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朝鮮半島「南北対話」の陰で緊張高まる第一列島線

http://hrp-newsfile.jp/2018/3323/

幸福実現党・政調会外交部会 副部会長 彦川太志(情報分析担当)

朝鮮半島でのオリンピック開催を目前に控え、南北会談の進展に注目が集まっていますが、その背後では密かに「台湾危機」が進行しています。

今回のHRPニュースでは、年明けから15日頃までの米中の動きを中心に報告したいと思います。

◆1月4日、空母「遼寧」が台湾海峡を通過

まず南北会談の開催が現実味を帯びた1月4日、空母「遼寧」を含む中国艦隊が台湾海峡を通過したことが報じられました。

中国の環球時報によれば、「遼寧」は台湾海峡への進入に先立つ1月2日、東海艦隊の蘭州級フリゲート二隻と青島南方で「重大軍事活動」を実施したばかりとのことであり、直後の台湾海峡通過によって台湾政府に圧力を加える意図があったことは明らかでしょう。(※1)

◆1月11日、「台湾包囲」能力を誇示した中国原潜

次いで1月11日、今度は日本の尖閣諸島接続水域に中国海軍の潜水艦が潜航したまま侵入したほか、同じく中国海軍のフリゲート艦2隻が同接続水域に侵入するという事案が発生しました。

この潜水艦は翌12日、中国国旗を掲げて浮上航行している姿が発見されています。(※2)

潜水艦を含む中国艦艇の行動については、尖閣諸島の実効支配を既成事実化する意図があることは明らかですが、後に中国メディアが流布した報道を見ると、「台湾問題と連動して尖閣危機が発生している」関係性が見えてきます。

中国大手メディアの新浪の報道では、尖閣諸島接続水域に侵入した潜水艦は各種巡航ミサイルの運用が可能な「商」級攻撃型原潜(093B型)であり、バシー海峡から西太平洋に進出したのち、数十日間の任務に就いた帰路に宮古海峡を通過。その後「あえて」同接続水域で発見されたという観点を強調しています。(※3)

つまり、尖閣沖に現われた中国原潜は台湾を包囲するルートを航行した帰路、尖閣諸島に出現したのです。

また、記事では潜水艦の行動について「巡航ミサイルによる対艦・対地打撃力を持った攻撃型原潜を第一列島線沿いに展開させていることを示す意図があった」との趣旨を指摘しており、日本側の関心も高い尖閣諸島を選んで「出現」したことが見えてきます。

これらのことから、現代の「尖閣危機」は「台湾危機」と連動した問題であることが浮き彫りになります。

日本は尖閣諸島を守るためにも台湾問題にコミットし、アジアの自由と民主主義を守る覚悟を示さなければならないと言えるでしょう。

◆米朝開戦で中国は台湾を「人質」にする可能性がある

最後に、中国はなぜこのタイミングで台湾を包囲するようなプレッシャーを加えたのか、分析してみたいと思います。

結論から言えば、私見ではありますが、中国は海空軍による「台湾包囲」能力を誇示することで、朝鮮半島有事が発生した場合、台湾を「人質」にする用意があるという警告を米国に発したものと思われます。

トランプ政権誕生以来、米中は台湾を巡る外交戦を展開していますが、特に軍事協力や政府間交流を再開する動き(※4,5)が進展する一方、軍事的にもB-2戦略爆撃機のグアム島配備やF-35の搭載機能等を付加した強襲揚陸艦「ワスプ」佐世保に配備するなど、プレゼンスの強化にも取り組んでいます。

そして13日付の解放軍報では、「アメリカの『台湾カード』は必ず失敗する」という批判記事が掲載され、「台湾問題は中国の主権と領土問題に関わり、中国の核心的利益に及び、中米関係の中で最も重要で最も敏感な核心問題だ」として、米国に「内政干渉はやめろ」と強い主張を展開しているのです。(※6)

◆国防強化で「アジアの自由と平和」を守れ!

以上のことから、北朝鮮の核開発・ミサイル問題は決して朝鮮半島に止まるものではなく、台湾や尖閣諸島をも巻き込んだ中国の軍事的覇権拡張の問題とも関連していることが見えてくるのではないでしょうか。

トランプ政権が台湾防衛にコミットする覚悟を示す以上、日本もこれを強力に支援すべきです。

平昌オリンピック開催が目前に迫る中ではありますが、日本政府は気を緩めることなく有事の自国民保護に万全の措置を尽くすと共に、アジアの自由と平和の防波堤となるべく、粛々と防衛力の強化に取り組んでいくべきであると考えます。

<参考記事>
※1)2018年1月5日 環球時報「台媒:辽宁舰4日深夜穿越台湾海峡并未“绕台”」
※2)2018年1月12日 産経新聞「尖閣接続水域の潜没潜水艦は中国籍」
※3)2018年1月15日 新浪「解放军核潜艇也开始绕台:093B突现身发出两大信号」
※4)2017年12月14日Taipei Times「Taiwan thanks US over defense act」
※5)2018年1月11日 Taipei Times「US House passes Taiwan Travel Act」
※6)2018年1月13日 解放軍報「美国打『台湾牌』注定失败」

◎携帯・スマホの機種により、<参考記事>の中で「簡体字」が文字化けしている場合があります。
その際は、下記よりご覧ください。
http://hrp-newsfile.jp/2018/3323/

彦川 だいし

執筆者:彦川 だいし

HS政経塾第1期卒塾生/党政調会・外交部会

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