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バウチャー制度の導入で、「質」のいい保育所がつくれる

http://hrp-newsfile.jp/2017/3224/

HS政経塾第6期生 山本慈(やまもと・めぐみ)

◆待機児童はますます増加している

最近では、保護者層を中心に「保活(子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動)」という言葉が定着しつつあり、都市部での待機児童問題が大きくとりあげられています。

厚生労働省は平成27年4月時点で、待機児童数が全国で45,315人に達し、平成28年には東京だけで8,466人に上ると発表しています。また入園申請をしていない等の「隠れ待機児童」も存在し、実際の待機児童数は45,315人以上いるとされています。

◆保育所に預けられるかは、家庭の死活問題

出産後、生活費のために社会復帰する女性が多い中、保育所に子どもを預けられず、再就職できない人もいます。

なかには、保育所に子どもを預けるため、引っ越しを繰り返したり、(戸籍上)離婚したりする家庭もあります。

それほどまでに、子どもを保育所へ預けなければ家庭をやりくりできないという事情が明らかとなっています。

◆保育所の増設だけではダメ

こうした現状に対し、与野党は保育所を増やす政策を打ち出しています。

厚生労働省は平成28年3月28日に認可保育園の定員数を増やす規制緩和を盛り込みました。

しかし、定員数増と同時に保育士の待遇改善に触れなかったことで、保育士の労働環境は更に厳しいものになりました。

保育所を増設したり、児童受入れの定員を増やしたりするだけでは、保育所の「質」の低下と、多額の税金が費やされるだけで、待機児童問題の根本的な解決にはなりません。

◆サービス向上に力が入らない理由

保育所のサービス向上を妨げているものは、補助金の手続きやおかしな規制です。

保育園経営者のなかには、補助金の仕組みが複雑なため、書類づくりに手がいっぱいになり、サービス向上や事業拡大に専念できないという意見もあります。

また保育所が認可されるには、さまざまな条件が壁となり、新規参入が難しいともいわれています。

◆バウチャー制度の導入

保育所の「質」を維持・向上させつつ、待機児童問題を解消していくには、バウチャー制度を導入すべきでしょう。

バウチャー制度は「国や自治体などが目的を限定して個人を対象に補助金を支給する制度(※)」で、バウチャー(引換券)を渡すことで、公共サービスを受けられるというものです。

つまり、今よりも保護者が預けたい保育所を自由に選べるようになります。

子どもを預けたい保育所にバウチャーを渡せば、その保育所に補助金がおりる仕組みとなっているので、経営者は補助金の手続きに苦心する必要が無くなります。

(※)コトバンクより引用

◆よりよい保育がのぞめる

バウチャー制度導入により、バウチャーが保育所に渡される分だけ、補助金が入るようになります。

これにより、一定の補助金の限度が撤廃されたことで、限界なく保育士を雇えるようになります。十分な保育士を雇えることで、保育の「質」を維持・向上することがでるでしょう。

(参考)
●2016年4月29日付 Part 1 「保育園落ちた」をなくす方法 – 愛してるから、黙ってられない。 女性が損をしないための3つの政策
http://the-liberty.com/article.php?item_id=11236

●2016年4月11日付 政府は本気で待機児童問題に取り組む気があるのか~保育中の事故で子供を亡くした母親が訴え「保育士を大切にしないと子どもの命は守れない」~私たち声をあげます!大作戦
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/296124

山本慈

執筆者:山本慈

HS政経塾6期生

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