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EUでの難民問題から考える日本の難民対策

幸福実現党 兵庫県本部副代表  みなと 侑子

◆流入する大量の難民と、EU諸国の問題点

先日のHRPニュースにもありました通り、(http://hrp-newsfile.jp/2015/2402/)
シリアを中心とした難民問題が、ギリシャ財政危機以上にヨーロッパを揺るがす大問題となっています。

ワシントンポスト紙によれば、今年9月までに欧州に到着している難民の数は30万人。

EU各国は難民申請者ら12万人の追加受け入れ負担を分担するため22日に緊急理事会を行う予定です。

ドイツは今年80万人を受け入れると言っていますが、ポーランド・チェコ・ハンガリー・スロバキアは受け入れ義務化に反対しています。

イタリア・ギリシャは、すでに地中海経由での難民が流入しているため割り当て対象から外されており、イギリス・デンマーク・アイルランドはEU条約上の権利によりこの割り当てには参加していません(ただイギリスは2020年までに2万人を受け入れると発表しています)。

難民問題に関してひと括りにEUとして結論を出すことは、経済成長率や財政状況、過去の歴史があまりに違うため、無理があるように思います。

しかし、アフリカや中東をケーキのように切り取り、植民地にして利益をむさぼり、その後の内戦や独裁を引き起こす原因を作った旧主国には、その結果として生まれた難民をある程度引き受ける義務があります。

EU内国家の財政破綻問題、さらにはこの難民問題を通して、EUの不都合と旧主国による植民地主義への反省が明らかになってくるのではないでしょうか。

◆世界の認識――秩序維持のために必要な軍事力

難民問題に関しては、世界の警察を辞めたアメリカのオバマ大統領を批判する声が多く聞かれます。

アメリカがシリアのアサド大統領を止めるために介入しておけば、これほどの難民は生まれることがなかったはずだと。

正義とは、世界の秩序を維持することであり、そのために時に軍事力も必要となる。これが難民問題から導き出された一つの答えです。

このような議論が世界中で行われている同時期に、国会前や国会内において安全保障法案成立阻止を求める運動が行われ、自衛隊員のリスクが問題となる日本は、世界の人たちからどのように見られているのでしょうか。

世界第三位の経済大国日本であるならば、世界の秩序維持の責任も感じるべきでしょう。

◆日本が行うべき難民対策支援

現在、シリアから逃げ出した避難民は400万人。そのうち、隣国のトルコに190万、レバノンに110万、ヨルダンに60万人以上が押し寄せている状態です。

これら三カ国への負担は莫大である反面、彼らの基本的需要を満たす国連からの資金提供支援は33%しか満たされていません。

日本人としてはなじみが薄い難民問題ですが、人道支援の側面からやはり数千人単位の難民を受け入れるべきではないでしょうか。

さらに、中国の崩壊や北朝鮮・韓国戦争が起きて難民が発生した際のシュミレーションをするべきでしょう。

現在、地中海ルートを使ってイタリアやギリシャに難民を運ぶ業者は、EUの海上国境警備ができていないことを知っています。

ウォールストリートジャーナル紙では、欧州全体の防衛支出はかなりの額が削減されており、長年の海軍・沿岸警備隊への必要な投資をしなかったツケだと指摘する専門家もいます。

同じことが、東アジアで難民が発生した際、日本海側の問題になるはずです。混乱と無秩序を引き起こさないためにも、難民問題に備えて防衛費の確保が必要です。

それでもやはり、東南アジアで難民が発生した際には、大東亜共栄圏を目指した日本が中心となって難民受け入れを行わなければならなくなるでしょう。

難民の受け入れ方法や人数、受け入れ場所、受け入れ後のプランを考えていなければ、場当たり的な対処となり、国内・海外からの批判にさらされることになりかねません。

また、その間に尊い命が失われることにもなります。

欧州での難民問題を他人事ととらえず、近い将来の自分たちの姿を想定した具体的な難民対策支援が求められています。

みなと 侑子

執筆者:みなと 侑子

HS政経塾1期卒塾生

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