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花粉症対策には、林業の見直しが効く!

文/幸福実現党・兵庫県本部副代表  みなと 侑子

◆花粉症による経済損失は1兆円以上?!

万人にとって春はうれしいものではありません。春の風物詩、花粉症がその原因です。

3月になると、マスクを装着して電車に乗り込んでくる人々は、心なしかぼーっとしており苦しそうです。その数は年々増えているように見受けられます。

コンタック総合研究所の調べによれば、花粉症によって受ける影響の最も大きなものとして「仕事の効率が落ちることによる生産性の低下」(72.5%)があげられています。

1日のうちの2割~5割の時間分を損失していると考える人が多く、花粉症による生産性が低下したことによる1日当たりの損失額を金額にすると、約6000円との結果が出ています。

『花粉症から取り戻したいものに関する意識調査』コンタック総合研究所
http://contac.jp/soken/release/news_12.html

現在、日本には花粉症が2000 万人いるといわれています。うち、7割がスギ花粉症です。

1400万人が毎日6000円損失しているとすると、日本全体で毎日840億円の損失です。花粉症で苦しむ期間は平均46日ですので、計算すると途方もない額です。

◆花粉症は、すでに国民病である

調査で花粉症がなくなるのなら、払ってもよいと思う金額は33万円という結果が示すとおり、花粉症の人にとっての春は、時間とお金の損失が甚だしい辛い季節です。

2000万人が花粉症であるということは、国民の6人に1人。スギ花粉症1400万人で計算すれば8.5人に1人です。

国民病と言ってもよい花粉症、特に3月にピークをむかえるスギ花粉への対策を考えることは国策であります。

自民党の中には花粉症で悩む国会議員が集まってつくる、通称ハクション議連(花粉症等アレルギー症対策議員連盟)もありますが、いまだ有効な手立ては見つかっておりません。

花粉症対策として、例えば林野庁においては、無花粉杉の開発、また少花粉杉への移行・普及を押し進めています。これ自体は大切なことですが、今後かなりの時間を要します。

日本の年間の杉の成長量は伐採量を超えています。
この杉をどうするかに対して手を打たなければ、花粉症はいつまでたっても国民病であり続けるのです。

◆日本の山を、林業を見直そう

そのためには、日本の林業を見直すべきです。

きちんと枝打ちを行い、間伐して広いスペースで杉が育ったならば、今ほどは花粉を出しません。しかし、手入れを行わなければ、木は細って使い物にならず、山が荒れるのです。

昔は子孫のために山に木を植え、その木を何本か切って家を建てさせました。今は枝打ちなど山の手入れをする人はほとんどいません。自分が山を持っていることすら知らず都会に暮らす所有者もいます。

大量に植林した杉や檜を管理することなく放置し、安い輸入材に頼った結果、植林した木が切り時になった今、日本の山は荒れ、林業は廃ってしまいました。

日本材も今は外材並に安くなっています。だからこそ、間伐で木を切り出すと、コストのみがかかり、赤字がかさみます。補助金もありますが、それだけでは続きません。

この矛盾を解決し、林業を復活させることは、すなわち花粉症問題に直結します。

林業には農業と同じ問題が存在します。原材料は安くても流通経路で手数料を取られるため、手元に届いたときには高くなるのです。そのため、地産池消と村おこしで成功している岡山県西粟倉村のような地域もあります。

また日本材は海外からは需要があります。五島列島では、中国人が日本の木を買っていくという話を聞きましたし、日本の木を切り出して韓国に大量に輸出していることを特集しているテレビ番組もありました。

林業はまだまだ可能性に満ちた産業であるのです。

日本は面積の70%が森林です。先人からいただいた日本杉や檜で花粉症になるだけでなく、それらを活用して宝の山とすることは可能なはずです。

林業の見直しこそ、一番の花粉症対策です。

みなと 侑子

執筆者:みなと 侑子

HS政経塾1期卒塾生

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