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日本の海上防衛を考える(6)――「中国の海」になりつつある東シナ海

文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩

◆中国の海洋支配プロセス8段階

前回、南シナ海がいかに「中国の海」になっていったかについて述べました。

日本の海上防衛を考える(5)――中国に支配された南シナ海

http://hrp-newsfile.jp/2015/2018/

これまでを整理し中国が南シナ海をどのように支配していったか、そのプロセスを分析してみましょう。

第1段階 漁船(軍事訓練を受けた「海上民兵」)を相手の海域で操業させる。

第2段階 相手国が抗議船を出せば漁船をぶつけて紛争を起こす。

第3段階 漁民を守るという名目で警備の公船を出す。

第4段階 1~3段階で、一方的に相手国海域の領有を国内法で宣言(「海洋法」や「三沙市」)。

第5段階 近海の島を占領し(岩礁の場合は埋め立てて人工島化)、排他的経済水域を主張することで戦争をせずに自国の領海を拡大する。

第6段階 公船だけでなく軍艦を出す。

第7段階 漁船・公船・軍艦を頻繁に出没させ領海侵犯をして実効支配を行う。

第8段階 島に上陸し住民が住み始め、インフラを整備し軍事基地化する。

中国は決して最初から軍艦を出すような愚かなことはしません。いきなり軍艦を出せば国際的非難を浴びるからです。少しずつ段階的に一手一手を打って南シナ海を「中国の海」に変えていったのです。

◆中国の尖閣海域の支配

前回述べたように、中国の海軍戦略の第一段階は、第一列島線(日本列島から沖縄フィリピンを結んだ線)の内側、つまり「南シナ海」と「東シナ海」の支配です。

中国の海洋支配は、東シナ海より南シナ海が先行しているので、上記の「中国の海洋支配プロセス8段階」から今後を東シナ海で起きることが予測できます。

この「中国の海洋支配プロセス8段階」を東シナ海に当てはめてみましょう。

第1段階 胡錦濤国家主席と福田康夫総理が会談中に中国公船が尖閣海域を徘徊(2008年5月)。

第2段階 尖閣諸島海域で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突(2010年9月)。

第3段階 中国海警局公船が尖閣諸島の領海を侵犯(2010年9月~現在)。

第4段階 中国が「領海法」を制定し尖閣諸島を自国の領土と主張(1992年2月)。

第5段階 ガス田「白樺」採掘(2004年)。2005年ガス田「樫」掘削 (東シナ海には島がない海域はガス田の採掘基地を建設して中国の海域であることを主張)。

そして昨年末、中国軍が東シナ海の沖縄県・尖閣諸島から約300キロ北西にある浙江省の「南麂(なんき)列島」で軍事拠点の整備に着手、すでにレーダーが設置されヘリポート、軍用機の滑走路の建設計画も浮上しています(2014/12/22東京新聞)。

「南麂(なんき)列島」は中国に帰属しますが、同島は自衛隊や米軍基地がある沖縄本島より尖閣諸島に約100キロ近くに位置し日本にとっては尖閣諸島の防衛に大きな影響を与えることは必至です。

第6段階 2014年12月中旬、中国軍艦2隻が尖閣諸島の接続水域約70キロに接近、昨年8月から島から北に200キロ海域に常駐(12/30朝日)。

現在、中国漁船による領海内での違法操業が急増、2014年1月~9月は208件、2013年1年間の2・4倍、2011年の26倍になっています(2014/10/10日経)。

第7段階 2014年12月30日、中国公船3隻が領海侵入、2014年の中国公船による領海侵入は32回目(12/31産経)

このように東シナ海では、現在第7段階の「漁船・公船・軍艦が頻繁に出没し領海侵犯などの実効支配を行う」ところまできています。おそらく今年以降、軍艦がさらに尖閣諸島に近づいてくるでしょう。

そして日本が何にもしないと分かればさらに軍艦が尖閣諸島に近づけるでしょう。

この第7段階目の実効支配が進んで軍艦がなんの気兼ねもなく尖閣海域を航行できるようになれば、最終的に中国は尖閣諸島に上陸するでしょう。

そして最後の総仕上げとして、第8段階の「尖閣諸島の魚釣島を軍事基地化」する、これが中国のシナリオです。

◆尖閣の防衛は急務

中国は尖閣支配の一環として、安倍政権下ではじめて実現する見通しとなった尖閣諸島の合意文書で、内外に日本が「間接的に尖閣諸島をめぐる争いがあることを認めた」と強調しました(2014/11/8朝日)。

こうした心理戦、情報戦を仕掛けて日本を追い込んでいます。現在、日本の海洋防衛は急務の段階にまできているのです。

次回、中国の海軍戦略の第2段階である第二列島線(日本列島とグアムを結んだ線)、つまり西太平洋の支配について紹介し、日本の海洋防衛のあり方を考えて参りたいと思います。

佐々木 勝浩

執筆者:佐々木 勝浩

幸福実現党 広報本部スタッフ

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