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交通革命の歴史と未来ビジョン【その2】

文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作

◆自動車の普及は画期的なイノベーションだった

これまで様々な交通革命がなされてきましたが、「19世紀にはいくつか公共交通のイノベーションが起きたが、20世紀の都市では、たった一つの交通イノベーションがすべてを圧倒した。それが内燃機関だ」(『都市は人類最高の発明である』p225)といわれています。

自動車の普及はそれほど大きく交通体系を、そして物流の観点から考えても私たちの生活を大きく変えるものでありました。

自動車があまねく普及することによって、自動車の所有が前提になった街が誕生していくことになりました。そして自動車の存在が支える物流が人々の暮らしを変え、生活を豊かなものとしてきました。

これは逆のいい方をすれば「自動車がなければもはや生活できない」状況を生んだということも意味しますし、部分的にはそのことによるマイナス面も出てきているのは事実であると思います。

しかし、誰もが、思いたった時に、思い通りの場所に、快適に、スピーディに行く事ができる、しかも個々人単位でもそれを可能にし、さらには大量の貨物をスピーディに運ぶことを可能にしたこの交通革命は画期的なものだったといえるでしょう。

◆鍵を握る「動力」と「インフラ」等の技術発明

内燃機関の発明が画期的な交通革命をもたらしたわけですが、「都市交通では、19世紀末から20世紀の初頭にかけて、低速で高コストの馬車と蒸気機関に代わり、新たな動力として電気モーターと内燃機関の導入が始まった。まず、電気動力によるチューブ式地下鉄が登場、次いでバスと路面電車が登場し、さらに蒸気動力であった既存の地下鉄と幹線鉄道の電化も開始された。」(『都市交通の世界史』p63)

以上のように、やはり「動力」が変わることは非常に大きな転換点になります。

現在、日本で日常に運行している電車は電気モーターが主流ですが、その中でも、例えば都営大江戸線や横浜市営地下鉄などで採用されているリニアモーターは、動力としては今までにない新しいものです。

今後建設が進められるリニア新幹線は時速500㎞以上で走る、新しい交通革命を起こす乗り物として期待されています。

さらにリニアモーターを利用したエレベーターなども、今後の開発が期待されるものとして取り上げられてもいます。

また、蒸気機関から内燃機関に移りかわり、自動車の発達によって交通体系は大きく変化を見せましたし、今ではジェットエンジンでジェット機が空の交通を支えています。

同時にそれを支えるインフラの整備も進みました。舗装されていない道を通っていた馬車が、鉄道を敷設しその上を走らせることで摩擦係数が低下し、大幅に効率がよくなりました。

また、地下鉄の建設では、それまでなかった地下の交通インフラの整備がすすみました。

自動車が走り始めるとアスファルトなどによる舗装が進み、さらに機能的に移動できるようになっていきましたし、高架鉄道や高架を使った道路網は、それまで存在しなかった空中方向への立体的な交通インフラの整備が進められてきました。また、今地下を通る首都高の建設なども進められています。

さらに、「航空機」の登場により、乗り物はもはや何かの上を走るものではなく、飛行場などの離着陸できるインフラと管制機能があれば、空を自由自在に飛ぶことができるようになりました。これによって、空中すらも、交通インフラに変えてしまいました。

今後はそれがさらに宇宙空間をも利用して、例えば東京~ニューヨーク間をわずか2~3時間程度で結びつけるような、新しい画期的な航空機の誕生につながっていく事も期待されているところです。

将来的に反重力装置などの発明によって、新しい動力源が開発されれば、空を飛ぶ車の実現も夢ではないかもしれません。そしてその時には、その「空飛ぶ自動車」を支える新しいインフラの発明が必要になります。

また、自動車運転の自動化の流れも進められようとしています。そのように未来に実現の可能性をもつ種子がたくさん育てられています。

いずれにしても、新たな「動力」や「インフラ」等の「技術発明」が今後の交通革命を起こす大きなカギを握るでしょう。

その意味でも理系の天才の誕生が期待されるところです。

交通革命の歴史と未来ビジョン【その1】
http://hrp-newsfile.jp/2016/2562/

そが 周作

執筆者:そが 周作

幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長

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