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高まる北朝鮮のミサイル危機――米中対立・大国間で揺れ動く日本【前編】

http://hrp-newsfile.jp/2017/3187/

幸福実現党国防部会会長 新潟県阿賀野市議会議員 横井 基至

◆高まる北朝鮮のミサイルの脅威

北朝鮮は14日に新型の地対地中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験を実施し、成功したと発表しました。

この実験では高度が2000kmまで達し、射程はグアムや米国本土にまで達する可能性があり、朝鮮中央通信社(KCNA)の発表では大型核弾頭の装着が可能と主張しています。

さらに22日、中距離弾道ミサイル「北極星2型」の発射実験に成功し、核弾頭の末期誘導性能が確認されたと(KCNA)は発表しました。

このミサイルはもともと潜水艦から発射されるミサイルを地上発射用に改造したもので、射程距離が2,000kmと日本がすっぽりと収まります。

さらに金正恩氏が「北極星2型」の実戦配備を承認して量産を指示したことなどから、日本へのミサイルの脅威は新たな段階に突入しました。

また核をEMP兵器として使用することにより、電子機器が破壊され、日本の都市機能やライフラインが壊滅状態になることも考えられます。

【参考】〈トランプ・チャンネル#22 幸福実現党〉――党外務局長 及川幸久
北朝鮮の脅威 その凄さを韓国新大統領はわかっているのか?
(6分30秒~ EMP兵器についての説明あり)
https://www.youtube.com/watch?v=qqRARvZCVqI&t=146s

◆イージス・アショア導入へ

5月13日、弾道ミサイル防衛強化の一環として整備を検討している新型迎撃ミサイルシステムについて、日本政府が陸上配備型イージス(イージス・アショア)の導入に傾いていると報道がなされました。

イージス・アショアは1基700~800億円と、1基1000億円以上のサードより調達価格が優位なうえ、サードは迎撃高度が40~150kmしかないのに対し、イージス・アショアは高度1000キロ以上に達する日米共同開発の迎撃ミサイルSM3ブロック2Aを発射可能で、2~3基で日本全土を防衛できるとされています。

さらにイージス・アショアであれば、24時間体制の弾道ミサイル警戒任務を続けるイージス艦の負担が減り、訓練や他の任務に振り向けることが可能になると見込まれています。

◆ミサイル防衛力を補完する新たな装備の開発を

幸福実現党は以前から日本のミサイル防衛力向上のため新たな装備拡充を訴えてきましたが、この度のイージス・アショア導入を進めることには強く賛成の立場です。

これまで政府の中ではサード導入ありきで議論が進んでおり、それには反対の立場でした。

サードは高価なうえ、機材やシステムがブラックボックス化されていること、同時に多数のミサイル攻撃(飽和攻撃)の対応策とならないことなどが主な理由です。

イージス・アショアも飽和攻撃対処には限界がありますが、サードミサイルよりはるか高い宇宙空間で迎撃できるところに利点があります。

またイージス・アショアは地上に固定された施設のため、そのものを防護する必要があるなど課題は残りますが、価格が安い分、その予算を飽和攻撃対処としてマイクロウェーブ兵器の独自開発や、レールガンの開発を進めるなど、日本独自のミサイル防衛構築に振り分けるべきです。

今後の新装備の導入は自主防衛を目指した装は備体系の構築が必須となります。その上で、イージス・アショアの選択は正しいと考えます。

◆高まる国民の危機意識

また、北朝鮮の中・長距離弾道ミサイル「火星12型」の発射した際、高度が2,000kmにも及び、射程は6,000km、直線距離で700km飛んで日本海に落下しました。

通常の軌道で打ち上げていたなら、4,000kmも飛んだと分析されています。

時間にして30分と、これだけ飛んだのになぜJアラートが鳴らないのかという疑問はありますが、航空自衛隊のレーダーで捉えられたミサイルの落下予測地点が日本海上で、日本に危害は及ばないと判断されたためでしょう。

全国各地の自治体で続々とミサイル避難訓練が行われ、国民の危機管理意識は高まりつつある中、「Jアラートは本当に鳴るのか?」という疑問の声も聞こえてきます。

政府は近いうちに、何らかのかたちで鳴動試験を行うことも必要ではないでしょうか。

(つづく)

横井基至

執筆者:横井基至

幸福実現党国防部会会長 新潟県阿賀野市議会議員

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