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「譲位」問題から考える戦後政治の問題点

幸福実現党兵庫県たつの市地区代表 和田みな

◆天皇陛下の譲位へのお気持ち表明を受けて

本年8月8日、天皇陛下がビデオメッセージで「譲位」の意向をにじませるお気持ちを表明されてから3ヵ月が経ちました。

当初、各種メディアにおいても大きく取り上げられたこの問題への国民の関心は高く、関連書籍の発刊や様々な発信が続いています。

多くの国民が日本の国柄を知る機会になっていることは大変素晴らしいことであると感じています。

前回の私のHRPニュースファイルでは、天皇陛下の最も重要なお仕事は「祈る」ことであると述べました。

天皇陛下は今の政治に失われた「神秘的なもの」「聖なるもの」を大切にしてきた祭政一致の精神の象徴であり、天照大神から繫がる日本国民の「神人合一」の精神の象徴です。

国民が宗教心を失い、宗教性を否定すれば、天皇や皇室の基盤は脆弱なものになってしまいます。

幸福実現党は責任ある宗教政党として、皇統を守るためにも、国民が真の「宗教心」を取り戻すことが重要であると考えています。

「天皇陛下のお気持ちメッセージから考える日本の精神」
http://hrp-newsfile.jp/2016/2917/

◆譲位までの政治スケジュールは?

一方で、政府は先月から「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を開催しています。

会議では、構成メンバーのみならず、様々な専門家からヒアリングを実施し、陛下にとっても国民にとっても「最も良い結論」を導いていくことが必要であると確認されました。

現在、10日に一度のペースで会議が開かれ、現在第3回まで行われています。

今後のスケジュールとしては、来年の年初に有識者会議が論点整理を公表し、衆参両院で協議を進め、春ごろに有識者会議が政府に報告書提出し、5~6月に「譲位」を実現するための法案を政府から国会に提出する予定です。

◆有識者会議の内容

有識者会議では、専門家からヒアリングを行いますが、その内容は、日本国憲法における天皇の役割、国事行為や御公務のあり方、負担軽減方法、摂政の設置や国事行為の委任について、退位の理由や退位後の活動について、特別法か制度化すべきかなど8項目となっています。

また、ヒアリング対象の有識者は現在16名で、3回に別けてヒアリングが行われます。

その顔触れは、教授が最も多く、ジャーナリスト、作家、元官僚、元判事などとなっており、安倍総理に近しい保守層の識者の名前が並んでおり、会議の資料を見ると保守系の雑誌を読んているような感覚を受けます。

また、日本国憲法第4条で、天皇は「国政に関する機能を有しない」とされているため、「天皇陛下のお気持ちをうけての法改正」は憲法違反となります。政府は天皇陛下のお言葉とは関係なく譲位について検討することとなっています。

◆美智子皇后陛下のお考え

このような中、10月20日に82歳のお誕生日をお迎えになられた美智子皇后陛下が、天皇陛下のお気持ちメッセージを受けてのお考えを述べられました。

そこには、このようにあります。

「私は以前より、皇室の重大な決断が行われる場合、これに関わられるのは皇位の継承に連なる方々であり、その配偶者や親族であってはならないとの思いをずっと持ち続けておりましたので、皇太子や秋篠宮ともよく御相談の上でなされたこの度の陛下の御表明も、謹んでこれを承りました。」

◆有識者会議の違和感

皇后陛下のこのメッセージを受け、私の中で有識者会議に対する違和感が鮮明になりました。

それは、皇后陛下のメッセージにあるように、皇室の重大な決断を決定するにあたり、部外者である学者やジャーナリストだけの意見で本当に良いのかということ、そして、天皇陛下が最も大切に感じられている「祈り」についての専門家である「宗教家」が会議に呼ばれていないことです。

天皇の「形」だけでなく、精神的なものを守ることを大切に考えるのであれば、皇族の方々や宗教を抜きにした議論をこれ以上続けても、政府の目指す「最も良い結論」は導けません。

◆国民の幸福の実現のために新しい憲法が必要

繰り返しになりますが、天皇陛下の最も重要なお仕事は「祈る」ことです。

しかし、平成21年の御公務・宮中祭祀の見直しの際にも新嘗祭や旬祭といった大切な宮中祭祀の簡略化が行われてしまいました。宮内庁の職員であっても宮中祭祀の意味を理解しない人が増えている現状の中で、皇統を守るためには、宗教的な議論に蓋をすべきではありません。

私は以前、道徳の教科化にむけた文科省の会議を傍聴しました。その際も委員の一人から「宗教的な議論を」との意見が出ました。

道徳教育を本当に意味のあるものにしたければ、宗教的な議論をこれ以上避けていてはいけないと良識ある人たちは分かっていたのです。

しかし、ついに10回の会議で宗教的な内容に触れられることはありませんでした。そこにあるのは、子供たちのために何が必要かという視点ではありませんでした。

このように戦後の日本の政治は間違った「政教分離」の考え方に支配され、宗教に一切触れずに政治を行ってきました。そして、本当に重要な議論ができずにいるのです。

しかし、本来は国民の幸福のために何が大切か、タブーを抜きにして議論すべきです。それが民主主義の基本ではないでしょうか。今こそ、新しい憲法の制定が必要です。

今後も、有識者会議の内容を見極め、今回の議論を契機とし、宗教政党として日本の国柄である「祭政一致」の政治を取り戻すべく、訴えて参ります。

※天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/kaisai.html

和田みな

執筆者:和田みな

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