このエントリーをはてなブックマークに追加

日本の国を守るために――住民投票に関する憲法上の問題

文/HS政経塾 3期生 田部雄治

◆与那国島の住民投票

与那国島で、自衛隊配備受け入れの賛否を問う住民投票が行われました。2月22日投開票で、受け入れ賛成が632票と、反対の445票を大きく上回りました。

僅差となることが予想されていましたが、これを覆す結果でした。85%という投票率からは、有権者の関心の高さが伺われます。

与那国島に配備予定の自衛隊とは、陸上自衛隊の「沿岸監視隊」です。沿岸監視レーダーが建設され、島人口の約一割に当たる約150人の隊員が配備されます。

あわせて、航空自衛隊の移動式警戒管制レーダーも配備予定となっており、周辺を飛行する航空機などのより効果的な警戒監視が可能となる見込みです。

与那国島は日本最西端の「国境の島」として知られ、尖閣諸島から約150キロの位置にあります。

中国が不穏な動きを高める中、監視部隊によって航空機や船舶の動きを把握することは大変重要な任務となります。

与那国島では、自衛隊が配備されることで経済効果を期待する声もあります。

◆沿岸監視隊配備までの経緯

これまで陸上自衛隊は沖縄本島よりも西には常駐しておらず、空白地帯となっていました。

1990年代後半には、沖縄近海の排他的経済水域などで中国の軍艦と海洋調査船の活動が活発化してきます。

与那国島には2名の警察官が駐在していますが、住民からは「拳銃2丁で国境の島が守れるのか」という不安の声も上がっていました。

2008年、危機を感じた与那国町町議会によって自衛隊の誘致が決議され、2011年には防衛省が与那国島への自衛隊配備を決定しました。配備予定地ではすでに工事が始まっており、2015年度末までに完了する予定です。

◆今回の住民投票に関する憲法上の問題

住民投票で沿岸監視隊の配備が賛成多数となったことは、国防の観点からは望ましいことです。しかし、そもそも今回の住民投票の結果について法的効力は無いと言われています。

むしろ違憲ではないかとの指摘もあります。中央大の長尾一紘名誉教授(憲法学)は、二つの問題点を挙げておられます。

一つ目の問題点は、住民投票の実施そのものに対する違憲性の疑いです。自治権(条例制定権)は地方公共団体の権限事項に限られており、政府の専権事項である国の安全保障の問題への自治体の関与は認められていません。

もう一つの問題が、投票権が永住外国人にも与えられたことです。外国人の投票参加を認めることは国民主権の原理に反するという点で、違憲の疑いがあります。

自衛隊配備反対派の要求を呑んで行われた今回の住民投票のやり方が、悪しき前例として残ってしまう恐れがあります。違憲は違憲として、各地方自治体は認識しなければなりません。

◆国防のために

中国の動きは、これまでも本ニュースファイルで度々指摘されています。
http://hrp-newsfile.jp/2015/2031/
http://hrp-newsfile.jp/2015/2018/

資源を輸入に頼っている日本が恐れなければならないのは、貿易経路を塞がれること、あるいは貿易経路に対する脅迫です。

沖縄が特に重要なのは、貿易経路の要衝の一つでもあるからです。中国の艦船や航空機に対する防衛手段を備える必要があり、沖縄の島々の重要性は高まっています。

領土的野心が明確な中国に対して、どうやって祖国を守ってゆくのか、私たち一人ひとりが考えていかなければならない時代に入りました。

民主主義の中で民主主義を守り続けるために、幸福実現党は「国防の強化」というブレない政策を訴え続けてまいります。

たなべ 雄治

執筆者:たなべ 雄治

HS政経塾 三期生

page top