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国会議員の育児休業を考える

文/幸福実現党・岐阜県本部副代表 加納有輝彦

◆ある国会議員の育休宣言

昨年12月、自民党の衆議院議員宮崎謙介氏(35京都3区)が、国会会期中の1カ月間、子供を育てるために育児休業をとる決意をしたと自身のブログで発表しました。

国会議員が育児休業を取ることに関し、賛否の議論が沸き起こり、今に至るまでその余波は続いています。

宮崎議員は、同じく自民党衆議院議員の金子めぐみ氏(37新潟4区)と結婚しています。

宮崎議員は育児休業をとる決意に至った心境を自身のブログでこう書きました。

「私は国会議員と結婚し、また、子も授かり出産間際です。所謂、共働き世帯であり、さらにお互いが本当に重たい責任を負い、極めて多忙な 毎日を送っています。」

「同じ国会議員だからよくわかるのですが、土日もなければ24時間電話がかかってくる仕事であり、情報収集にも常に時間を費やします。」

「そんな中で妻が出産・育児をするとなると本当に大変です。国会の開会中であるため、万が一のことを考えると、親元の新潟で出産・育児をするわけにはいかず、東京で産み育てなければなりません。」

「そこで私は産後一カ月は妻を助け、子供を育てるために育児休暇をとる決意をしました。」

このような個人的事情と共に、「出生率向上には男性の育児参加が不可欠であり、(中略)若手の国会議員だからこそ、妻が国会議員だからこそ、私はこの重たい一歩を踏み出さねばならないのだと思いました。誰かが勇気を持って踏み出さねばならないのです」と自身の撰択の公益性も主張しています。

◆育児休業の法的根拠

一般の労働者は、『育児・介護休業法』によって満1歳に満たない子を養育するために最高1年の育児休業をとる権利が認められています。

国会議員は、衆院規則第185条第2項に、「議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる」と定められています。

ただし、この規則には、育児のためという表現はありません。

谷垣禎一自民党幹事長は「育休は雇用されている人の制度だ。自営業者にはなく、育児休業しようと思ったら自分の判断でできる(国会議員は自営業者と同じ範疇)」と発言し、議論はしぼみ気味になりました。

今回の宮崎議員の育休宣言は、黙って育休をとるより正直であり、また世の中に育休に関する議論を喚起したという点は認められるべきという意見もみられます。

◆国民の反応

年が明け、マスコミ各社で国会議員の育休取得に対する賛否を問う世論調査が実施されました。

調査によっては、圧倒的多数が反対のものもありますが、大手新聞社のものは概ね拮抗しているという結果となったようです。

ただ非常に興味深いのは、賛成の立場の方でも、どうしても「奥歯にものが挟まったような感じ」が拭えないという意見が散見されるのです。

育児に男性が参加することは大切なことは充分に理解し、若い国会議員が勇気をもって決断したことも評価したい。それでもどうしても「奥歯にものが挟まったような感じ」が拭えないというのです。 

◆公と私

それは、国会議員は、国会を生活の場としてはならないという高貴なる精神を私たちがある意味アプリオリに知っているからではないでしょうか。

例えば、国会内で多数の若手カップルが誕生し、出産ラッシュとなり産休、育休が多くとられるような事態を想像すると、それは一般国民感情からして受け入れ難いものとなりましょう。

国民の血税を頂き、国事に奔走する国士は、神聖な国会の場を生活の場としてはならない、私より公を優先する大いなる「志」「覚悟」に、国民は国の運命を託しているのではないでしょうか。

幸福実現党総裁でもあられる大川隆法氏は、かつて氏の講演会において「私は、もとより畳の上で死ねるとは思っていない」と人類救済の重責を担う革命家の決意を語られました。

この偉大なる公の精神に、私たちは、血税を託すだけの尊い価値を見出していると思うのです。

今回、宮崎議員の発信の中にいかほどの「公的精神」があったのか、それが問われるべき本質だと思います。

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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