」ということを教訓とすべきです。

でなければ、結局は北朝鮮に核やミサイル開発の時間的余裕を与え、今以上に世界が北朝鮮の核ミサイルに脅される時代がやってくるでしょう。

◆北朝鮮包囲網の形成を

実際に、米国をはじめ世界からの経済制裁が効いているとみられ、北朝鮮の国内は相当堪えていることも事実です。

北朝鮮に核やミサイルの開発をあきらめさせるには、対話だけではなく、日米を中心に国際社会で圧力をかけ続ける必要があるのです。

幸いに今回の中朝会談で、トランプ米大統領は、北朝鮮の「非核化」の発言を受けて、「前向きな兆候だ」と評価しつつも、北朝鮮への圧力を継続する姿勢を強調しています。

4月には、米韓軍事演習が予定されていますが、北朝鮮への追加制裁の検討など、日本も北朝鮮の封じ込めに協力すべきです。

◆中国の軍拡も忘れてはならない

また、核保有国である中国もミサイルを日本に向けていることを忘れてはなりません。

習近平氏は、「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」(2017年11月の米中共同記者会見)と発言しています。

これは米中で太平洋を二分して支配しようという米国への提案です。つまり、太平洋の東側は米国に渡すけれども、太平洋の西側は中国が支配するということを意味しています。

日本は中国の支配圏に置かれるということです。

実際に「中国政府が発表した2018年度国防費予算案(約18兆4千億円)は日本の3・7倍。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、2016年の中国の国防費が日本の5倍近くになった」と見積もっており、中国の軍拡には十分注意しなければなりません。(注3)

◆日本を守るために

では、北朝鮮や中国の軍事拡大から、日本を守るためにはどうすべきでしょうか?

次回は、日本防衛の方策について述べて参ります。

(注1)「6カ国協議とは 北朝鮮、核放棄05年には約束 」
日経新聞2012/3/21付
https://www.nikkei.com/article/DGXNZO39742120Q2A320C1EE1000/

(注2)「【北朝鮮の非核化】裏切りの歴史」
日本経済新聞 3月6 日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27787160W8A300C1EA2000/

(注3)「日本の国防費は横ばい 中国国防費は予算案で3・7倍、5倍近くの見積もりも」
産経新聞3月5 日
http://www.sankei.com/world/news/180305/wor1803050033-n1.html

【参考】「幸福実現ニュース」・March 2018 Vol.101
https://info.hr-party.jp/files/2018/03/23201018/t6m3ihxr.pdf

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党 広報本部スタッフ

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