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矛盾する主張を止め、豊洲移転を進めるべき

幸福実現党 政務調査会 都市計画インフラ部会 HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作

◆混乱招く小池都知事の無責任

昨年の東京都知事選以降、築地市場の豊洲への移転が延期され、移転の目途がたたない状況が続いています。

小池都知事は移転を延期させる理由として以下の三点を挙げています。

1.安全性への懸念
2.巨額かつ不透明な費用の増加
3.情報公開の不足

確かに都民としても、一点目の「安全性」の問題については関心が高いと思います。

では、築地と豊洲の一体どちらが「安全」なのでしょうか?このことが議論されなければなりません。

例えば豊洲の新市場の土壌汚染問題について小池都知事は「消費者が地上と地下を分けて合理的に考えてくれるのか。ガス工場だったことに変わりない」と言います。

これは専門家会議(正式名称:豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議)における議論がベースになった発言だと考えられます。

今年1月14日に開催された専門家会議においても、「地上部分と地下の部分は別に分けて考えたほうがいいんじゃないか」(平田座長発言)と述べられた上で、地上部分については「安全」であるが、地下の問題については「安心」が担保されていないと繰り返し指摘されています。

つまり、豊洲の新市場は「安全」である。しかし、「安心」は与えられていない、というわけです。

ならば、本来は知事が「豊洲は安全です。だから安心してください」と言わなければなりません。そして、市場関係者や都民等に安心を与えるように発信しなければならないのではないでしょうか。

最終的に、移転の判断を行うのは都知事の政治判断によります。責任は専門家会議ではなく都知事にあるはずです。この点、小池都知事が逃げているようにみえてなりません。

産経新聞の報道では、小池都知事が主宰する政治塾で移転問題について「私が結論を出すわけではない。こういったことは都民の皆様によく知っていただいて、時には判断に参加していただく」と発言し、この問題の住民投票実施を「感じさせる」発言をしたと言われています。

これは都知事としての責務放棄ではないでしょうか。何のために都民から選ばれた都知事なのでしょうか。

そもそも、地下の環境基準を上回るベンゼンなどが検出されているものの、それが飲用水として使われるわけでもなく、市場内で利用されるものでもなく、地上にいる私たちが影響を受ける心配もないということを、なぜ都知事が率先して発信しないのでしょうか。大いに問題があると考えます。

◆築地の安全問題からは目を背ける、正直さのない対応

一方、築地市場には様々な問題があります。

開場から80年ほどが経過し、老朽化も進んでいます。耐震性の問題を抱えた建物もあります。開放型の施設で、ネズミがいることも確認されています。

そしてさらに、築地の地下もいわゆる土壌汚染があり、ヒ素が環境基準の2.4倍を検出しました。

それに対して小池都知事は「コンクリートなどで覆われ、法令上問題なく健康に影響を与えることはない」と言います。

それならば、豊洲新市場も同様の理由で安全であることは明らかです。土壌汚染対策では法令上の基準もクリアしています。もちろん耐震性の基準も満たしています。

しかし、築地市場に対しては「さまざまな課題を抱えているが安全と考えている。長年にわたって勝ち得た築地ブランドという安心もある」と言いながら、豊洲新市場に対しての安全宣言は口にしません。

判断基準にまったく一貫性が感じられません。

「さまざまな課題」を抱えた築地市場に対して、都知事の発言一つで「安心」が与えられるのならば、一体なぜ豊洲については安全だと言わないのか、と言わざるを得ません。

1月の専門家会議の場で豊洲の子どもが嫌がらせを受けていることが指摘されました。福島の問題に極めて似た事が起きています。

結局、マスコミや都知事等が風評被害を作り上げているとしか言いようがありません。その責任は重いのではないでしょうか。

◆小池都知事は東京都の責任者として適格なのか?

さらに今百条委員会を設置し、豊洲への移転に至る経緯の部分を問題にしています。

しかし、これは「既に完成している豊洲新市場」への移転を行うかどうかとは別の問題のはずです。

土地売買の経緯などに、たとえ何か政治的な問題があっても、6000億程の費用をかけて完成した施設を「使わない」理由にはなるとは思えません。問題を混同するべきではありません。問題は、豊洲の新市場が安全で使える施設なのかどうかです。

毎日、豊洲の新市場は施設維持に500万円ほどの費用がかかっています。移転をするからと、必要な設備を入れた業者の方もいます。多くの人が豊洲への移転を前提に、準備などを進めていたわけです。

都知事個人としては自分の懐が痛むわけではないのでしょうが、いたずらに移転を先延ばしにした結果垂れ流される経費などのツケは一体誰が払うことになるのでしょうか。小池劇場のツケは高くつくことになります。

築地と豊洲における問題については、判断に一貫性持ち、豊洲への移転を早期に進めるべきだと思います。

その上で、オリンピック開催に向けて、重要な施設整備などを推進して、レガシーを残すべきです。

道路整備も必要です。これについては、目先の経費削減のパフォーマンスに終始せずに、本当に使える施設、使い続けられるものを残していただきたいと思います。

税金を決して無駄なものとせずに、大切に将来に残るものに使っていただきたいと思います。

そが 周作

執筆者:そが 周作

幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長

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