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増税はあり得ない

文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治

◆増税は既定路線?

軽減税率についての報道が増えてきました。

軽減税率とは、生活必需品に限定して税率を下げるというものですが、2017年4月に消費税を10%に増税することを前提にしています。

8%に消費税を増税してからというもの、景気は陰りを見せています。このまま増税してしまってよいのでしょうか。

◆儲けを生み出すのは誰か

税金とは、公共サービスのために徴収するべきものです。公共サービスとは、儲からないので民間企業ではやれないサービスのことです。

例えば、国防や警察、裁判などが挙げられます。これらは政府や地方自治体といった公的機関が行うべきです。逆に、儲かるサービスは、政府がやらずに民間企業に任せるべきです。

儲かるサービスを民間に任せるべき理由には、いくつかあります。理由の一つは、民間では身分が保障されていないことです。

例えば経営者であれば、その判断には人生をかけるリスクが伴います。失敗したら、自分や従業員の家族まで路頭に迷わせる可能性すらあります。

だから、知恵を絞ってより良い判断をしようとします。公務員のように身分が保証されていると、どうしても甘くなってしまう部分です。

もう一つの理由は、中央の政府からは、末端の市場が見えないことです。これはロシアなど社会主義の計画経済が破綻した原因でもあります。

市場の意思決定は市場に任せた方が良いのです。このように、役割分担ははっきりしています。

儲かる分野は、民間企業が担うべきです。儲けを生み出せない分野が、政府の役目です。

◆儲けとは

儲けとは何でしょうか。

「もしドラ」で有名になったピーター・F・ドラッカーが端的に述べています。彼は、「利益を企業の目的とするな」と言っています。

「一見はてな」とは思うのですが、続けて「社会貢献を目的とせよ」と言っています。つまり、利益とは社会貢献に対する通信簿だというのです。

儲けとは、製品やサービスを通じた社会貢献の結果なのです。民間ができるだけ自由に商売できるようにすると、その社会貢献を最大化できるのです。

◆国家を会社に例えると・・・

ところで、会社には直接部門と間接部門があります。直接部門とは、研究開発、製造、営業など、直接もうける部門です。

間接部門とは、経理、人事、総務など、直接部門を支援して効率的に仕事が進むようサポートする部門です。

ここで、国家を会社に例えてみるとどうなるでしょうか。直接部門に相当するのが儲けを生み出せる民間であり、間接部門に相当するのが政府となります。

会社が経営危機の時には、間接部門を縮小して、直接部門に資源を集中させるのがセオリーです。これを国家で考えるとどうなるでしょうか。

今は不景気で、しかも財政難であり、国家としては経営危機にあります。国家としても、直接部門に資源を集中させなければならない時です。

民間ができるだけ儲けられるようにすることが、国家が危機を脱する道です。しかるに増税とは、民間からお金を吸い上げて、政府に割り振る行為です。

これは、直接部門の予算を縮小して、間接部門に割り振ることを意味します。不景気の時にはやってはいけないことです。

◆打つ手はあるのか

とはいえ、社会保障の財源が必要ですし、政府は財政難でもあります。これらが増税の理由にもなっています。

しかし、待ってください。

増税して景気が良くなった例は、歴史上ありません。増税すると必ず景気は悪くなります。景気が悪くなると、税収は減ります。

税収が減ってしまったら、社会保障の確保も財政再建も、遠のくばかりです。財源が足りないならば、こういう時のために国債があるのです。

日本の国債はまだまだ安泰です。国債残高を恐れるあまり増税したのでは、景気が悪くなり税収も下がるというジリ貧の状況を免れません。

まずは減税をはじめとする景気回復策が必要です。景気が回復したら、税収も増えて、社会保障も財政再建も見えてくるのです。

今やるべきことは、直接部門である民間を活性化させて、国家としての儲けの総量を増やすことです。そのためには、減税によって民間に資源を集中することです。

たなべ 雄治

執筆者:たなべ 雄治

HS政経塾 三期生

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