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トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】 トランプ政権下で進展する、米露関係の修復

■トランプ革命の行方と日本の外交戦略【2】 トランプ政権下で進展する、米露関係の修復

幸福実現党政調会・外交部会 彦川太志

今回のニュースファイルでは、特にウクライナ問題に焦点を当てつつ、米露関係の修復を実現するために日本が果たす役割を検討してみたいと思います。

◆米露関係修復の試金石となるシリア・ウクライナ問題

米露関係の修復にとって問題となっていたのは、シリア内戦とウクライナ問題を通じた両国の対立でした。

オバマ前大統領は、シリア内戦においては中途半端な介入で「イスラム国」発生の土壌を作り、ウクライナを巡る問題については経済制裁によってロシアを深刻な金融危機へと追い込み、「中露接近」への道筋をつけてしまいました。

こうしたオバマ政権の「負の遺産」を如何に解消し、新たな米露関係を出発させるかが、外交面におけるトランプ政権の課題だと言えますが、トランプ大統領の誕生により、すでに様々な変化が起きています。

◆ロシア主導で進展する、シリア内戦の停戦交渉

まずシリア内戦については、1月からロシア、イラン、トルコの3か国主導による停戦交渉(アスタナ会議)が開催されており、アサド政権と複数の反体制派が停戦の仕組みや新憲法の制定について対話を進めています。

アレッポでの停戦すらままならなかった昨年の状況から考えれば、驚くべき進展と言えますが、この交渉には米国からも大使が派遣されており、トランプ政権としても事実上、ロシア主導のシリア内戦の終結を黙認している様子が伺えます。

トランプ大統領は中東、特にシリア出身者の米国入国を大幅に制限する大統領令を発出しましたが、例えロシア主導であれ、シリア内戦が終結に向かえば難民問題自体も解決に向かうと予想されるため、米国にとってもメリットがあると言えるでしょう。

◆ウクライナ問題は、「ミンスク合意」の履行と「ロシア制裁」の問題が焦点となる

一方、2014年のウクライナ騒乱に端を発するロシアのクリミア半島併合に対して、欧米はロシアに経済制裁を発動しておりますので、米露関係の修復を現実のものとするためには、ウクライナ内戦を終結させつつ、ロシア制裁の問題を解決する必要があると考えられます。

ウクライナ情勢を簡単に説明しますと、ウクライナでは2014年2月に親露的なヤヌコヴィッチ大統領が反政府運動によって追放されたり、住民投票でロシアへの編入を希望したクリミア自治州の希望をロシアが受け入れると言った事件が発生した事を契機に、同国政府軍と、ロシア系住民が多く居住しウクライナからの独立を求める、自称「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の二州との間で内戦が繰り広げられている状況です。

内戦状態の終結に向けては、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの四か国首脳が保証を与える形で、政府軍と独立を求める二州との停戦や政治的和解などを取り決めた「ミンスク合意」が交わされました(2015年2月)が、未だに衝突が絶えず、停戦には程遠い状況です。

◆米国の関与で解決に向かう「ミンスク合意」

「ミンスク合意」の履行に向けては、今年2月16日にラブロフ外相(露)とティラーソン国務長官(米)による会談が行われ、米国はウクライナ内戦について「ミンスク合意」の履行と、緊張の緩和に向けた「新しい共通の基盤」に基づいた解決を探す用意があると発言した旨、報道されています。

オバマ政権はウクライナ問題の解決に向け、このような形で関与する事はありませんでしたので、「ミンスク合意」の履行に向けて米国が本格的に関与するということであれば、ウクライナでの内戦状態は時間の問題で解決に向かう可能性が高いと言えるでしょう。

◆米露接近のチャンスを捉え、「ロシア制裁」撤回を発信すべし

しかしながら、ロシアへの経済制裁は主に「クリミア併合」を理由に行われているため、米露関係を改善していくためには、クリミア併合に関わる問題を解決する必要があります。

トランプ政権の誕生によって米ロ関係の懸案であったシリア・ウクライナ問題の多くが進展を迎える中、日本は勇気をもって「対ロシア制裁」やウクライナ支援の在り方を見直していくべきだと考えます。

次回、最終回となるニュースファイルでは、米露関係最大の懸案事項であった、「クリミア併合」と「ロシア制裁」の問題を解決する提言を行いたいと思います。

【2/24(金)19時~ 幸福実現党政調会・外交部会 月例公開セミナーのお知らせ】

日々、幸福実現党にご支援を賜り、誠にありがとうございます。

2月24日(金)19時より、ユートピア活動推進館3階大会議室において幸福実現党政調会・外交部会主催の公開セミナーを開催させていただきます。
当日ご参加頂きました皆様には、外交部会作成の持ち帰り資料をご用意させていただきます。多くの皆様の御参加をお待ちしております!

テーマ:「米ロ関係改善への試金石、ウクライナ問題の解決策を考える」質疑応答

日時:2月24日(金)18:45開場 19:00開始 21:00終了予定
場所:ユートピア活動推進館3F大会議室  東京都港区赤坂2-10-8
会費:1000円(持ち帰り資料あり)
主催:幸福実現党政調会 外交部会
講師: 同 副部会長 彦川太志(HS政経塾一期生)

◆お申し込み・お問い合わせ
ご参加のお申し込みは、【お名前】、【電話番号】、【所属支部(任意)】を明記の上、下記までメールをお送りください。
※件名に「2月24日セミナー希望」とご記入ください。

担当:彦川太志 【victory777dh@gmail.com】

彦川 だいし

執筆者:彦川 だいし

HS政経塾第1期卒塾生/党政調会・外交部会

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