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戦闘機の自主開発、日本は自信をもって進めよう!

文/政務調査会チーフ 小鮒将人

◆平成のゼロ戦「心神」(しんしん)の試験飛行が迫る

国内外の注目を浴びていたステルス実証機「心神」(しんしん)の試験飛行が、いよいよこの4月に迫ってきました。

「心神」は、防衛省の委託を受けた三菱重工、IHIが中心となり、次世代の主力戦闘機として、国防関係者の大きな期待を受けて平成22年度から開発に着手したものです。

中でも、今回IHIが開発に成功したジェットエンジンは、敵のレーダーに映りにくいステルス性能を備え、国産が難しいと言われてきたものです。

また防衛省は、国産戦闘機の導入によって4兆円の新規事業が生まれ、8.3兆円の経済波及効果と24万人の雇用創出効果があると試算し、経済面でも大きな貢献となることが分かりました。

◆大東亜戦争では、世界最先端の戦闘機開発能力

大東亜戦争の時の日本は「ゼロ戦」「隼」など世界最新鋭機の開発に成功しました。

開戦時の真珠湾攻撃では、空母を運用して飛行機で敵の基地の破壊に成功し、さらに続くマレー沖海戦では、海軍国イギリスを代表する最新鋭艦「プリンス・オブ・ウェールズ」が日本の航空部隊によって撃沈されました。

こうした緒戦での日本の大躍進は、我が国が世界最先端の戦闘機開発能力を持つ証明ともなり、欧米諸国に大きなショックを与えることになりました。

戦争の終盤には、同盟国であるドイツが開発した世界初のジェット戦闘機「メッサーシュミット」の断片的な設計図を頼りにして、「橘花」という国産のジェット戦闘機の実用化にも成功しています。

これは、当時としては驚異的な出来事でした。

◆連合国側による日本航空機産業潰し

最終的に日本は連合国側に敗れたものの、欧米諸国は、日本の様々な軍事技術についても、底知れない恐怖心を持ち、この復活を最大限妨げることを大きな目標としました。

そして米国は、7年余りの占領期間に、日本の技術開発能力を潰すために、以下の政策を実行しました。

1、憲法9条に「戦争放棄」を明記、武器の製造を禁止した。
2、財閥(大企業)を解体し、重工業の復活を妨げた。

3、飛行機の開発を法律で禁止した。(米国製飛行機の下請けについては可能)

およそ7年間の占領の後に、日本は独立を果たしましたが、この間にジェットエンジンなどの技術革新が大きく進み、世界レベルの技術との間には、埋めることができない溝ができてしまいました。

乗用車などの多くの分野において、技術開発力をいかんなく発揮し、世界のトップクラスの地位を占めることができました。しかし旅客航空機の開発については、「YS-11」の取り組みが注目されましたが、全般的には、厳しい状況が続きました。

また、1980年代の中曽根内閣の当時、FSX(次期主力戦闘機)選定の際、自主開発の方向で計画が進められていましたが、米国側の強硬な働きかけの結果、自主開発を断念し、「共同開発」という形で決着しました。

さらには、国内では、左翼の平和勢力や、マスコミの影響で、戦闘機の自主開発に対する大きな反対運動も広がっていました。

このように、日本の戦闘機自主開発については、国内外からの大きな抵抗があったのです。

◆戦闘機自主開発の必要性が高まる

さて、以上のとおり、日本は米国の下請けになるか、日米共同開発という形で、自主開発を行うことができませんでした。こうした環境の中で、戦闘機開発についても、日本の政治指導者たちは自然に米国頼りになっていきました。

現在、日本における主力戦闘機は、米国のF15です。この戦闘機は、かつて世界最強と言われ、湾岸戦争の時点で負けた事がありませんでした。

しかし、現時点での世界最強は、米国がその次の主力戦闘機として開発した、「F22」(愛称ラプター)です。この戦闘機には、「ステルス技術」を含めて最高水準の技術を使っており、当然のことながら日本は防衛の要として、米国に対して購入の要請を行いました。

ところが、米国オバマ政権では、このF22のラプターの売却を拒否しました。

日本だけでなく、イスラエル、オーストラリアへの売却を断っており、ステルスが最新鋭の技術であるので、他国への流出を懸念している事や、米国内の防衛の考え方が大きく変わってきた事が影響したのです。

こうした判断の結果、日本も次期主力戦闘機を自主開発する必要に迫られたのです。

◆「国防強化」という明確な国家ビジョンを推進しよう

さて、私たち幸福実現党が訴えてきたように、中国習近平主席による覇権主義が拡大しています。

日中間の懸案となっている尖閣諸島近海にも、先月数回にわたり中国軍機の飛行が確認されており、この傾向は今後、益々増加していくことが予想されています。

また米国も「世界の警察官」としての役割を放棄する事を掲げました。その結果、中東ではシリアや「イスラム国」、アジアでは中国がその覇権主義を拡大しつつあります。

安倍政権は、幸福実現党と同様に国防強化を訴えていますが、「国民の生命と財産を守る」という立場から、今後も憲法改正などの法的な整備と同時に、戦闘機についても、今回の「心神」から始まる自主開発への道を推進することが大切です。

国民の皆さまには、ぜひ、ご理解をいただきますよう、お願いいたします。

こぶな 将人

執筆者:こぶな 将人

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