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ASEAN物流の要「ラオス」を守るのは日本しかない!

幸福実現党・大阪府本部副代表 数森圭吾

◆急成長するラオス

敬虔な仏教国である「ラオス人民民主共和国」。

2015年には満足度世界一の観光地にも選ばれています。

日本が青年海外協力隊を初めて派遣した国ラオス。1965年に派遣して以来、756人が現地で活躍してきました。

また、ラオスにとって日本は最大の援助国となっており、その支援額は25年間日本がトップとなっています。

ASEAN10ヵ国のなかで最も経済発展が遅れているといわれていたラオスがいま、急成長国家へと変わってきています。

2008年以降ラオスの経済成長率は8%前後を推移しており、周辺国のタイやベトナムと比較しても急成長を遂げているのがラオスなのです。

◆ラオス進出に必死な中国

このラオスに対して、いま影響力を拡大しているのが隣国の中国。中国のラオス進出が加速しているのです。

ラオスの首都ビエンチャンでは中国資本によって大型開発が行われており、ラオス最大の高層ビルも中国資本によって造られています。

また、ラオス・ミャンマー・タイの国境を含む地域は経済的な地理的重要性から「ゴールデントライアングル」と呼ばれています。

この地域のラオス側国境沿い約3000ヘクタールという広大な土地を、中国人投資家がラオス政府から99年間借り受けるという契約が結ばれました。

◆中国によるラオス支援の裏側

中国はラオスへの支援を拡大していますが、そこには裏があるといわれています。

ラオス国立競技場にある巨大なスタジアムは中国が無償で建設したもの。しかしこれは完全な支援ではなく、中国は建設の見返りとして首都近くにある1600ヘクタールの土地を50年間開発する権利をラオスに要求しました。

結果、地域住民の生活基盤となっていた湿地帯などが中国資本によって埋め立てられ、経済特区がつくられようとしています。

完成後には5万人の中国人が移り住む巨大なチャイナタウンが出現する予定となっています。

ほかにも中国の昆明からビエンチャンまで走る長距離鉄道の建設もはじまっています。

この大プロジェクトの総事業費は7400億円と巨額になっていますが、なんと建設費用の70%を中国政府が負担し、ラオス負担の残り3割についても中国が低金利で融資するというラオスにとって非常に有利な条件となっているのです。

この背景には中国の習近平が進める巨大計画があります。将来的に中国からシンガポールまで3000㎞におよぶ長距離鉄道を建設し、「21世紀のシルクロードを造る」という計画の一環となっており、ラオスはその要になっているのです。

つまり新たな物流ライン建設においてラオスは中国にとって押さえるべき要所となっているのです。

さらには、2015年11月にはラオス初の通信衛星が中国によって打ち上げられ、これを機に中国はラオスの通信事業進出も狙っているといわれています。

中国がラオスにここまで進出する背景にはラオス国内に眠っているボーキサイトやカリウムなどの資源獲得も大きな理由の一つと言われています。

このような状況の中で、ラオス政府も国民も中国への警戒感を強めています。ラオスのトンシン・タムマヴォン首相は中国に対する危機感を示し、日本政府や日本企業に強い期待を持っているといわれています。

◆日本企業への期待

過去、電力不足に悩んでいたラオス。ラオス国内では内戦が続き、政治的にも経済的にも不安定な状況でした。

そんななかラオス政府の依頼で日本企業がラオス国内にダム建設を行います。当時内戦中だったラオスにおいて10年以上の年月をかけてダムは完成しました。

その建設ノウハウを生かし、現在では38カ所もの水力発電所が建設され、近隣諸国に電力を輸出も行っていることから「東南アジアのバッテリー」と呼ばれるまでになっています。

そんななか、いま新たにラオスにおいて日本との巨大プロジェクトが進んでいます。関西電力が中心となり、ラオスに「第二のくろよん」建設がはじまっているのです。

その規模は黒部ダム貯水量の10倍にのぼります。さらにラオスには2020年までに80ヵ所のダム建設が計画されています。

これまでASEANのなかでもあまり注目されてこなかったラオスですが、これからはインドシナ半島の物流や電力のハブとなることが予想されます。ラオスへの日本企業進出は2011年から2015年で32社からか78社に急増しています。

長年ラオスへの最も多くの支援を続けてきた日本であるからこそ、日本の技術力を生かし、官民一体となって中国の拡大に対抗していかなければならないと考えます。

数森圭吾

執筆者:数森圭吾

幸福実現党 大阪府統括支部長

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